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* 和歌山市
和歌山市は[[和歌山市の映画館]]を参照。
* 和歌山県北部
** 海南市
*** 海南市の映画館
かつて海南市域には、「朝日座」、「大映」、「海映」、「新富座」（東映）、「オリオン座」、「中央劇場」、「弥生座」、「加茂郷劇場」の8館の映画館があった。もともと黒江北丁の朝日座、黒江坂の末広座、芝居小屋の柳館が転換した太陽館などがあり、戦後には中心市街地に大映が開館した。国鉄海南駅付近には内海劇場、新富座、オリオン座、中央劇場などがあった。下津の国鉄下津駅付近には芝居小屋の宝来座が転換した弥生座があり、旧役場の東側には加茂郷劇場があった。((平岡繁一『新海南風物誌（一）』海南市下津図書館、2010年、pp.18-19))
*** 柳館
所在地 : 和歌山県海草郡黒江町（1927年・1930年・1934年）、和歌山県海南市黒江町新地（1936年）
開館年 : 1927年以前
閉館年 : 1936年以後1941年以前
1927年・1930年・1934年・1936年の映画館名簿では「柳館」。1936年の映画館名簿では興行主が重根徳蔵、松竹・新興を上映、電話が日方13。1941年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 朝日館
所在地 : 和歌山県海草郡黒江町（1925年・1927年・1930年・1934年）、和歌山県海南市黒江町新地（1936年）
開館年 : 1925年以前
閉館年 : 1936年以後1941年以前
1925年の映画館名簿では「朝日座」。1927年・1930年・1934年の映画館名簿では「朝日館」。1936年の映画館名簿では「朝日座」。1936年の映画館名簿では興行主が川口富三郎、支配人が川口富三郎、新興を上映、電話が日方133。1941年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 加茂郷劇場
所在地 : 和歌山県海草郡下津町黒田116（1959年）、和歌山県海草郡下津町大字黒田（1960年）、和歌山県海草郡下津町黒田（1962年）
開館年 : 1958年頃
閉館年 : 1962年頃
1958年の映画館名簿には掲載されていない。1959年・1960年・1962年の映画館名簿では「加茂郷劇場」。1960年の映画館名簿では経営者が児玉佐一郎、支配人が大久保進、木造1階、定員350、邦画を上映。1963年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「海南市下津行政局」北東60mの民家数軒。最寄駅はJR紀勢本線加茂郷駅。
児玉佐一郎。児玉兄弟商会社長、東和冷機社長。児玉商会、かねこ商会、「加茂郷劇場」経営主。1911年8月18日に海草郡に生まれ、1927年に箕島商業学校を卒業後、家業に従事した。1943年に応召されて浜松高射砲連隊に入隊し、ビルマやタイを転戦した。1947年に復員して家業に従事し、1958年に児玉兄弟商会の社長に就任した。下津町会議員などを務めた。((『日本信用紳士録 全国篇 1965年版』東興秘密探偵社、1964年))
*** 末広座/海南セントラル劇場/オリオン座
所在地 : 和歌山県海草郡黒江町（1925年）、和歌山県海草郡日方町（1927年・1930年・1934年）、和歌山県海南市日方町30（1936年）、和歌山県海南市日方30（1941年）、和歌山県海南市日方町（1943年・1947年・1950年）、和歌山県海南市駅前（1953年）、和歌山県海南市名高47（1955年・1958年・1960年・1961年）
開館年 : 1925年以前、1950年4月
閉館年 : 1961年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年4月開館。1925年の映画館名簿では「末広館」。1927年・1930年・1934年・1936年・1941年・1943年・1947年の映画館名簿では「末広座」。1950年の映画館名簿では「海南セントラル劇場」。1953年・1955年・1958年・1960年・1961年の映画館名簿では「オリオン座」。1960年の映画館名簿では経営者が中村高雄、支配人が中村千春、木造1階、定員400、洋画を上映。1962年の映画館名簿には掲載されていない。
明治大正期、海南地方の娯楽演芸館は「朝日座」と「末広座」の2館のみだった。朝日座は黒江北ノ丁にあり、末広座は日方にあった。末広座は旧熊野街道から少し入った黒江坂の峠道にあり、大正中期の入場料は10銭だった。昼間は興行せず夜間のみであり、毎夜ほぼ満員で繁昌した。大正期から昭和初期にかけて、チンドン屋が末広座で上映される映画の宣伝を行った。((倉橋利一（編）『ふるさとの想い出写真集 明治大正昭和 海南』国書刊行会、1980年、p.99))
戦前の海南にあった「末広座」は、戦後に洋画を上映する「海南セントラル劇場」に改称した。やがて海南駅前に移り、「オリオン座」に改称した。((『保存版 海南・有田今昔写真帖』郷土出版社、2008年))
1947年8月、戦前からあった映画館「太陽館」が焼失した。その後、日方茶屋浜に「海映」が再建され、さらに東浜西部に「大映」が設立された。海南市唯一の芝居劇場として「新富座」があったが、映画館に転換して「東映」に改称した。戦前の黒江坂には「末広座」があったが、駅前通りに進出して洋画専門館「オリオン座」となった。さらに日方の県道沿いに洋画館「海南中央劇場」（通称はセントラル）が開館した。1953年頃の海南市には朝日座、海映、大映、東映、オリオン、セントラルの6館があった。1994年現在の海映跡地には玉井OAビルがある。1994年現在のオリオン座跡地には幸福銀行がある。1994年現在の海南中央劇場跡地には川広木材株式会社がある。時期不明の「海映」の写真あり。((海南市史編さん委員会『海南市史 第1巻 通史編』海南市、1994年、pp.1048-1049))
*** 弥生座/下津弥生座
所在地 : 和歌山県海草郡下津町（1953年・1955年）、和歌山県海草郡下津町79（1958年）、和歌山県海草郡下津町（1960年・1963年）、和歌山県海草郡下津町下津790（1966年・1969年）
開館年 : 1950年9月
閉館年 : 1969年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年・1958年・1960年の映画館名簿では「弥生座」。1966年・1969年の映画館名簿では「下津弥生座」。1969年の映画館名簿では経営者・支配人ともに〆崎啓二郎、木造1階冷暖房付、定員250、東宝・成人映画を上映。1970年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は下津駅北西50mの駐車場。最寄駅はJR紀勢本線海南駅。
*** 中央劇場/海南中央劇場
所在地 : 和歌山県海南市日方井松原（1958年）、和歌山県海南市日方（1960年）、和歌山県海南市日方町1166（1963年）、和歌山県海南市井松原1166（1966年・1969年）
開館年 : 1957年頃
閉館年 : 1969年頃
1957年の映画館名簿には掲載されていない。1958年の映画館名簿では「海南中央劇場」。1960年・1963年の映画館名簿では「中央劇場」。1960年の映画館名簿では経営者が下西岩吉、支配人が重根裕章、木造1階冷暖房付、定員375、洋画を上映。1966年・1969年の映画館名簿では「海南中央劇場」。1970年の映画館名簿には掲載されていない。跡地はマンション「グランドハイツ日方」。最寄駅はJR紀勢本線海南駅。
昭和40年代の「中央劇場」の写真あり。日方の県道沿いに開館した中央劇場は洋画専門館であり、「セントラル劇場」とも呼ばれた。『史上最大の作戦』の看板が見える。((笠原正夫（監修）『目で見る 有田・海南の100年』郷土出版社、1994年、p.133))
1947年8月、戦前からあった映画館「太陽館」が焼失した。その後、日方茶屋浜に「海映」が再建され、さらに東浜西部に「大映」が設立された。海南市唯一の芝居劇場として「新富座」があったが、映画館に転換して「東映」に改称した。戦前の黒江坂には「末広座」があったが、駅前通りに進出して洋画専門館「オリオン座」となった。さらに日方の県道沿いに洋画館「海南中央劇場」（通称はセントラル）が開館した。1953年頃の海南市には朝日座、海映、大映、東映、オリオン、セントラルの6館があった。1994年現在の海映跡地には玉井OAビルがある。1994年現在のオリオン座跡地には幸福銀行がある。1994年現在の海南中央劇場跡地には川広木材株式会社がある。時期不明の「海映」の写真あり。((海南市史編さん委員会『海南市史 第1巻 通史編』海南市、1994年、pp.1048-1049))
海南市の「中央劇場」は、野上電気鉄道から海南駅寄りの東側にあった。((『保存版 海南・有田今昔写真帖』郷土出版社、2008年))
1962年の海南市日方にあった国道42号（現・国道370号）の写真あり。市内電車の軌道が見える。左の「中央劇場」には『史上最大の作戦』の看板が見える。中央劇場では主に洋画が上映された。((『写真アルバム 海南・有田・御坊・日高の昭和』樹林舎、2020年、p.78))
*** 海南大映
所在地 : 和歌山県海南市船尾194（1957年）、和歌山県海南市船尾町194（1958年）、和歌山県海南市東浜（1960年）、和歌山県海南市船尾町194（1963年）、和歌山県海南市東浜194（1966年・1969年・1970年・1971年）
開館年 : 1956年頃
閉館年 : 1971年頃
1956年の映画館名簿には掲載されていない。1957年・1958年・1960年・1963年・1966年・1969年・1970年・1971年の映画館名簿では「海南大映」。1960年の映画館名簿では経営者が川口雅司、支配人が記載なし、木造1階、定員350、大映を上映。1970年の映画館名簿では経営者が川口雅司、支配人が小林秀子、木造1階冷暖房付、定員300、成人映画を上映。1972年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「ハローワークかいなん」西30mのガレージ。
1954年5月末をもって、海南市の「海南大映」が経営難で閉館した。責任者は松田幸長。海南市は人口3万4000人に対して5館という劇場過多であり、各館とも苦しい経営方法をとっていた。((「興行街」『キネマ旬報』1954年7月1日、95号))
海南市の東浜の歓楽街の一角には「大映」があった。最近までピンク映画館として上映を続けていたが閉館となった。大映通りの写真あり。((『ふるさとの想い出写真集 明治大正昭和 海南』国書刊行会、1980年、p.101))
海南大映は東浜から新地にちょっと入ったところにあった。((『保存版 海南・有田今昔写真帖』郷土出版社、2008年))
*** 新富座/海南東映/海南東映劇場
所在地 : 和歌山県海南市日方1186（1955年）、和歌山県海南市日方新富町（1960年）、和歌山県海南市日方町1168（1963年）、和歌山県海南市新富街1168（1966年・1969年・1970年・1971年）
開館年 : 1935年11月
閉館年 : 1971年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1935年11月開館。1950年・1953年・1955年の映画館名簿では「新富座」。1960年・1963年の映画館名簿では「海南東映」。1960年の映画館名簿では経営者が川口富三郎、支配人が小林秀子、木造2階冷暖房付、定員650、東映を上映。1966年・1969年・1970年・1971年の映画館名簿では「海南東映劇場」。1970年の映画館名簿では経営者が川口雅司、支配人が小林秀子、木造2階冷暖房付、定員520、東映・大映・日活を上映。1972年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「アールイー ダイタ月極駐車場」。最寄駅はJR紀勢本線海南駅。
1969年10月号の『ひろば』には海南電気工事店の広告が掲載されている。「海南市日方（海南東映前）」とある。((『ひろば』近畿建築士会協議会、第66号、1969年10月))
海南市の「新富座」は前面に櫓がある本格派の劇場であり、戦後には邦画専門館として東映作品を上映した。((『保存版 海南・有田今昔写真帖』郷土出版社、2008年))
昭和30年代の海南市日方にあった「新富座」の写真あり。「SINTOMIZA」「THEATRE SINTOMI」の文字が見える。芝居や浪曲を行う演芸場として親しまれた。高度経済成長期には映画館となり、「東映」と呼ばれて任侠ものなどを上映した。昭和40年代には海南市の映画館が相次いで閉館し、東映の跡地はパチンコ店となった。((『写真アルバム 海南・有田・御坊・日高の昭和』樹林舎、2020年、p.151))
*** 朝日座映画劇場/旭映画劇場/朝日座/朝映/朝日映画劇場/海南朝日映画劇場
所在地 : 和歌山県海草郡黒江町（1925年・1930年）、和歌山県海南市黒江町新地（1936年）、和歌山県海南市海南千日（1941年）、和歌山県海南市船尾（1943年・1947年）、和歌山県海南市船尾186（1950年）、和歌山県海南市船尾（1953年）、和歌山県海南市船尾186（1955年）、和歌山県海南市東浜（1960年）、和歌山県海南市船尾町186（1963年）、和歌山県海南市東浜186（1966年・1969年・1970年・1971年・1972年）
開館年 : 大正期（旭座）、1933年9月（朝日座）
閉館年 : 1972年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1933年9月開館。1925年の映画館名簿では「朝日座」。1930年の映画館名簿では「朝日館」。1936年・1941年・1943年・1947年の映画館名簿では「朝日座」。1950年の映画館名簿では「朝日座映画劇場」。1953年の映画館名簿では「朝日映画劇場」。1955年の映画館名簿では「朝映」。1960年の映画館名簿では「朝日映画劇場」。1960年の映画館名簿では経営者が川口富三郎、支配人が小林秀子、木造2階、定員850、東宝・新東宝を上映。1963年の映画館名簿では「朝日映劇」。1966年・1969年・1970年・1971年・1972年の映画館名簿では「海南朝日映画劇場」。1970年の映画館名簿では経営者が川口雅司、支配人が小林秀子、木造2階冷暖房付、定員400、東宝・松竹・洋画を上映。1973年の映画館名簿には掲載されていない。1985年の住宅地図では跡地に「倉橋内科」。跡地は「倉橋内科」廃墟。最寄駅はJR紀勢本線海南駅。
明治大正期、海南地方の娯楽演芸館は「朝日座」と「末広座」の2館のみだった。朝日座は黒江北ノ丁にあり、末広座は日方にあった。朝日座は明治時代から黒江北ノ丁旧熊野街道にあった。昭和初期に東浜に移築され、海南地方随一の映画館となった。戦後もこの地域随一の娯楽場として人気があった。1938年の朝日座の写真あり。((『ふるさとの想い出写真集 明治大正昭和 海南』国書刊行会、1980年、p.100))
1938年の「朝日座」の写真あり。朝日座は明治時代からあったが、昭和初期に移転改築した。((『映画黄金期 小屋と名作の風景 下巻』国書刊行会、1989年、p.37))
昭和30年代の「朝日座」の写真あり。戦後の海南市の劇場・映画館は6館まで増加した。東浜の朝日座では映画の上映も演劇の上演も行われた。((笠原正夫（監修）『目で見る 有田・海南の100年』郷土出版社、1994年、p.133))
1956年頃の「朝日座」の写真あり。もともとは黒江北ノ丁にあった「旭座」（※朝日座ではない）が、昭和初期に東浜に移転して「朝日座」（※旭座ではない）と改称した。実演と映画で話題を呼び、特に岡晴夫や近江俊郎の実演が人気だった。映画は日活系作品を上映し、昭和30年代には石原裕次郎や小林旭などのスターが人気だった。「朝映」の文字が見える。((『保存版 海南・有田今昔写真帖』郷土出版社、2008年))
1956年の海南市船尾（東浜）にあった「朝日座」の写真あり。太陽族ブームを巻き起こした『太陽の季節』の看板が見える。海南有数の演芸場であり、戦後には映画館となった。昭和40年代には子供向けの怪獣映画やマンガ映画も上映された。((『写真アルバム 海南・有田・御坊・日高の昭和』樹林舎、2020年、p.152))
*** 柳館/太陽館/海南映劇/海南映画劇場
所在地 : 和歌山県海草郡黒江町（1930年）、和歌山県海南市東浜（1936年・1941年）、和歌山県海南市船尾（1943年・1947年）、和歌山県海南市駅前（1953年）、和歌山県海南市日方282（1955年・1958年）、和歌山県海南市日方（1960年）、和歌山県海南市船尾町283（1960年）、和歌山県海南市日方282（1966年・1969年）、和歌山県海南市日方283（1971年・1973年・1977年・1978年・1979年）
開館年 : 1930年以前、1950年5月、1970年頃（ビル化）
閉館年 : 1979年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年5月開館。1930年の映画館名簿では「柳館」。1936年・1941年・1943年・1947年の映画館名簿では「太陽館」。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「海南映画劇場」。1960年の映画館名簿では経営者が川口雅司、支配人が岸真理子、木造2階、定員600、松竹・日活を上映。1966年・1969年の映画館名簿では「海南映劇」。1969年の映画館名簿では経営者が川口雅司、支配人が米田芳一、木造2階冷暖房付、定員420、松竹・大映を上映。1970年の映画館名簿には掲載されていない。1971年・1973年・1977年・1978年・1979年の映画館名簿では「海南映画劇場」。1971年の映画館名簿では経営者が川口雅司、支配人が小林秀子、鉄筋造3階冷暖房付、297席、洋画を上映。1977年のゼンリン住宅地図では「海映ビル 2階邦画劇場海映」。1979年の映画館名簿では経営会社が川口興行、経営者・支配人ともに川口雅司、鉄筋造1階冷暖房付、297席、邦画を上映。1980年の映画館名簿には掲載されていない。1985年の住宅地図では跡地に「OAビル 玉井事務機 玉井OAホール」。跡地は「日方公園」南東20mの民家数軒。最寄駅はJR紀勢本線海南駅。
海南市の映画館「海映」の前身は「太陽館」であり、当初は「柳館」と呼ばれた。柳館を建設して経営したのは、海南町長や海南市議会議員を務めた岩橋新三郎である。((『海南郷土史』海南市教育委員会、1954年))
1953年頃に『君の名は』を上映した際の「海映」の写真あり。((『ふるさとの想い出写真集 明治大正昭和 海南』国書刊行会、1980年、p.101))
1947年8月、戦前からあった映画館「太陽館」が焼失した。その後、日方茶屋浜に「海映」が再建され、さらに東浜西部に「大映」が設立された。海南市唯一の芝居劇場として「新富座」があったが、映画館に転換して「東映」に改称した。戦前の黒江坂には「末広座」があったが、駅前通りに進出して洋画専門館「オリオン座」となった。さらに日方の県道沿いに洋画館「海南中央劇場」（通称はセントラル）が開館した。1953年頃の海南市には朝日座、海映、大映、東映、オリオン、セントラルの6館があった。1994年現在の海映跡地には玉井OAビルがある。1994年現在のオリオン座跡地には幸福銀行がある。1994年現在の海南中央劇場跡地には川広木材株式会社がある。時期不明の「海映」の写真あり。((海南市史編さん委員会『海南市史 第1巻 通史編』海南市、1994年、pp.1048-1049))
海南市の「海映」では『君の名は』が上映され、海南の映画史上に残る大ヒットとなった。((『保存版 海南・有田今昔写真帖』郷土出版社、2008年))
1953年の海南市日方にあった「海映」（かいえい）の写真あり。ストールの巻き方が社会現象を巻き起こした『君の名は』の看板が見える。日方にある電車通りの城山南交差点付近、茶屋浜の楠の隣にあった。海映の閉館後にも屋台のラーメン店は営業を続けた。((『写真アルバム 海南・有田・御坊・日高の昭和』樹林舎、2020年、p.151))
** 紀の川市
*** 朝映/朝日座/朝映劇場/朝日映劇
所在地 : 和歌山県那賀郡池田村（1956年）、和歌山県那賀郡打田町（1958年）、和歌山県那賀郡打田町北大井（1960年・1962年）
開館年 : 1955年頃
閉館年 : 1962年頃
1955年の映画館名簿には掲載されていない。1956年の映画館名簿では「朝映」。1958年の映画館名簿では「朝日座」。1960年の映画館名簿では「朝映劇場」。1962年の映画館名簿では「朝日映劇」。1963年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 打映大国座/大国座/打田新劇
所在地 : 和歌山県那賀郡田中村打田駅前（1956年）、和歌山県那賀郡打田町（1958年）、和歌山県那賀郡打田町久留壁（1960年・1962年）
開館年 : 1955年頃
閉館年 : 1962年頃
1955年の映画館名簿には掲載されていない。1956年の映画館名簿では「打映大国座」。1958年の映画館名簿では「大国座」。1960年・1962年の映画館名簿では「打田新劇」。1963年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「打田駅」北北西90mにある建物。最寄駅はJR和歌山線打田駅。
1958年の打田町にあった「打田新劇」の写真あり。((小栗善高（編）『目で見る 橋本・伊都・那賀の100年』郷土出版社、1993年、p.145))
*** 粉河日劇
所在地 : 和歌山県那賀郡粉河町（1957年・1958年・1960年・1962年）
開館年 : 1956年頃
閉館年 : 1962年頃
1956年の映画館名簿には掲載されていない。1957年・1958年・1960年・1962年の映画館名簿では「粉河日劇」。1963年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 名洋劇場/名手東劇
所在地 : 和歌山県那賀郡那賀町名手西野（1959年・1960年・1962年・1963年）
開館年 : 1950年9月
閉館年 : 1962年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1955年・1959年の映画館名簿では「名洋劇場」。1960年・1962年の映画館名簿では「名手東劇」。1963年の映画館名簿では「名手東劇 休館中」。1964年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 白水座
所在地 : 和歌山県那賀郡粉河町（1953年）、和歌山県那賀郡粉河町天福町（1955年）、和歌山県那賀郡粉河町（1958年・1960年・1963年・1964年）
開館年 : 1914年10月1日、1950年9月
閉館年 : 1964年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1953年・1955年・1958年・1960年・1963年・1964年の映画館名簿では「白水座」。1965年の映画館名簿には掲載されていない。
1900年には粉河駅が開業し、駅前には旅館や料理屋が増えた。1914年10月1日、粉河町の置屋組合が「白水座」を開業させた。組合員は男女合わせて12人だった。((粉河町史専門委員会『粉河町史 第1巻』粉河町、2003年、p.863))
*** 中央劇場/名手中央劇場
所在地 : 和歌山県那賀郡名手町（1953年・1955年）、和歌山県那賀郡那賀町名手市場（1960年・1963年）、和歌山県那賀郡那賀町大字名手市場69（1966年・1967年・1968年）
開館年 : 1950年9月
閉館年 : 1968年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1953年・1955年の映画館名簿では「名手中央劇場」。1960年の映画館名簿では「中央劇場」。1963年・1966年・1967年・1968年の映画館名簿では「名手中央劇場」。1969年の映画館名簿には掲載されていない。
** 岩出市
*** 宮川座
所在地 : 和歌山県那賀郡岩出町（1953年・1955年）、和歌山県那賀郡岩出町331（1958年）、和歌山県那賀郡岩出町清水（1960年・1963年）
開館年 : 1913年8月、1950年9月
閉館年 : 1963年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「宮川座」。1963年の映画館名簿では経営者が中村熙、支配人が記載なし、木造2階、定員630。1964年の映画館名簿には掲載されていない。
1913年8月、清水の中村常吉によって資本金5500円で「宮川座」の前身である岩出演劇株式会社が設立された。この劇場では1か月に1回か2回の頻度で活動写真や芝居が興行された。やがて会社が解散して個人経営となり、戦後には常設映画館となって毎日映画を上映していたが、カラーテレビが普及したことで観客数が減少し、閉館となった。（※戦後の記述が宮川座であるのかどうかは曖昧である）((岩出町誌編集委員会『岩出町誌』岩出町、1976年、p.724))
1980年の岩出町にあった「宮川座」の写真あり。「宮川座」の文字が見える。岩出町は那賀郡における政治・経済・文化の中心地であり、娯楽施設として宮川座があった。無声映画や漫才が毎晩興行された。((『目で見る橋本・伊都・那賀の100年』郷土出版社、1993年、pp.146-147))
** 橋本市
*** 高野口座/高野口劇場
所在地 : 和歌山県伊都郡高野口町（1941年・1943年・1947年・1949年・1950年・1953年・1955年・1958年）、和歌山県伊都郡高野口町名倉（1960年・1962年）
開館年 : 1930年8月
閉館年 : 1962年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1930年8月開館。1936年の映画館名簿には掲載されていない。1941年・1943年・1947年の映画館名簿では「高野口座」。1949年の映画館名簿では「高野口劇場」。1950年の映画館名簿では「高野口座」。1953年・1955年・1958年・1960年・1962年の映画館名簿では「高野口劇場」。1963年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「紀陽銀行高野口支店」東側の駐車場。最寄駅はJR和歌山線高野口駅。
*** 明治座/橋本劇場/橋本座/都映画劇場/都映/橋本東映
所在地 : 和歌山県伊都郡橋本町（1943年・1947年）、和歌山県伊都郡橋本町大字古佐田（1949年）、和歌山県伊都郡橋本町（1950年・1953年・1955年）、和歌山県橋本市古佐田（1958年・1960年・1963年）
開館年 : 1939年9月
閉館年 : 1963年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1939年9月開館。1933年の大日本職業別明細図では「明治座」。1941年の映画館名簿には掲載されていない。1943年の映画館名簿では「明治座」。1947年の映画館名簿では「橋本劇場」。1949年・1950年の映画館名簿では「橋本座」。1953年・1955年の映画館名簿では「都映画劇場」。1958年・1960年の映画館名簿では「都映」。1963年の映画館名簿では「橋本東映」。1964年の映画館名簿には掲載されていない。1971年の住宅地図では跡地に「●●東映」。1994年の住宅地図では跡地に「スーパートーエイ橋本ショッピングセンター」。「橋本駅」南南東100mにある「スーパートーエイ橋本ショッピングセンター」廃墟。最寄駅はJR和歌山線橋本駅。
*** 八千代座
所在地 : 和歌山県伊都郡岸上村（1953年）、和歌山県伊都郡岸上村370（1955年）、和歌山県橋本市岸上370（1960年・1963年・1964年）
開館年 : 1950年以後1953年以前
閉館年 : 1964年頃
『全国映画館総覧 1955』には開館年が掲載されていない。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年の映画館名簿では「八千代座」。1958年の映画館名簿には掲載されていない。1960年・1963年・1964年の映画館名簿では「八千代座」。1965年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 葵座
所在地 : 和歌山県伊都郡応其村上浄寺（1927年）、和歌山県伊都郡高野口町（1949年・1950年・1953年・1955年・1958年）、和歌山県伊都郡高野口町小田（1960年・1963年・1964年・1965年）
開館年 : 1950年9月
閉館年 : 1965年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1927年の映画館名簿では「葵座」。1930年・1934年・1936年・1941年・1943年・1947年の映画館名簿には掲載されていない。1949年・1950年・1953年・1955年・1958年・1960年・1963年・1964年・1965年の映画館名簿では「葵座」。1966年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 橋本映劇/橋本劇場/橋本日活
所在地 : 和歌山県橋本市東家（1957年・1958年・1960年）、和歌山県橋本市東家216（1963年）、和歌山県橋本市東家4-4（1966年・1969年・1970年・1971年・1972年）
開館年 : 1956年頃
閉館年 : 1972年頃
1956年の映画館名簿には掲載されていない。1957年・1958年の映画館名簿では「橋本映劇」。1960年の映画館名簿では「橋本劇場」。1963年・1966年・1969年・1970年・1971年・1972年の映画館名簿では「橋本日活」。1973年の映画館名簿には掲載されていない。1994年の住宅地図では跡地に「土生駐車場」。跡地は「橋本簡易裁判所」北東90mにある駐車場。最寄駅はJR和歌山線橋本駅。
1970年の橋本劇場の写真あり。橋本市東家にある御殿橋の西側、国道24号の北側には橋本劇場があった。『太陽の季節』『狂った果実』『戦争と人間』『幕末』『家族』『木の群』など日活系の作品が多く上映された。生徒の映画鑑賞会も行われた。橋本劇場から北東に伸びる路地の両側はスナック街となっていた。2004年現在では映画館の建物は取り壊されて車庫が建ち、その手前の広場は駐車場となっている。((中野栄治（監修）『保存版 橋本・伊都・那賀今昔写真帖』郷土出版社、2004年、p.106))
国道24号の脇には映画館「橋本日活」があり、橋本日活から北に50mほど続く路地には10数軒の居酒屋・バー・スナックなどがひしめいていた。この路地を「浮世小路」と呼び、橋本・伊都地方では一番の歓楽街だった。((「[[古校舎移設しネオン街〜橋本『浮世小路』今昔>>http://hashimoto-news.com/special/special04/2011/05/12/2919/]]」『橋本新聞』2011年5月12日))
*** 高野口平和劇場/平和劇場
所在地 : 和歌山県伊都郡高野口町（1957年・1958年）、和歌山県伊都郡高野口町小田（1960年）、和歌山県伊都郡高野口町名倉（1963年・1966年・1969年・1973年・1975年・1978年・1980年・1985年・1990年・1992年）
開館年 : 1956年頃
閉館年 : 1992年頃
1956年の映画館名簿には掲載されていない。1957年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「平和劇場」。1966年・1969年・1973年・1975年・1978年・1980年・1985年の映画館名簿では「高野口平和劇場」。1990年・1992年の映画館名簿では「平和劇場」。1992年の映画館名簿では鉄筋造2階、323席、経営会社が岸田興業株式会社、経営者・支配人ともに岸田功、邦画・洋画を上映。1993年の映画館名簿には掲載されていない。跡地はファミリーマートとなり、跡地は国道24号「名倉」交差点北東角の「葬祭会館東京屋」。最寄駅はJR和歌山線高野口駅。
** 伊都郡かつらぎ町
*** 蛭子座
所在地 : 和歌山県伊都郡笠田町（1943年・1947年・1949年）、和歌山県伊都郡笠田町東666（1950年）
開館年 : 1941年以後1943年以前
閉館年 : 1950年以後1953年以前
1941年の映画館名簿には掲載されていない。1943年・1947年・1949年・1950年の映画館名簿では「蛭子座」。1953年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 日ノ出劇場/日之出劇場/日の出劇場/妙映/妙寺劇場/妙劇
所在地 : 和歌山県伊都郡妙寺町（1947年）、和歌山県伊都郡妙寺町大字妙寺（1949年）、和歌山県伊都郡妙寺町（1953年・1955年・1958年）、和歌山県伊都郡かつらぎ町妙寺（1960年・1961年）
開館年 : 1943年以後1947年以前、1951年1月
閉館年 : 1961年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1951年1月開館。1943年の映画館名簿には掲載されていない。1947年の映画館名簿では「日ノ出劇場」。1949年の映画館名簿では「日之出劇場」。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年の映画館名簿では「日の出劇場」。1955年の映画館名簿では「妙映」。1958年の映画館名簿では「妙寺劇場」。1960年・1961年の映画館名簿では「妙劇」。1962年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 桜映画劇場
所在地 : 和歌山県伊都郡笠田町（1953年）、和歌山県伊都郡笠田町701（1955年）、和歌山県伊都郡笠田町700（1958年）、和歌山県伊都郡かつらぎ町笠田東（1960年・1961年・1962年）
開館年 : 1950年9月
閉館年 : 1962年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年・1958年・1960年・1961年・1962年の映画館名簿では「桜映画劇場」。1963年の映画館名簿には掲載されていない。
** 伊都郡高野町
*** 高野山劇場
所在地 : 和歌山県伊都郡高野町（1959年）、和歌山県伊都郡高野町高野山438（1960年）、和歌山県伊都郡高野町高野山（1963年）、和歌山県伊都郡高野町（1964年・1965年）
開館年 : 1958年頃
閉館年 : 1965年頃
1958年の映画館名簿には掲載されていない。1959年・1960年・1963年・1964年・1965年の映画館名簿では「高野山劇場」。1966年の映画館名簿には掲載されていない。
** 伊都郡九度山町
映画館名簿によると伊都郡九度山町に映画館は存在しなかったと思われる。
** 海草郡紀美野町
*** 野上座
所在地 : 和歌山県海草郡東野上町（1953年・1955年・1958年）、和歌山県海草郡野上町字小畑（1960年・1963年・1964年・1965年）
開館年 : 1945年1月
閉館年 : 1965年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1945年1月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年・1958年・1960年・1963年・1965年の映画館名簿では「野上座」。1953年の映画館名簿では経営者が柿瀬米助、支配人が記載なし、木造2階、定員365、混合を上映。1958年の映画館名簿では経営者が柿瀬米助、支配人が玉川義城、木造2階、定員270、邦画を上映。1960年の映画館名簿では経営者が岩井玉和、支配人が玉川義城、木造2階、定員270、邦画を上映。1963年の映画館名簿では経営者が川口興業、支配人が玉川義城、木造2階、定員270、邦画を上映。1966年の映画館名簿には掲載されていない。
大正初期には東野上村小畑に紀州製糸会社の工場ができ、地域の発展に大きく寄与した。小畑には「野上劇場」ができ、1955年頃まで営業が続いた。((野上町誌編さん委員会『野上町誌 下巻』野上町、1985年、pp.211-212))
岩井玉和。1903年1月15日生まれ。1947年4月に和歌山県議会議員に当選、1951年4月に県議会議員を退任。1955年4月30日、初代野上町長に当選。1959年4月に町長に二選、1963年4月に町長に三選、1967年4月に町長に四選、1971年4月に町長を退任。((野上町誌編さん委員会『野上町誌 上巻』野上町、1985年、p.654、p.784、p.793))
1950年、野上小学校の児童が野上座で映画『日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声』を鑑賞した。((野上町誌編さん委員会『野上町誌 下巻』野上町、1985年、p.476))
* 和歌山県中部
** 有田市
*** 永楽座
所在地 : 和歌山県有田郡箕島町（1943年・1947年・1950年・1953年・1955年）、和歌山県有田市箕島町701（1958年・1960年・1962年）
開館年 : 1941年以後1943年以前
閉館年 : 1962年頃
『全国映画館総覧 1955』には開館年が掲載されていない。1941年の映画館名簿には掲載されていない。1943年・1947年・1950年・1953年・1955年・1958年・1960年の映画館名簿では「永楽座」。1962年の映画館名簿では「栄楽座」。1963年の映画館名簿には掲載されていない。
箕島にあった「永楽座」のイラストあり。二度の火災を経て3代目の建物となった永楽座では、芝居も活動写真も行われた。((西原俊秋『箕島の70年昔を語る』西原俊秋、1990年、表紙))
*** 有田会館
所在地 : 和歌山県有田郡有田町箕島（1956年）、和歌山県有田市箕島（1957年・1958年）、和歌山県有田市箕島841（1960年・1963年）
開館年 : 1955年頃
閉館年 : 1963年頃
1955年の映画館名簿には掲載されていない。1956年・1957年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「有田会館」。1959年の映画館名簿では経営者が大川安男、支配人が佐原宏、鉄筋造1階冷暖房付、定員304、邦画・洋画を上映。1963年の映画館名簿では経営者が太陽企業、鉄筋造1階冷暖房付、定員300、邦画を上映。1964年の映画館名簿には掲載されていない。
1962年8月1日、有田市に73番目の日活直営館「日活有田会館」が誕生した。鉄筋造平屋建て、定員300人。同日、御坊市に74番目の日活直営館「日活日吉座」が誕生した。経営はいずれも傍系の太陽企業。((「映画館ニュース」『キネマ旬報』1962年9月1日、320号))
*** 昭和映画劇場/有田箕島昭和映画劇場/箕島昭和映画劇場
所在地 : 和歌山県有田郡箕島885-1（1956年）、和歌山県有田市箕島町885-2（1958年）、和歌山県有田市箕島（1960年）、和歌山県有田市箕島町885（1973年・1976年）
開館年 : 1955年頃
閉館年 : 1978年頃
1955年の映画館名簿には掲載されていない。1956年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「昭和映画劇場」。1966年の映画館名簿では「有田箕島昭和映画劇場」。1969年・1973年・1976年の映画館名簿では「箕島昭和映画劇場」。1978年のゼンリン住宅地図では「昭和映劇」。1979年の映画館名簿には掲載されていない。跡地のスーパーマーケットは1982年閉店。「有田劇場」や「昭映」とも。跡地は「コーナン箕島店」西側の分譲住宅地。最寄駅はJR紀勢本線箕島駅。
昭和20年代の「昭映」の写真あり。箕島駅前には昭映があり、東宝系や大映系の作品が上映されていた。昭和40年代には東宝の『ゴジラ』シリーズ、大映の『ガメラ』シリーズが大ヒットした。閉館後には1991年の江口洋介主演の映画『真夏の少年』に1シーンだけ建物が登場した。((『保存版 海南・有田今昔写真帖』郷土出版社、2008年、p.97))
*** 箕島映画劇場/箕島東映/有田箕島映劇/箕島映劇
所在地 : 和歌山県有田郡箕島町（1953年）、和歌山県有田郡箕島町469（1955年）、和歌山県有田市箕島町469（1958年）、和歌山県有田市箕島469（1960年）、和歌山県有田市本町2（1963年）、和歌山県有田市箕島町469（1966年・1973年・1980年・1982年・1984年）
開館年 : 1950年9月
閉館年 : 1984年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1953年・1955年・1958年・1960年の映画館名簿では「箕島映画劇場」。1955年の映画館名簿では経営者が小川由松、支配人が小川稔、木造1階、定員186、上映作品は混合。1959年の映画館名簿では経営者が小川稔、木造2階建、400席、邦画を上映。1963年の映画館名簿では「箕島東映」。1963年の映画館名簿で経営者が小川平次、支配人が小川稔、木造2階建、500席、邦画を上映。1966年の映画館名簿では「有田箕島映劇」。1969年・1973年・1980年・1982年・1984年の映画館名簿では「箕島映劇」。1978年のゼンリン住宅地図では「箕島映劇」。1985年の映画館名簿には掲載されていない。「箕映」とも。跡地は「きのくに信用金庫箕島支店」の西100mの駐車場。最寄駅はJR紀勢本線箕島駅。
有田市の箕島市街地の映画館としては、駅前の「昭映」、本町の「箕映」、蓮池のほとりの「永楽座」、辰ヶ浜の「浜映」などがあった。箕映には2階に畳席があり、寝転びながら映画を観ることができた。((『保存版 海南・有田今昔写真帖』郷土出版社、2008年))
** 御坊市
*** 朝日座
所在地 : 和歌山県御坊市島248（1959年）、和歌山県御坊市春日町248（1960年）
開館年 : 1958年頃
閉館年 : 1960年頃
1958年の映画館名簿には掲載されていない。1959年・1960年の映画館名簿では「朝日座」。1961年の映画館名簿には掲載されていない。
御坊市の東町には仮設的な劇場として「朝日座」があった。1955年頃から約10年に渡って芝居や映画の興行を行っていた。((御坊市史編さん委員会『御坊市史 第二巻 通史編�供抔翹兄圈�1981年、p.802))
*** 日吉座/御坊日吉座
所在地 : 和歌山県日高郡御坊町（1950年・1953年）、和歌山県御坊市御坊町（1955年）、和歌山県御坊市薗町162（1958年）、和歌山県御坊市薗164（1960年・1963年）、和歌山県御坊市薗166-1（1966年・1969年・1973年）
開館年 : 1923年、1950年9月
閉館年 : 1971年
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1950年の映画館名簿では「御坊日吉座」。1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「日吉座」。1966年・1969年・1973年の映画館名簿では「御坊日吉座」。1975年の映画館名簿には掲載されていない。
1962年8月1日、有田市に73番目の日活直営館「日活有田会館」が誕生した。鉄筋造平屋建て、定員300人。同日、御坊市に74番目の日活直営館「日活日吉座」が誕生した。経営はいずれも傍系の太陽企業。((「映画館ニュース」『キネマ旬報』1962年9月1日、320号))
1923年、日高郡御坊町の石橋通に「日吉座」が開館した。戦後の一時期は「セントラル劇場」と改称して洋画を上映したが、後に日活直営館となった。1969年10月には1200席を320席に縮小してリニューアル開館したが、2年後の1971年に閉館した。((御坊市史編さん委員会『御坊市史 第二巻 通史編�供抔翹兄圈�1981年、p.802))
戦後には映画が手ごろな娯楽だった。戦後まもなく「老松座」と「日吉座」が営業再開し、さらにシネマスコープ上映館として松原通りに「グランド劇場」が、洋画専門館として中町2丁目に「中央劇場」が開館した。やがて経営不振で閉館が相次ぎ、1978年末にはグランド劇場の1館のみとなった。((御坊市史編さん委員会『御坊市史 第二巻 通史編�供抔翹兄圈�1981年、p.800))
*** 中央劇場/御坊中央劇場
所在地 : 和歌山県御坊市中町2-67（1960年・1963年）、和歌山県御坊市中町2（1966年・1969年・1973年・1975年・1976年）
開館年 : 1956年6月
閉館年 : 1976年11月
1955年の映画館名簿には掲載されていない。1960年・1963年の映画館名簿では「中央劇場」。1966年・1969年・1973年・1975年・1976年の映画館名簿では「御坊中央劇場」。1978年の映画館名簿には掲載されていない。1979年のゼンリン住宅地図では「中央劇場」。1985年のゼンリン住宅地図では跡地に空白。跡地は「御坊市地内町会館」の東側にある「カラオケ喫茶未来」（※閉店済）専用駐車場。最寄駅は紀州鉄道紀州鉄道線西御坊駅。
1956年6月、中町2丁目に洋画専門館として「中央劇場」が開館した。1956年末の『十戒』、1965年初頭の『ベン・ハー』などは学生や若者の人気を得た。1976年11月に閉館した。((御坊市史編さん委員会『御坊市史 第二巻 通史編�供抔翹兄圈�1981年、p.802))
*** 老松座/御坊老松座
所在地 : 和歌山県日高郡御坊町（1950年・1953年）、和歌山県御坊市御坊町319（1955年）、和歌山県御坊市薗252（1958年）、和歌山県御坊市薗219（1960年・1963年・1966年・1969年・1973年・1975年・1978年）
開館年 : 1905年7月
閉館年 : 1978年10月
『全国映画館総覧 1955』によると1905年7月開館。1950年・1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「老松座」。1966年・1969年・1973年・1975年・1978年の映画館名簿では「御坊老松座」。1979年のゼンリン住宅地図では「老松座」。1980年の映画館名簿には掲載されていない。1985年のゼンリン住宅地図では跡地に駐車場。跡地は「天性寺」北北東70mの駐車場。最寄駅は紀州鉄道紀州鉄道線西御坊駅。
1902年、御坊町の元町に「老松座」が開館して芝居を上演した。後に映画館となったが、1978年10月に閉館した。座席数は約300席。((御坊市史編さん委員会『御坊市史 第二巻 通史編�供抔翹兄圈�1981年、p.802))
*** 東映グランド劇場/御坊東映グランド劇場/御坊グランド劇場/グランド劇場
所在地 : 和歌山県御坊市薗489（1960年）、和歌山県御坊市松原通（1963年・1966年・1969年・1973年・1975年・1978年・1980年・1985年）、和歌山県御坊市松原通510（1990年・1992年・1993年）
開館年 : 1955年9月
閉館年 : 1993年頃
1955年の映画館名簿には掲載されていない。1960年の映画館名簿では「グランド劇場」。1963年の映画館名簿では「東映グランド劇場」。1966年・1969年・1973年の映画館名簿では「御坊東映グランド劇場」。1975年・1978年・1980年・1985年の映画館名簿では「御坊グランド劇場」。1979年のゼンリン住宅地図では「東映グランド劇場」。1985年のゼンリン住宅地図では「御坊グランド劇場」。1990年・1992年・1993年の映画館名簿では「グランド劇場」。1994年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「高辻内科胃腸科」専用駐車場と「三ツ星薬局御坊店」。最寄駅は紀州鉄道紀州鉄道線西御坊駅。
1955年9月、松原通に「グランド劇場」が開館した。東映系の時代劇が盛況だったが、漫画映画、文学作品の映画化作品（『伊豆の踊子』『絶唱』）なども人気だった。((御坊市史編さん委員会『御坊市史 第二巻 通史編�供抔翹兄圈�1981年、p.802))
*** ジストシネマ御坊
所在地 : 和歌山県御坊市湯川町財部181 ロマンシティ御坊3階（2000年・2005年・2010年・2015年・2020年）
開館年 : 1999年11月27日
閉館年 : 営業中
1995年の映画館名簿には掲載されていない。2000年・2005年・2010年・2015年・2020年の映画館名簿では「ジストシネマ御坊1・2・3」（3館）。最寄駅は紀州鉄道紀州鉄道線学門駅。
** 有田郡湯浅町
*** 旭劇場/湯浅旭劇場
所在地 : 和歌山県有田郡湯浅町（1950年・1953年）、和歌山県有田郡湯浅町1291（1955年）、和歌山県有田郡湯浅町（1958年）、和歌山県有田郡湯浅町湯浅（1960年）、和歌山県有田郡湯浅町湯浅129（1966年）、和歌山県有田郡湯浅町湯浅1291（1969年・1970年・1971年）
開館年 : 1929年? 1930年?
閉館年 : 1971年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1950年・1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「旭劇場」。1966年・1969年・1970年・1971年の映画館名簿では「湯浅旭劇場」。1972年の映画館名簿には掲載されていない。
国鉄紀勢本線が和歌山駅から延伸される際、市街地に拡張の余地がなかった湯浅では、島之内地域の水田を埋め立てて市街地を拡張した。1930年にはこの埋立地にいち早く「旭劇場」が建設された。戦後の映画人気にこたえて、1948年には畳敷きだった旭劇場が腰掛式座席となった。((湯浅町誌編纂委員会『湯浅町誌』湯浅町、1967年、p.994))
昭和30年代の湯浅町にあった「旭座」の写真あり。((『写真で綴る湯浅町 湯浅町制施行100周年記念』湯浅町、1996年))
昭和30年代の旭劇場の写真あり。1929年には湯浅町の島之内に「旭劇場」が開館した。旭劇場のおかげで湯浅町や広川町で映画が人気となり、両町にライバル館が続々と開館した。((『保存版 海南・有田今昔写真帖』郷土出版社、2008年、p.97))
1930年には湯浅町島の内に芝居小屋「旭劇場」ができ、戦後には映画館として営業した。旭劇場の写真あり。(([[湯浅町文化財保存活用地域計画>>https://www.town.yuasa.wakayama.jp/uploaded/attachment/5333.pdf]] 湯浅町、2021年))
*** 湯浅東映/湯浅会館
所在地 : 和歌山県有田郡湯浅町（1953年）、和歌山県有田郡湯浅町395（1955年）、和歌山県有田郡湯浅町（1958年）、和歌山県有田郡湯浅町湯浅（1960年）、和歌山県有田郡湯浅町（1963年）、和歌山県有田郡湯浅町湯浅（1966年・1969年・1970年・1971年・1972年）
開館年 : 1949年10月
閉館年 : 1972年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1949年10月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年・1958年・1960年の映画館名簿では「湯浅会館」。1963年の映画館名簿では「湯浅東映」。1966年・1969年・1970年・1971年・1972年の映画館名簿では「湯浅会館」。1973年の映画館名簿には掲載されていない。1978年の住宅地図では「湯浅会館（映劇）」。跡地は「真楽寺」北西50mにある月極駐車場「薮田駐車場�供廖�最寄駅はJR紀勢本線湯浅駅。
1949年には湯浅町浜町に映画館として「湯浅会館」が開館した。((湯浅町誌編纂委員会『湯浅町誌』湯浅町、1967年、p.994))
** 有田郡広川町
*** 広映劇場/広映画劇場
所在地 : 和歌山県有田郡広川町広町491（1955年）、和歌山県有田郡広川町199（1958年）、和歌山県有田郡広川町（1960年・1962年）
開館年 : 1950年1月
閉館年 : 1962年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年1月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年の映画館名簿では「広映画劇場」。1958年の映画館名簿では「広映劇場」。1960年・1962年の映画館名簿では「広映画劇場」。1963年の映画館名簿には掲載されていない。
戦後の映画人気にこたえて、1948年には畳敷きだった湯浅町の「旭劇場」が腰掛式座席となった。次いで湯浅町に隣接する広川町に映画館の「広映」が開館し、湯浅町と広川町に計3館の映画館が鼎立した。((湯浅町誌編纂委員会『湯浅町誌』湯浅町、1967年、p.994))
** 有田郡有田川町
*** 金屋東映
所在地 : 和歌山県有田郡吉備町大字庄（1960年・1961年）
開館年 : 1959年頃
閉館年 : 1961年頃
1959年の映画館名簿には掲載されていない。1960年・1961年の映画館名簿では「金屋東映」。1963年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 橘座
所在地 : 和歌山県有田郡藤並村下津野（1955年）、和歌山県有田郡吉備町263（1958年）、和歌山県有田郡吉備町下津野（1960年）、和歌山県有田郡吉備町大字下津野（1961年）
開館年 : 1949年11月
閉館年 : 1961年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1949年11月開館。1953年の映画館名簿には掲載されていない。1955年・1958年・1960年・1961年の映画館名簿では「橘座」。1962年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 金屋口劇場
所在地 : 和歌山県有田郡吉備町185（1957年・1958年）、和歌山県有田郡吉備町徳田（1960年・1962年）
開館年 : 1956年頃
閉館年 : 1962年頃
1956年の映画館名簿には掲載されていない。1957年・1958年・1960年・1962年の映画館名簿では「金屋口劇場」。1963年の映画館名簿には掲載されていない。
1979年の有田川町徳田にあった金屋口青果市場の写真あり。金屋口は奥有田の玄関口として栄え、「金屋口劇場」「中央会館」の2館の映画館もあった。((『写真アルバム 海南・有田・御坊・日高の昭和』樹林舎、2020年、p.82))
*** 天満映画劇場
所在地 : 和歌山県有田郡吉備町（1956年・1957年）、和歌山県有田郡金屋町104（1958年）、和歌山県有田郡金屋町中井原（1960年・1963年・1964年・1965年）
開館年 : 1955年頃
閉館年 : 1965年頃
1955年の映画館名簿には掲載されていない。1956年・1957年・1958年・1960年・1963年・1964年・1965年の映画館名簿では「天満映画劇場」。1966年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 清水東宝カネタマル劇場
所在地 : 和歌山県有田郡清水町325（1966年・1969年・1970年）
開館年 : 1952年
閉館年 : 1970年頃
1965年の映画館名簿には掲載されていない。1966年・1969年・1970年の映画館名簿では「清水東宝カネタマル劇場」。1970年の映画館名簿では経営者が太田種吉、支配人が向井彰、木造2階、定員400、東宝を上映。1971年の映画館名簿には掲載されていない。
清水町の太田種吉は八幡神社の馬場先に公会堂を設けたが売却し、1952年には工費200万円で「かねたまる劇場」を建設した。1958年には生石を越えて牛乳を運ぶ貨物運送を開始した。太田種吉は村会議員、清水町会議員でもあったが、1970年に69歳で死去した。((清水町誌編さん委員会『清水町誌 下巻 本編』清水町、1998年、pp.749-750、p.898))
2015年のこのほど、湯浅町湯浅の銭湯を利用した歴史資料館「甚風呂」で、「昭和の映画ポスター展」が開催されている。昭和40年代後半まで清水町清水（現・有田川町清水）にあった映画館「カネタマル劇場」にあったポスターを寄贈されたことがきっかけ。ポスターを寄贈した炭原美幸は劇場経営者の長女であり、ザ・タイガースが主演した映画や怪獣映画などを観て育った。((「銀幕ポスターが熱い 湯浅・甚風呂 黒沢監督や森繁作品」『読売新聞』2015年3月30日))
** 日高郡由良町
*** 由良劇場
所在地 : 和歌山県日高郡由良村大字里（1947年）、和歌山県日高郡由良町由良港（1949年）、和歌山県日高郡由良町（1950年・1953年・1955年・1958年）、和歌山県日高郡由良町里（1960年・1963年）、和歌山県日高郡由良町横浜（1966年・1968年）
開館年 : 1940年6月
閉館年 : 1968年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1940年6月開館。1943年の映画館名簿には掲載されていない。1947年・1949年・1950年・1953年・1958年・1960年・1963年・1966年・1968年の映画館名簿では「由良劇場」。1969年の映画館名簿には掲載されていない。
** 日高郡印南町
*** 朝日館/朝日座/印南朝日座
所在地 : 和歌山県日高郡印南町（1953年・1955年・1958年）、和歌山県日高郡印南町印南（1960年・1963年）、和歌山県日高郡印南町2295（1966年）
開館年 : 1920年5月
閉館年 : 1961年9月16日
『全国映画館総覧 1955』によると1920年5月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年の映画館名簿では「朝日館」。1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「朝日座」。1966年の映画館名簿では「印南朝日座」。1969年の映画館名簿には掲載されていない。
昭和初期の印南には「朝日座」が開館して映画が人気となった。当初は洲崎楠五郎が経営者であり、やがて久保為二や酒井長助が引き継いだ。切目や稲原などからも観客を集めた。1961年9月16日の第2室戸台風で倒壊して閉館した。((印南町史編集室『印南町史 通史編 下巻』印南町、1990年、pp.1506-1507))
** 日高郡みなべ町
*** 千歳座/千歳劇場/南部千歳劇場
所在地 : 和歌山県日高郡南部町（1953年）、和歌山県日高郡南部町195（1955年）、和歌山県日高郡南部町（1958年）、和歌山県日高郡南部町北道（1960年）、和歌山県日高郡南部町（1963年）、和歌山県日高郡南部町北道195（1966年・1969年）
開館年 : 1932年、1939年8月
閉館年 : 1971年
『全国映画館総覧 1955』によると1939年8月開館。1950年・1953年の映画館名簿では「千歳座」。1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「千歳劇場」。1966年・1969年の映画館名簿では「南部千歳劇場」。1973年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「メガネの松原」や「松寿司本店」の裏側にある駐車場。最寄駅はJR紀勢本線南部駅。
1933年には南部町に「千歳座」ができ、映画の上映や芝居の上演を行った。((南部町町誌編纂委員会『南部町年表』南部町、1987年、p.143))
1931年に北道の高見共同墓地が移転して広い空地ができたため、1932年には株式組織で「千歳座」が開館した。当時は「墓地跡は繁昌する」と言われていたのである。千歳座の開館によって、南道の稲荷神社北隣にあった「三共座」が閉館している。1943年には「千歳劇場」に改称して映画の常設館となった。1971年には千歳劇場が閉館し、1992年に建物が取り壊された。時期不明の千歳劇場の写真あり。1971年3月16日の『梅洋新聞』に掲載された最後の映画広告には、勝新太郎&藤田弓子主演の『どでかい奴』と高橋英樹&和泉雅子主演の『風の天狗』が掲載されている。((南部町史編さん委員会『南部町史 通史編 第三巻』南部町、1996年、pp.814-815))
1960年代にはみなべ町唯一の映画館だった「千歳座」が閉館した。布団店を経営する冨士八郎の先代は、千歳座から約1000枚近いポスターを買い取った。森繁久彌主演の社長シリーズ、勝新太郎主演の座頭市シリーズ、高倉健主演の網走番外地シリーズ、怪獣ガメラシリーズ、東映まんがまつりなどのポスターがある。((「昭和の映画ポスター1000枚 みなべ・冨士さん 活用呼びかけ」『読売新聞』2010年5月7日))
昭和末期から平成初期の南部町北道にあった映画館「千歳座」廃墟の写真あり。1931年にみなべ町まで鉄道が敷設されたことで、1932年に高見共同墓地跡地の空き地に千歳座が開館した。1943年には千歳劇場に改称して常設映画館となった。『東京オリンピック』や『黒部の太陽』は学校鑑賞の対象となった。1971年に閉館し、1992年に建物が取り壊された。((『写真アルバム 海南・有田・御坊・日高の昭和』樹林舎、2020年、p.152))
** 日高郡美浜町
映画館名簿によると日高郡美浜町に映画館は存在しなかったと思われる。
** 日高郡日高町
映画館名簿によると日高郡日高町に映画館は存在しなかったと思われる。
** 日高郡日高川町
映画館名簿によると日高郡日高川町に映画館は存在しなかったと思われる。
* 和歌山県南部
** 田辺市
*** 葵映画劇場/田辺葵映画劇場
所在地 : 和歌山県田辺市下屋敷町（1953年）、和歌山県田辺市下屋敷町1-1（1955年・1958年・1960年・1963年）、和歌山県田辺市下屋敷町1（1966年・1969年・1973年・1974年）
開館年 : 1950年9月
閉館年 : 1974年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「葵映画劇場」。1966年・1969年・1973年・1974年の映画館名簿では「田辺葵映画劇場」。1972年のゼンリン住宅地図では「葵映劇場」。1978年のゼンリン住宅地図では跡地に空白。1975年・1976年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「奨楽写真館」。最寄駅はJR紀勢本線紀伊田辺駅。
1952年の田辺市にあった「葵映画劇場」の写真あり。下屋敷町のアオイ通りにあった。昭和30年代の田辺市には、「常磐座」「住吉座」「錦輝館」「葵映画劇場」「ハリウッド劇場」の5館の映画館があった。((『紀南の昭和』樹林舎、2017年、p.77))
*** 田辺東映ハリウッド劇場/ハリウッド劇場/田辺東映/田辺ハリウッド劇場/田辺東映劇場/田辺ハリウッド
所在地 : 和歌山県田辺市権現松原（1953年）、和歌山県田辺市湊655（1955年）、和歌山県田辺市紺屋町（1958年）、和歌山県田辺市湊町655（1960年・1963年）、和歌山県田辺市湊655（1966年・1969年・1973年・1980年・1981年）
開館年 : 1950年7月
閉館年 : 1981年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年7月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年・1957年の映画館名簿では「ハリウッド劇場」。1959年の映画館名簿では「田辺東映ハリウッド劇場」。1958年の映画館名簿では「田辺東映」。1960年の映画館名簿では「ハリウッド劇場」。1963年の映画館名簿では「田辺東映」。1966年・1969年の映画館名簿では「田辺ハリウッド劇場」。1972年のゼンリン住宅地図では「ハリウッド劇場」。1973年の映画館名簿では「田辺東映劇場」。1978年のゼンリン住宅地図では「ハリウッド劇場」。1980年・1981年の映画館名簿では「田辺ハリウッド」。1982年の映画館名簿には掲載されていない。1982年・1984年のゼンリン住宅地図では跡地に空白。跡地は「東京海上日動火災保険田辺支社」。最寄駅はJR紀勢本線紀伊田辺駅。
昭和30年代の田辺市の宮地通り商店街の写真あり。現在のホテルニュータナベ付近から仮庵山を望んでいる。中央奥には闘鶏神社の鳥居が見え、右奥には映画館「ハリウッド劇場」が見えている。((『写真アルバム 紀南の昭和』樹林舎、2017年、p.74))
*** 錦輝館/田辺錦輝館
所在地 : 和歌山県西牟婁郡田辺町（1934年）、和歌山県西牟婁郡田辺町大字湊（1936年）、和歌山県西牟婁郡田辺町湊（1941年）、和歌山県田辺市湊（1943年・1947年・1950年）、和歌山県田辺市湊町（1953年）、和歌山県田辺市湊1695（1955年）、和歌山県田辺市湊町1695（1958年・1960年・1963年）、和歌山県田辺市湊1695（1966年・1969年・1973年・1980年・1985年）
開館年 : 1927年5月10日
閉館年 : 1985年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1930年の映画館名簿には掲載されていない。1934年・1936年・1941年・1943年・1947年・1950年・1953年・1955年・1958年・1960年の映画館名簿では「錦輝館」。1969年・1973年・1980年・1985年の映画館名簿では「田辺錦輝館」。1972年のゼンリン住宅地図では「錦輝館（映劇）」。1978年・1984年のゼンリン住宅地図では「錦輝館」。1986年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「田辺市民総合センター」南西の「西川医院」。最寄駅はJR紀勢本線紀伊田辺駅。
1927年2月20日に建設中の「錦輝館」を写した写真あり。同年5月10日に開館日の錦輝館に並ぶ人々の写真あり。錦輝館は開館当初から活動写真の常設館だった。((『ふるさとの想い出写真集 明治大正昭和 田辺』国書刊行会、1980年、p.106))
昭和初期の「錦輝館」の写真あり。1927年5月、浄行寺の近くに錦輝館が開館した。((杉中浩一郎（監修）『目で見る 田辺・西牟婁の100年』郷土出版社、1994年、p.91))
1927年5月10日の開館当日の「錦輝館」の写真あり。((『映画黄金期 小屋と名作の風景 下巻』国書刊行会、1989年、p.37))
*** 住吉館/住吉座/田辺住吉座
所在地 : 和歌山県西牟婁郡田辺町紺屋町（1930年・1934年・1936年・1941年）、和歌山県田辺市紺屋町（1943年・1947年・1949年）、和歌山県田辺市紺屋町68（1955年・1958年・1960年・1963年・1966年・1969年・1973年）、和歌山県田辺市紺屋町62（1980年）、和歌山県田辺市紺屋町68（1985年・1986年）
開館年 : 1930年以前、1950年9月
閉館年 : 1986年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1930年・1934年・1936年の映画館名簿では「住吉館」。1941年・1943年・1947年・1949年・1950年・1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「住吉座」。1969年・1973年・1980年・1985年の映画館名簿では「田辺住吉座」。1972年のゼンリン住宅地図では「住吉座（映劇）」。1978年・1984年のゼンリン住宅地図では「住吉座」。1986年の映画館名簿では「住吉座」。1987年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「稲荷神社」西側で「紺屋町屋」東側の三角地帯。最寄駅はJR紀勢本線紀伊田辺駅。
*** 田辺大映/田辺常盤座/常盤座/トキワ座
所在地 : 和歌山県西牟婁郡田辺町大字新地（1936年）、和歌山県西牟婁郡田辺町新地（1941年）、和歌山県田辺市上屋敷（1943年・1947年）、和歌山県田辺市上屋敷33（1950年）、和歌山県田辺市上屋敷町（1953年）、和歌山県田辺市上屋敷町33（1960年・1963年・1966年）、和歌山県田辺市上屋敷町（1969年）、和歌山県田辺市上屋敷町33（1973年・1980年・1985年・1990年・1992年・1995年）
所在地 : 和歌山県西牟婁郡田辺町大字新地（1936年）、和歌山県西牟婁郡田辺町新地（1941年）、和歌山県田辺市上屋敷（1943年・1947年）、和歌山県田辺市上屋敷33（1950年）、和歌山県田辺市上屋敷町（1953年）、和歌山県田辺市上屋敷町33（1960年・1963年・1966年）、和歌山県田辺市上屋敷町（1969年）、和歌山県田辺市上屋敷町33（1973年・1980年・1985年・1990年・1995年）
開館年 : 1934年以後1936年以前
閉館年 : 1995年8月16日
1934年の映画館名簿には掲載されていない。1936年・1941年・1943年・1947年・1950年・1953年の映画館名簿では「常盤座」。1955年の映画館名簿には掲載されていない。1960年の映画館名簿では「田辺大映」。1969年・1973年・1980年・1985年の映画館名簿では「田辺常盤座」。1972年のゼンリン住宅地図では「常盤座（映劇）」。1978年・1984年のゼンリン住宅地図では「常磐座」（盤ではない）。1990年の映画館名簿では「常磐座」。1992年・1995年の映画館名簿では「トキワ座」。1996年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は2018年開所の高齢者介護施設「アネックス生翔」。最寄駅はJR紀勢本線紀伊田辺駅。
1995年8月16日をもって、田辺市唯一の映画館「トキワ座」が閉館する。1932年に志波弘次郎が芝居興行中心の劇場「常磐座」を開館させ、戦時中に映画も上映するようになった。長谷川一夫、片岡千恵蔵、大友柳太朗、宝塚少女歌劇団などが来演したこともある。かつて田辺市街地には7館の映画館があったが、テレビの普及などで次々に閉館した。作家の村松友視は雑誌『太陽』1988年11月号でトキワ座を紹介している。閉館時点でも小道具小屋・座長部屋・廻り舞台などを有している。((「最後の映画館、幕」『朝日新聞』1995年8月15日))
閉館年 : 1995年頃
1934年の映画館名簿には掲載されていない。1936年・1941年・1943年・1947年・1950年・1953年の映画館名簿では「常盤座」。1955年の映画館名簿には掲載されていない。1960年の映画館名簿では「田辺大映」。1969年・1973年・1980年の映画館名簿では「田辺常盤座」。1972年のゼンリン住宅地図では「常盤座（映劇）」。1978年・1984年のゼンリン住宅地図では「常磐座」（盤ではない）。1990年の映画館名簿では「常盤座」。1995年の映画館名簿では「トキワ座」。1996年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は2018年開所の高齢者介護施設「アネックス生翔」。最寄駅はJR紀勢本線紀伊田辺駅。
村松友視『黄昏のムービー・パレス』には、「田辺トキワ座」に関する随筆が掲載されている。((村松友視『黄昏のムービー・パレス』平凡社、1999年))
*** ジストシネマ田辺1・2・3
所在地 : 和歌山県田辺市稲成町新江原3229 パビリオンシティ田辺C館3階（2000年・2005年・2010年・2015年・2020年）
開館年 : 1996年
閉館年 : 営業中
1995年の映画館名簿には掲載されていない。2000年・2005年・2010年・2015年・2020年の映画館名簿では「ジストシネマ田辺1・2・3」（3館）。最寄駅はJR紀勢本線紀伊田辺駅。
** 新宮市
*** 新天地劇場
所在地 : 和歌山県東牟婁郡新宮町（1930年）
開館年 : 1930年以前
閉館年 : 1930年以後1936年以前?
1930年の映画館名簿では「新天地劇場」。1936年の映画館名簿では経営者が奥田辰之助、支配人が古那木三平、電話が201、帝国キネマ・マキノを上映。1943年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 帝国館
所在地 : 和歌山県新宮市谷王町（1936年）
開館年 : 1930年以後1936年以前
閉館年 : 1936年以後1941年以前
1930年の映画館名簿には掲載されていない。1936年の映画館名簿では「帝国館」。1936年の映画館名簿では経営者が矢倉虎一、電話が278、松竹を上映。1941年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 第二朝日座
所在地 : 和歌山県新宮市新宮491（1936年）
開館年 : 1930年以後1936年以前
閉館年 : 1936年以後1941年以前
1930年の映画館名簿には掲載されていない。1936年の映画館名簿では「第二朝日座」。1936年の映画館名簿では経営者が雑古秀一、支配人が有井誠三、電話が579、日活・新東宝を上映。1941年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 朝日座
所在地 : 和歌山県新宮市谷王地（1936年）
開館年 : 1930年以後1936年以前
閉館年 : 1936年以後1941年以前
1930年の映画館名簿には掲載されていない。1936年の映画館名簿では「朝日座」。1936年の映画館名簿では経営者が雑古秀一、支配人が末松貞一、電話が579、発声器は野村式、映写機は野村式、日活・新東宝を上映。1941年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 浮島劇場
所在地 : 和歌山県新宮市浮島町（1941年）
開館年 : 1936年以後1941年以前
閉館年 : 1941年以後1943年以前
1936年の映画館名簿には掲載されていない。1941年の映画館名簿では「浮島劇場」。1943年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 日の出座/新宮日の出映画劇場/南芳劇場/南芳映画劇場/新宮松竹
所在地 : 和歌山県新宮市日の出通（1941年）、和歌山県新宮市日の出通り（1943年）、和歌山県新宮市日ノ出町505（1947年）、和歌山県新宮市日ノ出町（1949年）、和歌山県新宮市馬町525（1950年）、和歌山県新宮市日の出通（1953年）、和歌山県新宮市日之出通（1955年）、和歌山県新宮市馬町2-3（1958年）、和歌山県新宮市新宮馬町2-3-1（1960年）、和歌山県新宮市新宮505（1963年）
開館年 : 1936年以後1941年以前、1949年3月
閉館年 : 1963年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1949年3月開館。1936年の映画館名簿には掲載されていない。1941年・1943年の映画館名簿では「日の出座」。1943年の映画館名簿では経営者が堀内徳太郎、電話が新宮394、定員774、発声器がローラー、映写機がローラー。1947年の映画館名簿では「日ノ出座」。1949年の映画館名簿では「日ノ出映画劇場」。1950年の映画館名簿では「新宮日の出映画劇場」。1953年の映画館名簿では「南芳劇場」。1955年の映画館名簿では「南芳映画劇場」。1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「新宮松竹」。1964年の映画館名簿には掲載されていない。
明治末期には新宮町の劇場「新玉座」が取り壊され、木田定三郎によって劇場「日の出座」が建設された。当初は井桁万亀太郎が座元だったが、やがて堀内作松が興行権を取得した。1961年現在の「松竹映画館」の場所である。((永広柴雪『新宮あれこれ』紀南新聞出版部、1961年、pp.427-429))
*** くまの座/熊野座
所在地 : 和歌山県新宮市三輪崎町（1941年）、和歌山県新宮市三輪崎（1953年）、和歌山県新宮市三輪崎827（1955年）、和歌山県新宮市三輪崎町13（1958年）、和歌山県新宮市三輪崎827（1960年）、和歌山県新宮市三輪崎35（1963年・1964年・1965年）
開館年 : 1938年8月
閉館年 : 1965年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1938年8月開館。1936年の映画館名簿には掲載されていない。1941年の映画館名簿では「熊野座」。1943年・1947年・1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年の映画館名簿では「熊野座」。1955年の映画館名簿では「くまの座」。1958年・1960年・1963年・1964年・1965年の映画館名簿では「熊野座」。1966年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 新宮東宝映画劇場/新宮東宝/新宮東宝劇場
所在地 : 和歌山県新宮市新宮（1953年・1955年）、和歌山県新宮市仲之町7-1（1958年）、和歌山県新宮市新宮407-1（1960年）、和歌山県新宮市横町2-1-5（1963年・1966年・1969年・1970年）
開館年 : 1949年2月1日
閉館年 : 1970年4月20日
『全国映画館総覧 1955』によると1950年10月開館。1950年の映画館名簿では「新宮東宝映画劇場」。1953年・1955年の映画館名簿では「新宮東宝」。1958年の映画館名簿では「新宮東宝劇場」。1960年・1963年の映画館名簿では「新宮東宝」。1966年・1969年・1970年の映画館名簿では「新宮東宝劇場」。1970年のゼンリン住宅地図では「新宮東宝劇場」。1973年の映画館名簿には掲載されていない。1977年のゼンリン住宅地図では跡地に「東宝駐車場」。跡地は「新宮東宝駐車場」。最寄駅はJR紀勢本線新宮駅。
1949年2月1日、新宮市に映画館「新宮東宝」が開館した。1970年4月20日、新宮東宝から出火して民家10軒が焼失した。((新宮市編さん委員会『新宮市史』新宮市、1972年、p.1040、p.1064))
新宮市の横町には「東宝映画館」があり、『ゴジラ』などが上映された。昭和30年代の東宝映画館の写真あり。1970年の火災後に閉館し、跡地にはボウリング場を建てる計画もあったが、駐車場用地が確保できなかったため計画倒れに終わった。熊野地方初の東宝ボウリング場は鴻田に開店している（新宮東宝ボウル）。2004年現在の跡地は東宝駐車場となっている。((前千雄（監修）『保存版 新宮・熊野今昔写真帖』郷土出版社、2004年、p.80))
1971年の新宮市横町にあった「新宮東宝」の写真あり。戦後の新宮市には松竹、大映など4館の映画館があった。新宮東宝では「ゴジラ」シリーズ、「モスラ」シリーズ、『日本沈没』、加山雄三主演の「若大将」シリーズなどが上映された。舟木一夫の公演が行われたこともあった。((『写真アルバム 東紀州の昭和』樹林舎、2020年、p.口絵8))
*** 新宮大映/新宮東映/新宮東映劇場
所在地 : 和歌山県新宮市新宮505（1956年）、和歌山県新宮市馬町2-3（1958年）、和歌山県新宮市新宮馬町2-3-17（1960年・1963年）、和歌山県新宮市馬場2-3-17（1966年・1969年・1973年）、和歌山県新宮市新宮馬町2-3-17（1975年・1978年）、和歌山県新宮市馬場2-3-17（1980年・1985年）
開館年 : 1956年頃
閉館年 : 1985年
1956年の映画館名簿には掲載されていない。1957年・1958年の映画館名簿では「新宮大映」。1960年・1963年の映画館名簿では「新宮東映」。1966年・1969年・1973年・1975年・1978年・1980年・1985年の映画館名簿では「新宮東映劇場」。1970年・1977年のゼンリン住宅地図では「新宮東映」。1985年の映画館名簿では経営会社が大新興業株式会社、経営者・支配人ともに荒木光雄、木造1階、300席、邦画・洋画を上映。1986年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「パチンコ21世紀シアターしんぐう」立体駐車場。最寄駅はJR紀勢本線新宮駅。
1985年1月から2月にかけて、新宮市にある映画館2館が相次いで閉館した。3年後には大型スーパー内に126席と77席の映画館が開館し、新宮市に映画館が復活した。((「新宮市長選 準都の条件 魅力ある町に 文化過疎どう克服」『朝日新聞』1991年4月18日))
*** 新宮映画劇場/新宮東映劇場/新宮映画館/アオイ劇場/新宮葵劇場/新宮葵映画劇場
所在地 : 和歌山県新宮市谷王子（1941年）、和歌山県新宮市新宮（1943年）、和歌山県新宮市新宮町（1947年）、和歌山県新宮市谷王寺通（1949年・1955年）、和歌山県新宮市谷王寺町3-3（1958年・1960年）、和歌山県新宮市谷王寺3-3（1963年）、和歌山県新宮市谷王寺町3-3（1966年・1973年・1975年・1978年・1980年・1985年）
開館年 : 1936年以後1941年以前、1948年10月
閉館年 : 1985年
『全国映画館総覧 1955』によると1948年10月開館。1936年の映画館名簿には掲載されていない。1941年の映画館名簿では「新宮映画劇場」。1943年・1947年・1949年・1950年・1953年・1955年の映画館名簿では「新宮映画館」。1943年の映画館名簿では経営者が原一雄、電話が新宮430、定員294、発声器がローラー、映写機がローラー。1958年の映画館名簿では「新宮東映劇場」。1960年の映画館名簿では「新宮映画館」。1963年の映画館名簿では「アオイ劇場」。1966年の映画館名簿では「新宮葵劇場」。1969年の映画館名簿には掲載されていないが理由は不明。1970年のゼンリン住宅地図では「葵劇場」。1973年・1975年・1978年・1980年・1985年の映画館名簿では「新宮葵映画劇場」。1977年のゼンリン住宅地図では「アオイ映画館」。1985年の映画館名簿では経営会社が打越興業株式会社、経営者・支配人ともに打越一馬、木造1階、280席、邦画・洋画を上映。1986年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「カラオケハウス ファミリー」。最寄駅はJR紀勢本線新宮駅。
1985年1月から2月にかけて、新宮市にある映画館2館が相次いで閉館した。3年後には大型スーパー内に126席と77席の映画館が開館し、新宮市に映画館が復活した。((「新宮市長選 準都の条件 魅力ある町に 文化過疎どう克服」『朝日新聞』1991年4月18日))
*** ファミリーシアターA・B/新宮ファミリーシアターA・B/ジストシネマ新宮1・2
所在地 : 和歌山県新宮市谷王子418-1 ペアシティオークワ（1990年・1995年・2000年・2005年）、和歌山県新宮市谷王子418番地1号 オークワ新宮仲之町店6階（2008年）
開館年 : 1988年
閉館年 : 2008年10月31日
1988年の映画館名簿には掲載されていない。1990年の映画館名簿では「ファミリーシアターA・B」（2館）。1992年・1995年の映画館名簿では「新宮ファミリーシアターA・B」（2館）。1992年の映画館名簿では経営会社が株式会社チェーンストアオークワ、経営者が大桑堉嗣、支配人が大谷静美、鉄筋造6階、300席と128席、いずれも邦画・洋画を上映。2000年・2005年・2006年・2008年の映画館名簿では「ジストシネマ新宮1・2」（2館）。2008年の映画館名簿では経営会社が株式会社オー・エンターテイメント、経営者が堀江邦彦、支配人が林真人、鉄筋造6階、128席と77席、いずれも邦画・洋画を上映。2010年の映画館名簿には掲載されていない。オークワ新宮仲之町店は現存。最寄駅はJR紀勢本線新宮駅。
*** ジストシネマ南紀1・2・3・4
所在地 : 和歌山県新宮市佐野3-11-19（2006年・2008年・2010年・2015年・2020年）
開館年 : 2005年3月5日
閉館年 : 営業中
2005年の映画館名簿には掲載されていない。2006年・2008年・2010年・2015年・2020年の映画館名簿では「ジストシネマ南紀1・2・3・4」（4館）。2008年の映画館名簿では経営会社が株式会社オー・エンターテイメント、経営者が堀江邦彦、支配人が菊池亮太、鉄筋造2階、190席と117席と81席と81席、いずれも邦画・洋画を上映。スーパーセンターオークワ南紀店。最寄駅はJR紀勢本線紀伊佐野駅。
** 西牟婁郡白浜町
*** 日乃出座/日之出座/日の出座
所在地 : 和歌山県西牟婁郡日置町（1953年）、和歌山県西牟婁郡日置町93（1955年）、和歌山県西牟婁郡日置川町（1960年・1961年）
開館年 : 1950年9月
閉館年 : 1961年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1953年の映画館名簿では「日の出座」。1955年の映画館名簿では「日乃出座」。1960年の映画館名簿では「日之出座」。1961年の映画館名簿では「日の出座」。1962年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 白浜座/白浜映画劇場
所在地 : 和歌山県西牟婁郡白浜町（1953年・1955年）、和歌山県西牟婁郡白浜町1109（1958年）、和歌山県西牟婁郡白浜町（1960年・1963年）、和歌山県西牟婁郡白浜町白浜1109-2（1966年・1968年）
開館年 : 1950年9月
閉館年 : 1968年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1950年の映画館名簿では「白浜座」。1953年・1955年・1958年・1960年・1963年・1966年・1968年の映画館名簿では「白浜映画劇場」。1969年の映画館名簿には掲載されていない。
** 西牟婁郡すさみ町
*** 衆楽館/グランド劇場
所在地 : 和歌山県西牟婁郡すさみ町（1963年・1965年）
開館年 : 1957年頃
閉館年 : 1965年頃
1957年の映画館名簿には掲載されていない。1958年の映画館名簿では「衆楽館」。1960年・1963年・1965年の映画館名簿では「グランド劇場」。1966年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 周参見会館/周参見映画劇場
所在地 : 和歌山県西牟婁郡周参見町1280（1955年）、和歌山県西牟婁郡すさみ町1280（1958年）、和歌山県西牟婁郡すさみ町（1963年・1965年）
開館年 : 1952年1月
閉館年 : 1965年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1952年1月開館。1953年の映画館名簿には掲載されていない。1955年・1958年の映画館名簿では「周参見会館」。1960年・1963年・1965年の映画館名簿では「周参見映画劇場」。1966年の映画館名簿には掲載されていない。
** 西牟婁郡上富田町
映画館名簿によると上富田町に映画館は存在なかったと思われる。
** 東牟婁郡太地町
*** 平和劇場/太地平和劇場
所在地 : 和歌山県東牟婁郡太地町3107（1955年）、和歌山県東牟婁郡太地町3128（1958年）、和歌山県東牟婁郡太地町（1960年・1963年）、和歌山県東牟婁郡太地町3107（1966年・1969年）
開館年 : 1948年1月
閉館年 : 1969年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1948年1月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「平和劇場」。1966年・1969年の映画館名簿では「太地平和劇場」。1970年の映画館名簿には掲載されていない。
** 東牟婁郡那智勝浦町
*** 那智映画劇場/那智映劇
所在地 : 和歌山県東牟婁郡那智町（1955年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町井関（1960年・1963年）
開館年 : 1953年4月
閉館年 : 1964年9月1日
『全国映画館総覧 1955』によると1953年10月開館。1953年の映画館名簿には掲載されていない。1955年の映画館名簿では「那智映劇」。1960年の映画館名簿では「那智映画劇場」。1963年の映画館名簿では「那智映劇」。1966年の映画館名簿には掲載されていない。
1953年4月から1964年9月1日まで、那智勝浦町井関には「那智映劇」があった。定員は350人。寿座と姉妹関係にあった。((那智勝浦町史編さん委員会『那智勝浦町史 下巻』那智勝浦町、1980年、p.672))
*** いろは座/下里映画劇場
所在地 : 和歌山県東牟婁郡下里町下里（1955年）、和歌山県東牟婁郡下里町（1956年・1957年・1960年・1963年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町下里（1965年）
開館年 : 1938年5月
閉館年 : 1965年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1938年5月開館。1953年の映画館名簿には掲載されていない。1955年・1956年の映画館名簿では「いろは座」。1957年の映画館名簿では「下里映画劇場」。1957年の映画館名簿では経営者が後藤萌、木造2階建、200席、邦画を上映。1960年の映画館名簿では「大里映画劇場」。1963年・1965年の映画館名簿では「下里映画劇場」。1966年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 妙法会館/三菱妙法会館
所在地 : 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町井関（1959年・1960年・1963年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大字井関1118（1965年）
開館年 : 1958年頃
閉館年 : 1965年頃
1958年の映画館名簿には掲載されていない。1959年の映画館名簿では「妙法会館」。1960年・1963年の映画館名簿では「三菱妙法会館」。1965年の映画館名簿では「妙法会館」。1966年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 寿座/勝浦寿座
所在地 : 和歌山県東牟婁郡勝浦町（1934年・1936年・1941年・1943年・1947年・1950年・1953年・1955年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町（1958年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町井関（1960年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町1181（1963年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町勝浦1181（1966年・1969年）
開館年 : 1917年7月、1927年（建て替え）、1947年3月
閉館年 : 1970年6月
『全国映画館総覧 1955』によると1947年3月開館。1930年の映画館名簿には掲載されていない。1934年・1936年・1941年・1943年・1947年・1950年・1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「寿座」。1966年・1969年の映画館名簿では「勝浦寿座」。1973年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「いろは寿司」などが入る「寿ビル」。最寄駅はJR紀勢本線紀伊勝浦駅。
那智勝浦町には劇場として「寿座」があった。鈴木魚吉が創設し、鈴木悌二が経営した。1917年7月にこけら落とし公演を行ったが、1927年に火災で焼失し、その後再建されている。1970年6月まで興行を行った。当初の定員は500人だったが、改装後は727人となった。改装前は一部2階建ての畳敷きであり、桟敷席や花道もある古風な劇場だった。著名俳優の高田浩吉や鶴田浩二も訪れたことがあるという。1927年の建設中の寿座の写真あり。((那智勝浦町史編さん委員会『那智勝浦町史 下巻』那智勝浦町、1980年、p.672))
1917年の那智勝浦にあった劇場「寿座」の写真あり。1917年に500人収容の劇場として開館した。この際の建物は大正末期に焼失したが、1927年に2階建て727人収容の建物が再建された。やがて劇場から映画館に転換し、1955年過ぎまで盛況だった。1970年6月に閉館した。1971年の写真あり。「KOTOBUKI」の文字が見える。2004年現在の写真あり。建物には数軒の飲食店が入っている。映画館時代と建物は異なると思われるが、「KOTOBUKI」の文字が見える。((前千雄（監修）『保存版 新宮・熊野今昔写真帖』郷土出版社、2004年、p.90))
*** 勝浦映劇/勝浦映画劇場
所在地 : 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町1181（1958年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町築地（1960年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町1181（1963年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町築地5-2-6（1966年・1969年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町勝浦281（1973年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町281（1980年）
開館年 : 1953年5月
閉館年 : 1983年頃
1955年の映画館名簿には掲載されていない。1958年・1960年・1963年・1966年・1969年の映画館名簿では「勝浦映画劇場」。1973年の映画館名簿では「勝浦映劇」。1979年のゼンリン住宅地図では「勝映」。1980年・1982年・1983年の映画館名簿では「勝浦映画劇場」。1982年の映画館名簿では経営者が鈴木悌二、支配人が東猛、木造1階、300席、邦画・成人映画を上映。1984年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「ホテルシャルモント」正面の「久原理容所」や「タイ風居酒屋BAIBOA」。最寄駅はJR紀勢本線紀伊勝浦駅。
1953年5月から1980年現在まで営業している映画館に「勝浦映画劇場」（勝映）があり、1980年現在の那智勝浦町唯一の映画館である。当初は鈴木悌二が経営し、1976年から東孟が経営している。((那智勝浦町史編さん委員会『那智勝浦町史 下巻』那智勝浦町、1980年、p.672))
** 東牟婁郡串本町
*** 古座老松座/老松座
所在地 : 和歌山県東牟婁郡古座町（1949年）、和歌山県東牟婁郡高池町38（1950年）、和歌山県東牟婁郡古座町（1953年・1955年）、和歌山県東牟婁郡古座川町（1957年）
開館年 : 1949年10月
閉館年 : 1957年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1949年10月開館。1947年の映画館名簿には掲載されていない。1949年の映画館名簿では「老松座」。1950年・1953年・1955年の映画館名簿では「古座老松座」。1957年の映画館名簿では「老松座」。1958年の映画館名簿には掲載されていない。
昭和20年代の「老松座」の写真あり。1994年現在の東牟婁郡古座川町高池にあった。大正初期の木造建築であり、収容人員は300人余りだった。戦後には映画の興行だけでなく、政治家の講演会、地域青年団体の発表会なども開催された。((『目で見る新宮・熊野の100年』郷土出版社、1994年、p.150))
*** 田並劇場
所在地 : 和歌山県東牟婁郡串本町田並1547-1
開館年 : 1950年頃
閉館年 : 1965年頃
公式サイト : [[田並劇場>>http://tanami.jp/]]
各年版の映画館名簿には掲載されていない。映画館の建物は多目的文化施設「田並劇場」として現存。最寄駅はJR紀勢本線田並駅。
2018年7月、東牟婁郡串本町のJR田並駅前にあった映画館「田並劇場」が半世紀ぶりに復活した。7月と8月には1967年の怪獣映画『大怪獣ガッパ』など昭和時代の邦画が上映された。林憲昭（48）は東京芸術大学油絵科出身の現代美術家であり、2008年に田辺市中辺路町で熊野古道をテーマとする活動を展開したことをきっかけとして、串本町田並上に移り住んでいた。田並劇場の中2階には、林が所有する書籍を集めた田並文庫という本棚も設置されている。((「半世紀ぶりに田並劇場を復活 林憲昭さん 邦画と本で集いの場」『毎日新聞』2018年9月4日))
東牟婁郡串本町のJR田並駅の傍らには、芝居や映画の興行を行う文化拠点だった「田並劇場」がある。廃墟となっていた田並劇場の再生プロジェクトが現在進行形で進められており、現代美術家の夫妻がほぼ独力で改修した。ステージや映写機があった中2階、売店のボックスといった遺構を残しながらも、2015年10月10日にギャラリーカフェとしてオープンを予定している。田並1547-1。((『古民家散歩』（ムック本）アガサス、2015年、p.93))
南紀ではハワイなどの海外に移住するものが多かった。財を成した移住者からの仕送りによって、田並はアメリカ村と呼ばれるほどモダンな町となった。地元の資産家らが出資して、1950年頃に「田並劇場」が建てられた。最盛期には月2回の映画上映と年2回の演劇公演が行われ、青年会の行事や学校の文化祭/学芸会の会場にもなった。約10年前に田並に移住した林憲昭・林澄蓮夫妻は、田並劇場再生プロジェクトを立ち上げ、クラウドファウンディングなどで資金を募って改修した。現在は月1回〜2回の頻度で映画を上映している。((「田並劇場再生プロジェクト」『エプタ』肌粧品科学開放研究所、2020年1月号、第94号、pp.41-43))
*** 大正座/築地映画劇場/串本築地映画劇場
所在地 : 和歌山県西牟婁郡串本町（1943年・1947年）、和歌山県西牟婁郡串本町1148（1950年）、和歌山県西牟婁郡串本町（1953年・1955年）、和歌山県西牟婁郡串本町1735（1958年）、和歌山県西牟婁郡串本町（1960年・1963年）、和歌山県西牟婁郡串本町1705（1966年）、和歌山県西牟婁郡串本町1735（1968年）
開館年 : 1914年9月3日
閉館年 : 1968年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1914年9月開館。1941年の映画館名簿には掲載されていない。1943年・1947年・1950年の映画館名簿では「大正座」。1943年の映画館名簿では経営者が矢倉虎一、定員572、電話が串本92。1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「築地映画劇場」。1953年の映画館名簿では経営者が矢倉虎一、支配人が記載なし、木造2階、定員571。1966年・1968年の映画館名簿では「串本築地映画劇場」。1968年の映画館名簿では経営者が矢倉晋二、支配人が後藤功一、木造2階冷暖房付、定員400、邦画・成人映画を上映。電話が串本201。1969年の映画館名簿には掲載されていない。映画館の建物は跡地はグラウンド南西120mに現存。最寄駅はJR紀勢本線串本駅。
1914年9月3日夜、串本町に那智水電によって初めて電燈が点火された。劇場「大正座」が新築落成したのもこの日であり、舞台開きが行われた。発起人は矢倉鶴松（後の仙緑）、大岡鶴一、川島喜之助、上野宇之助らであり、串本町も建設費の一部を寄付している。その後、矢倉仙緑による個人経営となった。1924年の「串本町全図」には、串本小学校グラウンド南西120mに「大正座」が描かれている。((『串本町誌』串本町、1924年、p.299、p.648))
*** 古座映劇/古座映画劇場
所在地 : 和歌山県東牟婁郡古座町（1958年・1960年・1963年）、和歌山県東牟婁郡古座町中湊462-1（1966年・1969年・1970年）
開館年 : 1957年頃
閉館年 : 1970年頃
1957年の映画館名簿には掲載されていない。1958年の映画館名簿では「古座映画劇場」。1960年・1963年の映画館名簿では「古座映劇」。1966年・1969年・1970年の映画館名簿では「古座映画劇場」。1970年の映画館名簿では経営者・支配人ともに竹内輝隆、木造1階、定員270、東宝・大映・東映・日活・洋画を上映。1971年の映画館名簿には掲載されていない。
昭和20年代後半の開館時の「古座映劇」の写真あり。古座町中湊にあった。老松座が老朽化したために古座映劇が開館した。((『目で見る新宮・熊野の100年』郷土出版社、1994年、p.150))
*** 熊野タイムス会館/柏木タイムス/熊野タイムス/串本タイムス/串本タイムズ
所在地 : 和歌山県西牟婁郡串本町（1953年・1955年・1958年・1960年・1963年・1966年・1969年・1973年・1974年・1975年・1976年）
開館年 : 1947年8月
閉館年 : 1976年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1947年8月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年の映画館名簿では「熊野タイムス」。1958年の映画館名簿では「熊野タイムス館」。1960年・1962年の映画館名簿では「熊野タイムス会館」。1962年の映画館名簿では経営者が神田粛、支配人が記載なし、木造2階、370席、邦画・洋画を上映。1963年の映画館名簿では「柏木タイムス」。1966年の映画館名簿では「熊野タイムス」。1969年・1973年の映画館名簿では「串本タイムス」。1974年・1975年・1976年の映画館名簿では「串本タイムズ」（※スではなくズ）。1976年の映画館名簿では経営者・支配人ともに柏木優、木造2階、370席、邦画・日活・成人映画を上映。1977年の映画館名簿には掲載されていない。
** 東牟婁郡古座川町
映画館名簿によると東牟婁郡古座川町に映画館は存在しなかったと思われる。
** 東牟婁郡北山村
映画館名簿によると東牟婁郡北山村に映画館は存在しなかったと思われる。
* 和歌山市
和歌山市は[[和歌山市の映画館]]を参照。
* 和歌山県北部
** 海南市
*** 海南市の映画館
かつて海南市域には、「朝日座」、「大映」、「海映」、「新富座」（東映）、「オリオン座」、「中央劇場」、「弥生座」、「加茂郷劇場」の8館の映画館があった。もともと黒江北丁の朝日座、黒江坂の末広座、芝居小屋の柳館が転換した太陽館などがあり、戦後には中心市街地に大映が開館した。国鉄海南駅付近には内海劇場、新富座、オリオン座、中央劇場などがあった。下津の国鉄下津駅付近には芝居小屋の宝来座が転換した弥生座があり、旧役場の東側には加茂郷劇場があった。((平岡繁一『新海南風物誌（一）』海南市下津図書館、2010年、pp.18-19))
*** 柳館
所在地 : 和歌山県海草郡黒江町（1927年・1930年・1934年）、和歌山県海南市黒江町新地（1936年）
開館年 : 1927年以前
閉館年 : 1936年以後1941年以前
1927年・1930年・1934年・1936年の映画館名簿では「柳館」。1936年の映画館名簿では興行主が重根徳蔵、松竹・新興を上映、電話が日方13。1941年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 朝日館
所在地 : 和歌山県海草郡黒江町（1925年・1927年・1930年・1934年）、和歌山県海南市黒江町新地（1936年）
開館年 : 1925年以前
閉館年 : 1936年以後1941年以前
1925年の映画館名簿では「朝日座」。1927年・1930年・1934年の映画館名簿では「朝日館」。1936年の映画館名簿では「朝日座」。1936年の映画館名簿では興行主が川口富三郎、支配人が川口富三郎、新興を上映、電話が日方133。1941年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 加茂郷劇場
所在地 : 和歌山県海草郡下津町黒田116（1959年）、和歌山県海草郡下津町大字黒田（1960年）、和歌山県海草郡下津町黒田（1962年）
開館年 : 1958年頃
閉館年 : 1962年頃
1958年の映画館名簿には掲載されていない。1959年・1960年・1962年の映画館名簿では「加茂郷劇場」。1960年の映画館名簿では経営者が児玉佐一郎、支配人が大久保進、木造1階、定員350、邦画を上映。1963年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「海南市下津行政局」北東60mの民家数軒。最寄駅はJR紀勢本線加茂郷駅。
児玉佐一郎。児玉兄弟商会社長、東和冷機社長。児玉商会、かねこ商会、「加茂郷劇場」経営主。1911年8月18日に海草郡に生まれ、1927年に箕島商業学校を卒業後、家業に従事した。1943年に応召されて浜松高射砲連隊に入隊し、ビルマやタイを転戦した。1947年に復員して家業に従事し、1958年に児玉兄弟商会の社長に就任した。下津町会議員などを務めた。((『日本信用紳士録 全国篇 1965年版』東興秘密探偵社、1964年))
*** 末広座/海南セントラル劇場/オリオン座
所在地 : 和歌山県海草郡黒江町（1925年）、和歌山県海草郡日方町（1927年・1930年・1934年）、和歌山県海南市日方町30（1936年）、和歌山県海南市日方30（1941年）、和歌山県海南市日方町（1943年・1947年・1950年）、和歌山県海南市駅前（1953年）、和歌山県海南市名高47（1955年・1958年・1960年・1961年）
開館年 : 1925年以前、1950年4月
閉館年 : 1961年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年4月開館。1925年の映画館名簿では「末広館」。1927年・1930年・1934年・1936年・1941年・1943年・1947年の映画館名簿では「末広座」。1950年の映画館名簿では「海南セントラル劇場」。1953年・1955年・1958年・1960年・1961年の映画館名簿では「オリオン座」。1960年の映画館名簿では経営者が中村高雄、支配人が中村千春、木造1階、定員400、洋画を上映。1962年の映画館名簿には掲載されていない。
明治大正期、海南地方の娯楽演芸館は「朝日座」と「末広座」の2館のみだった。朝日座は黒江北ノ丁にあり、末広座は日方にあった。末広座は旧熊野街道から少し入った黒江坂の峠道にあり、大正中期の入場料は10銭だった。昼間は興行せず夜間のみであり、毎夜ほぼ満員で繁昌した。大正期から昭和初期にかけて、チンドン屋が末広座で上映される映画の宣伝を行った。((倉橋利一（編）『ふるさとの想い出写真集 明治大正昭和 海南』国書刊行会、1980年、p.99))
戦前の海南にあった「末広座」は、戦後に洋画を上映する「海南セントラル劇場」に改称した。やがて海南駅前に移り、「オリオン座」に改称した。((『保存版 海南・有田今昔写真帖』郷土出版社、2008年))
1947年8月、戦前からあった映画館「太陽館」が焼失した。その後、日方茶屋浜に「海映」が再建され、さらに東浜西部に「大映」が設立された。海南市唯一の芝居劇場として「新富座」があったが、映画館に転換して「東映」に改称した。戦前の黒江坂には「末広座」があったが、駅前通りに進出して洋画専門館「オリオン座」となった。さらに日方の県道沿いに洋画館「海南中央劇場」（通称はセントラル）が開館した。1953年頃の海南市には朝日座、海映、大映、東映、オリオン、セントラルの6館があった。1994年現在の海映跡地には玉井OAビルがある。1994年現在のオリオン座跡地には幸福銀行がある。1994年現在の海南中央劇場跡地には川広木材株式会社がある。時期不明の「海映」の写真あり。((海南市史編さん委員会『海南市史 第1巻 通史編』海南市、1994年、pp.1048-1049))
*** 弥生座/下津弥生座
所在地 : 和歌山県海草郡下津町（1953年・1955年）、和歌山県海草郡下津町79（1958年）、和歌山県海草郡下津町（1960年・1963年）、和歌山県海草郡下津町下津790（1966年・1969年）
開館年 : 1950年9月
閉館年 : 1969年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年・1958年・1960年の映画館名簿では「弥生座」。1966年・1969年の映画館名簿では「下津弥生座」。1969年の映画館名簿では経営者・支配人ともに〆崎啓二郎、木造1階冷暖房付、定員250、東宝・成人映画を上映。1970年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は下津駅北西50mの駐車場。最寄駅はJR紀勢本線海南駅。
*** 中央劇場/海南中央劇場
所在地 : 和歌山県海南市日方井松原（1958年）、和歌山県海南市日方（1960年）、和歌山県海南市日方町1166（1963年）、和歌山県海南市井松原1166（1966年・1969年）
開館年 : 1957年頃
閉館年 : 1969年頃
1957年の映画館名簿には掲載されていない。1958年の映画館名簿では「海南中央劇場」。1960年・1963年の映画館名簿では「中央劇場」。1960年の映画館名簿では経営者が下西岩吉、支配人が重根裕章、木造1階冷暖房付、定員375、洋画を上映。1966年・1969年の映画館名簿では「海南中央劇場」。1970年の映画館名簿には掲載されていない。跡地はマンション「グランドハイツ日方」。最寄駅はJR紀勢本線海南駅。
昭和40年代の「中央劇場」の写真あり。日方の県道沿いに開館した中央劇場は洋画専門館であり、「セントラル劇場」とも呼ばれた。『史上最大の作戦』の看板が見える。((笠原正夫（監修）『目で見る 有田・海南の100年』郷土出版社、1994年、p.133))
1947年8月、戦前からあった映画館「太陽館」が焼失した。その後、日方茶屋浜に「海映」が再建され、さらに東浜西部に「大映」が設立された。海南市唯一の芝居劇場として「新富座」があったが、映画館に転換して「東映」に改称した。戦前の黒江坂には「末広座」があったが、駅前通りに進出して洋画専門館「オリオン座」となった。さらに日方の県道沿いに洋画館「海南中央劇場」（通称はセントラル）が開館した。1953年頃の海南市には朝日座、海映、大映、東映、オリオン、セントラルの6館があった。1994年現在の海映跡地には玉井OAビルがある。1994年現在のオリオン座跡地には幸福銀行がある。1994年現在の海南中央劇場跡地には川広木材株式会社がある。時期不明の「海映」の写真あり。((海南市史編さん委員会『海南市史 第1巻 通史編』海南市、1994年、pp.1048-1049))
海南市の「中央劇場」は、野上電気鉄道から海南駅寄りの東側にあった。((『保存版 海南・有田今昔写真帖』郷土出版社、2008年))
1962年の海南市日方にあった国道42号（現・国道370号）の写真あり。市内電車の軌道が見える。左の「中央劇場」には『史上最大の作戦』の看板が見える。中央劇場では主に洋画が上映された。((『写真アルバム 海南・有田・御坊・日高の昭和』樹林舎、2020年、p.78))
*** 海南大映
所在地 : 和歌山県海南市船尾194（1957年）、和歌山県海南市船尾町194（1958年）、和歌山県海南市東浜（1960年）、和歌山県海南市船尾町194（1963年）、和歌山県海南市東浜194（1966年・1969年・1970年・1971年）
開館年 : 1956年頃
閉館年 : 1971年頃
1956年の映画館名簿には掲載されていない。1957年・1958年・1960年・1963年・1966年・1969年・1970年・1971年の映画館名簿では「海南大映」。1960年の映画館名簿では経営者が川口雅司、支配人が記載なし、木造1階、定員350、大映を上映。1970年の映画館名簿では経営者が川口雅司、支配人が小林秀子、木造1階冷暖房付、定員300、成人映画を上映。1972年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「ハローワークかいなん」西30mのガレージ。
1954年5月末をもって、海南市の「海南大映」が経営難で閉館した。責任者は松田幸長。海南市は人口3万4000人に対して5館という劇場過多であり、各館とも苦しい経営方法をとっていた。((「興行街」『キネマ旬報』1954年7月1日、95号))
海南市の東浜の歓楽街の一角には「大映」があった。最近までピンク映画館として上映を続けていたが閉館となった。大映通りの写真あり。((『ふるさとの想い出写真集 明治大正昭和 海南』国書刊行会、1980年、p.101))
海南大映は東浜から新地にちょっと入ったところにあった。((『保存版 海南・有田今昔写真帖』郷土出版社、2008年))
*** 新富座/海南東映/海南東映劇場
所在地 : 和歌山県海南市日方1186（1955年）、和歌山県海南市日方新富町（1960年）、和歌山県海南市日方町1168（1963年）、和歌山県海南市新富街1168（1966年・1969年・1970年・1971年）
開館年 : 1935年11月
閉館年 : 1971年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1935年11月開館。1950年・1953年・1955年の映画館名簿では「新富座」。1960年・1963年の映画館名簿では「海南東映」。1960年の映画館名簿では経営者が川口富三郎、支配人が小林秀子、木造2階冷暖房付、定員650、東映を上映。1966年・1969年・1970年・1971年の映画館名簿では「海南東映劇場」。1970年の映画館名簿では経営者が川口雅司、支配人が小林秀子、木造2階冷暖房付、定員520、東映・大映・日活を上映。1972年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「アールイー ダイタ月極駐車場」。最寄駅はJR紀勢本線海南駅。
1969年10月号の『ひろば』には海南電気工事店の広告が掲載されている。「海南市日方（海南東映前）」とある。((『ひろば』近畿建築士会協議会、第66号、1969年10月))
海南市の「新富座」は前面に櫓がある本格派の劇場であり、戦後には邦画専門館として東映作品を上映した。((『保存版 海南・有田今昔写真帖』郷土出版社、2008年))
昭和30年代の海南市日方にあった「新富座」の写真あり。「SINTOMIZA」「THEATRE SINTOMI」の文字が見える。芝居や浪曲を行う演芸場として親しまれた。高度経済成長期には映画館となり、「東映」と呼ばれて任侠ものなどを上映した。昭和40年代には海南市の映画館が相次いで閉館し、東映の跡地はパチンコ店となった。((『写真アルバム 海南・有田・御坊・日高の昭和』樹林舎、2020年、p.151))
*** 朝日座映画劇場/旭映画劇場/朝日座/朝映/朝日映画劇場/海南朝日映画劇場
所在地 : 和歌山県海草郡黒江町（1925年・1930年）、和歌山県海南市黒江町新地（1936年）、和歌山県海南市海南千日（1941年）、和歌山県海南市船尾（1943年・1947年）、和歌山県海南市船尾186（1950年）、和歌山県海南市船尾（1953年）、和歌山県海南市船尾186（1955年）、和歌山県海南市東浜（1960年）、和歌山県海南市船尾町186（1963年）、和歌山県海南市東浜186（1966年・1969年・1970年・1971年・1972年）
開館年 : 大正期（旭座）、1933年9月（朝日座）
閉館年 : 1972年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1933年9月開館。1925年の映画館名簿では「朝日座」。1930年の映画館名簿では「朝日館」。1936年・1941年・1943年・1947年の映画館名簿では「朝日座」。1950年の映画館名簿では「朝日座映画劇場」。1953年の映画館名簿では「朝日映画劇場」。1955年の映画館名簿では「朝映」。1960年の映画館名簿では「朝日映画劇場」。1960年の映画館名簿では経営者が川口富三郎、支配人が小林秀子、木造2階、定員850、東宝・新東宝を上映。1963年の映画館名簿では「朝日映劇」。1966年・1969年・1970年・1971年・1972年の映画館名簿では「海南朝日映画劇場」。1970年の映画館名簿では経営者が川口雅司、支配人が小林秀子、木造2階冷暖房付、定員400、東宝・松竹・洋画を上映。1973年の映画館名簿には掲載されていない。1985年の住宅地図では跡地に「倉橋内科」。跡地は「倉橋内科」廃墟。最寄駅はJR紀勢本線海南駅。
明治大正期、海南地方の娯楽演芸館は「朝日座」と「末広座」の2館のみだった。朝日座は黒江北ノ丁にあり、末広座は日方にあった。朝日座は明治時代から黒江北ノ丁旧熊野街道にあった。昭和初期に東浜に移築され、海南地方随一の映画館となった。戦後もこの地域随一の娯楽場として人気があった。1938年の朝日座の写真あり。((『ふるさとの想い出写真集 明治大正昭和 海南』国書刊行会、1980年、p.100))
1938年の「朝日座」の写真あり。朝日座は明治時代からあったが、昭和初期に移転改築した。((『映画黄金期 小屋と名作の風景 下巻』国書刊行会、1989年、p.37))
昭和30年代の「朝日座」の写真あり。戦後の海南市の劇場・映画館は6館まで増加した。東浜の朝日座では映画の上映も演劇の上演も行われた。((笠原正夫（監修）『目で見る 有田・海南の100年』郷土出版社、1994年、p.133))
1956年頃の「朝日座」の写真あり。もともとは黒江北ノ丁にあった「旭座」（※朝日座ではない）が、昭和初期に東浜に移転して「朝日座」（※旭座ではない）と改称した。実演と映画で話題を呼び、特に岡晴夫や近江俊郎の実演が人気だった。映画は日活系作品を上映し、昭和30年代には石原裕次郎や小林旭などのスターが人気だった。「朝映」の文字が見える。((『保存版 海南・有田今昔写真帖』郷土出版社、2008年))
1956年の海南市船尾（東浜）にあった「朝日座」の写真あり。太陽族ブームを巻き起こした『太陽の季節』の看板が見える。海南有数の演芸場であり、戦後には映画館となった。昭和40年代には子供向けの怪獣映画やマンガ映画も上映された。((『写真アルバム 海南・有田・御坊・日高の昭和』樹林舎、2020年、p.152))
*** 柳館/太陽館/海南映劇/海南映画劇場
所在地 : 和歌山県海草郡黒江町（1930年）、和歌山県海南市東浜（1936年・1941年）、和歌山県海南市船尾（1943年・1947年）、和歌山県海南市駅前（1953年）、和歌山県海南市日方282（1955年・1958年）、和歌山県海南市日方（1960年）、和歌山県海南市船尾町283（1960年）、和歌山県海南市日方282（1966年・1969年）、和歌山県海南市日方283（1971年・1973年・1977年・1978年・1979年）
開館年 : 1930年以前、1950年5月、1970年頃（ビル化）
閉館年 : 1979年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年5月開館。1930年の映画館名簿では「柳館」。1936年・1941年・1943年・1947年の映画館名簿では「太陽館」。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「海南映画劇場」。1960年の映画館名簿では経営者が川口雅司、支配人が岸真理子、木造2階、定員600、松竹・日活を上映。1966年・1969年の映画館名簿では「海南映劇」。1969年の映画館名簿では経営者が川口雅司、支配人が米田芳一、木造2階冷暖房付、定員420、松竹・大映を上映。1970年の映画館名簿には掲載されていない。1971年・1973年・1977年・1978年・1979年の映画館名簿では「海南映画劇場」。1971年の映画館名簿では経営者が川口雅司、支配人が小林秀子、鉄筋造3階冷暖房付、297席、洋画を上映。1977年のゼンリン住宅地図では「海映ビル 2階邦画劇場海映」。1979年の映画館名簿では経営会社が川口興行、経営者・支配人ともに川口雅司、鉄筋造1階冷暖房付、297席、邦画を上映。1980年の映画館名簿には掲載されていない。1985年の住宅地図では跡地に「OAビル 玉井事務機 玉井OAホール」。跡地は「日方公園」南東20mの民家数軒。最寄駅はJR紀勢本線海南駅。
海南市の映画館「海映」の前身は「太陽館」であり、当初は「柳館」と呼ばれた。柳館を建設して経営したのは、海南町長や海南市議会議員を務めた岩橋新三郎である。((『海南郷土史』海南市教育委員会、1954年))
1953年頃に『君の名は』を上映した際の「海映」の写真あり。((『ふるさとの想い出写真集 明治大正昭和 海南』国書刊行会、1980年、p.101))
1947年8月、戦前からあった映画館「太陽館」が焼失した。その後、日方茶屋浜に「海映」が再建され、さらに東浜西部に「大映」が設立された。海南市唯一の芝居劇場として「新富座」があったが、映画館に転換して「東映」に改称した。戦前の黒江坂には「末広座」があったが、駅前通りに進出して洋画専門館「オリオン座」となった。さらに日方の県道沿いに洋画館「海南中央劇場」（通称はセントラル）が開館した。1953年頃の海南市には朝日座、海映、大映、東映、オリオン、セントラルの6館があった。1994年現在の海映跡地には玉井OAビルがある。1994年現在のオリオン座跡地には幸福銀行がある。1994年現在の海南中央劇場跡地には川広木材株式会社がある。時期不明の「海映」の写真あり。((海南市史編さん委員会『海南市史 第1巻 通史編』海南市、1994年、pp.1048-1049))
海南市の「海映」では『君の名は』が上映され、海南の映画史上に残る大ヒットとなった。((『保存版 海南・有田今昔写真帖』郷土出版社、2008年))
1953年の海南市日方にあった「海映」（かいえい）の写真あり。ストールの巻き方が社会現象を巻き起こした『君の名は』の看板が見える。日方にある電車通りの城山南交差点付近、茶屋浜の楠の隣にあった。海映の閉館後にも屋台のラーメン店は営業を続けた。((『写真アルバム 海南・有田・御坊・日高の昭和』樹林舎、2020年、p.151))
** 紀の川市
*** 朝映/朝日座/朝映劇場/朝日映劇
所在地 : 和歌山県那賀郡池田村（1956年）、和歌山県那賀郡打田町（1958年）、和歌山県那賀郡打田町北大井（1960年・1962年）
開館年 : 1955年頃
閉館年 : 1962年頃
1955年の映画館名簿には掲載されていない。1956年の映画館名簿では「朝映」。1958年の映画館名簿では「朝日座」。1960年の映画館名簿では「朝映劇場」。1962年の映画館名簿では「朝日映劇」。1963年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 打映大国座/大国座/打田新劇
所在地 : 和歌山県那賀郡田中村打田駅前（1956年）、和歌山県那賀郡打田町（1958年）、和歌山県那賀郡打田町久留壁（1960年・1962年）
開館年 : 1955年頃
閉館年 : 1962年頃
1955年の映画館名簿には掲載されていない。1956年の映画館名簿では「打映大国座」。1958年の映画館名簿では「大国座」。1960年・1962年の映画館名簿では「打田新劇」。1963年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「打田駅」北北西90mにある建物。最寄駅はJR和歌山線打田駅。
1958年の打田町にあった「打田新劇」の写真あり。((小栗善高（編）『目で見る 橋本・伊都・那賀の100年』郷土出版社、1993年、p.145))
*** 粉河日劇
所在地 : 和歌山県那賀郡粉河町（1957年・1958年・1960年・1962年）
開館年 : 1956年頃
閉館年 : 1962年頃
1956年の映画館名簿には掲載されていない。1957年・1958年・1960年・1962年の映画館名簿では「粉河日劇」。1963年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 名洋劇場/名手東劇
所在地 : 和歌山県那賀郡那賀町名手西野（1959年・1960年・1962年・1963年）
開館年 : 1950年9月
閉館年 : 1962年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1955年・1959年の映画館名簿では「名洋劇場」。1960年・1962年の映画館名簿では「名手東劇」。1963年の映画館名簿では「名手東劇 休館中」。1964年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 白水座
所在地 : 和歌山県那賀郡粉河町（1953年）、和歌山県那賀郡粉河町天福町（1955年）、和歌山県那賀郡粉河町（1958年・1960年・1963年・1964年）
開館年 : 1914年10月1日、1950年9月
閉館年 : 1964年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1953年・1955年・1958年・1960年・1963年・1964年の映画館名簿では「白水座」。1965年の映画館名簿には掲載されていない。
1900年には粉河駅が開業し、駅前には旅館や料理屋が増えた。1914年10月1日、粉河町の置屋組合が「白水座」を開業させた。組合員は男女合わせて12人だった。((粉河町史専門委員会『粉河町史 第1巻』粉河町、2003年、p.863))
*** 中央劇場/名手中央劇場
所在地 : 和歌山県那賀郡名手町（1953年・1955年）、和歌山県那賀郡那賀町名手市場（1960年・1963年）、和歌山県那賀郡那賀町大字名手市場69（1966年・1967年・1968年）
開館年 : 1950年9月
閉館年 : 1968年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1953年・1955年の映画館名簿では「名手中央劇場」。1960年の映画館名簿では「中央劇場」。1963年・1966年・1967年・1968年の映画館名簿では「名手中央劇場」。1969年の映画館名簿には掲載されていない。
** 岩出市
*** 宮川座
所在地 : 和歌山県那賀郡岩出町（1953年・1955年）、和歌山県那賀郡岩出町331（1958年）、和歌山県那賀郡岩出町清水（1960年・1963年）
開館年 : 1913年8月、1950年9月
閉館年 : 1963年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「宮川座」。1963年の映画館名簿では経営者が中村熙、支配人が記載なし、木造2階、定員630。1964年の映画館名簿には掲載されていない。
1913年8月、清水の中村常吉によって資本金5500円で「宮川座」の前身である岩出演劇株式会社が設立された。この劇場では1か月に1回か2回の頻度で活動写真や芝居が興行された。やがて会社が解散して個人経営となり、戦後には常設映画館となって毎日映画を上映していたが、カラーテレビが普及したことで観客数が減少し、閉館となった。（※戦後の記述が宮川座であるのかどうかは曖昧である）((岩出町誌編集委員会『岩出町誌』岩出町、1976年、p.724))
1980年の岩出町にあった「宮川座」の写真あり。「宮川座」の文字が見える。岩出町は那賀郡における政治・経済・文化の中心地であり、娯楽施設として宮川座があった。無声映画や漫才が毎晩興行された。((『目で見る橋本・伊都・那賀の100年』郷土出版社、1993年、pp.146-147))
** 橋本市
*** 高野口座/高野口劇場
所在地 : 和歌山県伊都郡高野口町（1941年・1943年・1947年・1949年・1950年・1953年・1955年・1958年）、和歌山県伊都郡高野口町名倉（1960年・1962年）
開館年 : 1930年8月
閉館年 : 1962年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1930年8月開館。1936年の映画館名簿には掲載されていない。1941年・1943年・1947年の映画館名簿では「高野口座」。1949年の映画館名簿では「高野口劇場」。1950年の映画館名簿では「高野口座」。1953年・1955年・1958年・1960年・1962年の映画館名簿では「高野口劇場」。1963年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「紀陽銀行高野口支店」東側の駐車場。最寄駅はJR和歌山線高野口駅。
*** 明治座/橋本劇場/橋本座/都映画劇場/都映/橋本東映
所在地 : 和歌山県伊都郡橋本町（1943年・1947年）、和歌山県伊都郡橋本町大字古佐田（1949年）、和歌山県伊都郡橋本町（1950年・1953年・1955年）、和歌山県橋本市古佐田（1958年・1960年・1963年）
開館年 : 1939年9月
閉館年 : 1963年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1939年9月開館。1933年の大日本職業別明細図では「明治座」。1941年の映画館名簿には掲載されていない。1943年の映画館名簿では「明治座」。1947年の映画館名簿では「橋本劇場」。1949年・1950年の映画館名簿では「橋本座」。1953年・1955年の映画館名簿では「都映画劇場」。1958年・1960年の映画館名簿では「都映」。1963年の映画館名簿では「橋本東映」。1964年の映画館名簿には掲載されていない。1971年の住宅地図では跡地に「●●東映」。1994年の住宅地図では跡地に「スーパートーエイ橋本ショッピングセンター」。「橋本駅」南南東100mにある「スーパートーエイ橋本ショッピングセンター」廃墟。最寄駅はJR和歌山線橋本駅。
*** 八千代座
所在地 : 和歌山県伊都郡岸上村（1953年）、和歌山県伊都郡岸上村370（1955年）、和歌山県橋本市岸上370（1960年・1963年・1964年）
開館年 : 1950年以後1953年以前
閉館年 : 1964年頃
『全国映画館総覧 1955』には開館年が掲載されていない。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年の映画館名簿では「八千代座」。1958年の映画館名簿には掲載されていない。1960年・1963年・1964年の映画館名簿では「八千代座」。1965年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 葵座
所在地 : 和歌山県伊都郡応其村上浄寺（1927年）、和歌山県伊都郡高野口町（1949年・1950年・1953年・1955年・1958年）、和歌山県伊都郡高野口町小田（1960年・1963年・1964年・1965年）
開館年 : 1950年9月
閉館年 : 1965年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1927年の映画館名簿では「葵座」。1930年・1934年・1936年・1941年・1943年・1947年の映画館名簿には掲載されていない。1949年・1950年・1953年・1955年・1958年・1960年・1963年・1964年・1965年の映画館名簿では「葵座」。1966年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 橋本映劇/橋本劇場/橋本日活
所在地 : 和歌山県橋本市東家（1957年・1958年・1960年）、和歌山県橋本市東家216（1963年）、和歌山県橋本市東家4-4（1966年・1969年・1970年・1971年・1972年）
開館年 : 1956年頃
閉館年 : 1972年頃
1956年の映画館名簿には掲載されていない。1957年・1958年の映画館名簿では「橋本映劇」。1960年の映画館名簿では「橋本劇場」。1963年・1966年・1969年・1970年・1971年・1972年の映画館名簿では「橋本日活」。1973年の映画館名簿には掲載されていない。1994年の住宅地図では跡地に「土生駐車場」。跡地は「橋本簡易裁判所」北東90mにある駐車場。最寄駅はJR和歌山線橋本駅。
1970年の橋本劇場の写真あり。橋本市東家にある御殿橋の西側、国道24号の北側には橋本劇場があった。『太陽の季節』『狂った果実』『戦争と人間』『幕末』『家族』『木の群』など日活系の作品が多く上映された。生徒の映画鑑賞会も行われた。橋本劇場から北東に伸びる路地の両側はスナック街となっていた。2004年現在では映画館の建物は取り壊されて車庫が建ち、その手前の広場は駐車場となっている。((中野栄治（監修）『保存版 橋本・伊都・那賀今昔写真帖』郷土出版社、2004年、p.106))
国道24号の脇には映画館「橋本日活」があり、橋本日活から北に50mほど続く路地には10数軒の居酒屋・バー・スナックなどがひしめいていた。この路地を「浮世小路」と呼び、橋本・伊都地方では一番の歓楽街だった。((「[[古校舎移設しネオン街〜橋本『浮世小路』今昔>>http://hashimoto-news.com/special/special04/2011/05/12/2919/]]」『橋本新聞』2011年5月12日))
*** 高野口平和劇場/平和劇場
所在地 : 和歌山県伊都郡高野口町（1957年・1958年）、和歌山県伊都郡高野口町小田（1960年）、和歌山県伊都郡高野口町名倉（1963年・1966年・1969年・1973年・1975年・1978年・1980年・1985年・1990年・1992年）
開館年 : 1956年頃
閉館年 : 1992年頃
1956年の映画館名簿には掲載されていない。1957年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「平和劇場」。1966年・1969年・1973年・1975年・1978年・1980年・1985年の映画館名簿では「高野口平和劇場」。1990年・1992年の映画館名簿では「平和劇場」。1992年の映画館名簿では鉄筋造2階、323席、経営会社が岸田興業株式会社、経営者・支配人ともに岸田功、邦画・洋画を上映。1993年の映画館名簿には掲載されていない。跡地はファミリーマートとなり、跡地は国道24号「名倉」交差点北東角の「葬祭会館東京屋」。最寄駅はJR和歌山線高野口駅。
** 伊都郡かつらぎ町
*** 蛭子座
所在地 : 和歌山県伊都郡笠田町（1943年・1947年・1949年）、和歌山県伊都郡笠田町東666（1950年）
開館年 : 1941年以後1943年以前
閉館年 : 1950年以後1953年以前
1941年の映画館名簿には掲載されていない。1943年・1947年・1949年・1950年の映画館名簿では「蛭子座」。1953年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 日ノ出劇場/日之出劇場/日の出劇場/妙映/妙寺劇場/妙劇
所在地 : 和歌山県伊都郡妙寺町（1947年）、和歌山県伊都郡妙寺町大字妙寺（1949年）、和歌山県伊都郡妙寺町（1953年・1955年・1958年）、和歌山県伊都郡かつらぎ町妙寺（1960年・1961年）
開館年 : 1943年以後1947年以前、1951年1月
閉館年 : 1961年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1951年1月開館。1943年の映画館名簿には掲載されていない。1947年の映画館名簿では「日ノ出劇場」。1949年の映画館名簿では「日之出劇場」。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年の映画館名簿では「日の出劇場」。1955年の映画館名簿では「妙映」。1958年の映画館名簿では「妙寺劇場」。1960年・1961年の映画館名簿では「妙劇」。1962年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 桜映画劇場
所在地 : 和歌山県伊都郡笠田町（1953年）、和歌山県伊都郡笠田町701（1955年）、和歌山県伊都郡笠田町700（1958年）、和歌山県伊都郡かつらぎ町笠田東（1960年・1961年・1962年）
開館年 : 1950年9月
閉館年 : 1962年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年・1958年・1960年・1961年・1962年の映画館名簿では「桜映画劇場」。1963年の映画館名簿には掲載されていない。
** 伊都郡高野町
*** 高野山劇場
所在地 : 和歌山県伊都郡高野町（1959年）、和歌山県伊都郡高野町高野山438（1960年）、和歌山県伊都郡高野町高野山（1963年）、和歌山県伊都郡高野町（1964年・1965年）
開館年 : 1958年頃
閉館年 : 1965年頃
1958年の映画館名簿には掲載されていない。1959年・1960年・1963年・1964年・1965年の映画館名簿では「高野山劇場」。1966年の映画館名簿には掲載されていない。
** 伊都郡九度山町
映画館名簿によると伊都郡九度山町に映画館は存在しなかったと思われる。
** 海草郡紀美野町
*** 野上座
所在地 : 和歌山県海草郡東野上町（1953年・1955年・1958年）、和歌山県海草郡野上町字小畑（1960年・1963年・1964年・1965年）
開館年 : 1945年1月
閉館年 : 1965年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1945年1月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年・1958年・1960年・1963年・1965年の映画館名簿では「野上座」。1953年の映画館名簿では経営者が柿瀬米助、支配人が記載なし、木造2階、定員365、混合を上映。1958年の映画館名簿では経営者が柿瀬米助、支配人が玉川義城、木造2階、定員270、邦画を上映。1960年の映画館名簿では経営者が岩井玉和、支配人が玉川義城、木造2階、定員270、邦画を上映。1963年の映画館名簿では経営者が川口興業、支配人が玉川義城、木造2階、定員270、邦画を上映。1966年の映画館名簿には掲載されていない。
大正初期には東野上村小畑に紀州製糸会社の工場ができ、地域の発展に大きく寄与した。小畑には「野上劇場」ができ、1955年頃まで営業が続いた。((野上町誌編さん委員会『野上町誌 下巻』野上町、1985年、pp.211-212))
岩井玉和。1903年1月15日生まれ。1947年4月に和歌山県議会議員に当選、1951年4月に県議会議員を退任。1955年4月30日、初代野上町長に当選。1959年4月に町長に二選、1963年4月に町長に三選、1967年4月に町長に四選、1971年4月に町長を退任。((野上町誌編さん委員会『野上町誌 上巻』野上町、1985年、p.654、p.784、p.793))
1950年、野上小学校の児童が野上座で映画『日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声』を鑑賞した。((野上町誌編さん委員会『野上町誌 下巻』野上町、1985年、p.476))
* 和歌山県中部
** 有田市
*** 永楽座
所在地 : 和歌山県有田郡箕島町（1943年・1947年・1950年・1953年・1955年）、和歌山県有田市箕島町701（1958年・1960年・1962年）
開館年 : 1941年以後1943年以前
閉館年 : 1962年頃
『全国映画館総覧 1955』には開館年が掲載されていない。1941年の映画館名簿には掲載されていない。1943年・1947年・1950年・1953年・1955年・1958年・1960年の映画館名簿では「永楽座」。1962年の映画館名簿では「栄楽座」。1963年の映画館名簿には掲載されていない。
箕島にあった「永楽座」のイラストあり。二度の火災を経て3代目の建物となった永楽座では、芝居も活動写真も行われた。((西原俊秋『箕島の70年昔を語る』西原俊秋、1990年、表紙))
*** 有田会館
所在地 : 和歌山県有田郡有田町箕島（1956年）、和歌山県有田市箕島（1957年・1958年）、和歌山県有田市箕島841（1960年・1963年）
開館年 : 1955年頃
閉館年 : 1963年頃
1955年の映画館名簿には掲載されていない。1956年・1957年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「有田会館」。1959年の映画館名簿では経営者が大川安男、支配人が佐原宏、鉄筋造1階冷暖房付、定員304、邦画・洋画を上映。1963年の映画館名簿では経営者が太陽企業、鉄筋造1階冷暖房付、定員300、邦画を上映。1964年の映画館名簿には掲載されていない。
1962年8月1日、有田市に73番目の日活直営館「日活有田会館」が誕生した。鉄筋造平屋建て、定員300人。同日、御坊市に74番目の日活直営館「日活日吉座」が誕生した。経営はいずれも傍系の太陽企業。((「映画館ニュース」『キネマ旬報』1962年9月1日、320号))
*** 昭和映画劇場/有田箕島昭和映画劇場/箕島昭和映画劇場
所在地 : 和歌山県有田郡箕島885-1（1956年）、和歌山県有田市箕島町885-2（1958年）、和歌山県有田市箕島（1960年）、和歌山県有田市箕島町885（1973年・1976年）
開館年 : 1955年頃
閉館年 : 1978年頃
1955年の映画館名簿には掲載されていない。1956年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「昭和映画劇場」。1966年の映画館名簿では「有田箕島昭和映画劇場」。1969年・1973年・1976年の映画館名簿では「箕島昭和映画劇場」。1978年のゼンリン住宅地図では「昭和映劇」。1979年の映画館名簿には掲載されていない。跡地のスーパーマーケットは1982年閉店。「有田劇場」や「昭映」とも。跡地は「コーナン箕島店」西側の分譲住宅地。最寄駅はJR紀勢本線箕島駅。
昭和20年代の「昭映」の写真あり。箕島駅前には昭映があり、東宝系や大映系の作品が上映されていた。昭和40年代には東宝の『ゴジラ』シリーズ、大映の『ガメラ』シリーズが大ヒットした。閉館後には1991年の江口洋介主演の映画『真夏の少年』に1シーンだけ建物が登場した。((『保存版 海南・有田今昔写真帖』郷土出版社、2008年、p.97))
*** 箕島映画劇場/箕島東映/有田箕島映劇/箕島映劇
所在地 : 和歌山県有田郡箕島町（1953年）、和歌山県有田郡箕島町469（1955年）、和歌山県有田市箕島町469（1958年）、和歌山県有田市箕島469（1960年）、和歌山県有田市本町2（1963年）、和歌山県有田市箕島町469（1966年・1973年・1980年・1982年・1984年）
開館年 : 1950年9月
閉館年 : 1984年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1953年・1955年・1958年・1960年の映画館名簿では「箕島映画劇場」。1955年の映画館名簿では経営者が小川由松、支配人が小川稔、木造1階、定員186、上映作品は混合。1959年の映画館名簿では経営者が小川稔、木造2階建、400席、邦画を上映。1963年の映画館名簿では「箕島東映」。1963年の映画館名簿で経営者が小川平次、支配人が小川稔、木造2階建、500席、邦画を上映。1966年の映画館名簿では「有田箕島映劇」。1969年・1973年・1980年・1982年・1984年の映画館名簿では「箕島映劇」。1978年のゼンリン住宅地図では「箕島映劇」。1985年の映画館名簿には掲載されていない。「箕映」とも。跡地は「きのくに信用金庫箕島支店」の西100mの駐車場。最寄駅はJR紀勢本線箕島駅。
有田市の箕島市街地の映画館としては、駅前の「昭映」、本町の「箕映」、蓮池のほとりの「永楽座」、辰ヶ浜の「浜映」などがあった。箕映には2階に畳席があり、寝転びながら映画を観ることができた。((『保存版 海南・有田今昔写真帖』郷土出版社、2008年))
** 御坊市
*** 朝日座
所在地 : 和歌山県御坊市島248（1959年）、和歌山県御坊市春日町248（1960年）
開館年 : 1958年頃
閉館年 : 1960年頃
1958年の映画館名簿には掲載されていない。1959年・1960年の映画館名簿では「朝日座」。1961年の映画館名簿には掲載されていない。
御坊市の東町には仮設的な劇場として「朝日座」があった。1955年頃から約10年に渡って芝居や映画の興行を行っていた。((御坊市史編さん委員会『御坊市史 第二巻 通史編�供抔翹兄圈�1981年、p.802))
*** 日吉座/御坊日吉座
所在地 : 和歌山県日高郡御坊町（1950年・1953年）、和歌山県御坊市御坊町（1955年）、和歌山県御坊市薗町162（1958年）、和歌山県御坊市薗164（1960年・1963年）、和歌山県御坊市薗166-1（1966年・1969年・1973年）
開館年 : 1923年、1950年9月
閉館年 : 1971年
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1950年の映画館名簿では「御坊日吉座」。1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「日吉座」。1966年・1969年・1973年の映画館名簿では「御坊日吉座」。1975年の映画館名簿には掲載されていない。
1962年8月1日、有田市に73番目の日活直営館「日活有田会館」が誕生した。鉄筋造平屋建て、定員300人。同日、御坊市に74番目の日活直営館「日活日吉座」が誕生した。経営はいずれも傍系の太陽企業。((「映画館ニュース」『キネマ旬報』1962年9月1日、320号))
1923年、日高郡御坊町の石橋通に「日吉座」が開館した。戦後の一時期は「セントラル劇場」と改称して洋画を上映したが、後に日活直営館となった。1969年10月には1200席を320席に縮小してリニューアル開館したが、2年後の1971年に閉館した。((御坊市史編さん委員会『御坊市史 第二巻 通史編�供抔翹兄圈�1981年、p.802))
戦後には映画が手ごろな娯楽だった。戦後まもなく「老松座」と「日吉座」が営業再開し、さらにシネマスコープ上映館として松原通りに「グランド劇場」が、洋画専門館として中町2丁目に「中央劇場」が開館した。やがて経営不振で閉館が相次ぎ、1978年末にはグランド劇場の1館のみとなった。((御坊市史編さん委員会『御坊市史 第二巻 通史編�供抔翹兄圈�1981年、p.800))
*** 中央劇場/御坊中央劇場
所在地 : 和歌山県御坊市中町2-67（1960年・1963年）、和歌山県御坊市中町2（1966年・1969年・1973年・1975年・1976年）
開館年 : 1956年6月
閉館年 : 1976年11月
1955年の映画館名簿には掲載されていない。1960年・1963年の映画館名簿では「中央劇場」。1966年・1969年・1973年・1975年・1976年の映画館名簿では「御坊中央劇場」。1978年の映画館名簿には掲載されていない。1979年のゼンリン住宅地図では「中央劇場」。1985年のゼンリン住宅地図では跡地に空白。跡地は「御坊市地内町会館」の東側にある「カラオケ喫茶未来」（※閉店済）専用駐車場。最寄駅は紀州鉄道紀州鉄道線西御坊駅。
1956年6月、中町2丁目に洋画専門館として「中央劇場」が開館した。1956年末の『十戒』、1965年初頭の『ベン・ハー』などは学生や若者の人気を得た。1976年11月に閉館した。((御坊市史編さん委員会『御坊市史 第二巻 通史編�供抔翹兄圈�1981年、p.802))
*** 老松座/御坊老松座
所在地 : 和歌山県日高郡御坊町（1950年・1953年）、和歌山県御坊市御坊町319（1955年）、和歌山県御坊市薗252（1958年）、和歌山県御坊市薗219（1960年・1963年・1966年・1969年・1973年・1975年・1978年）
開館年 : 1905年7月
閉館年 : 1978年10月
『全国映画館総覧 1955』によると1905年7月開館。1950年・1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「老松座」。1966年・1969年・1973年・1975年・1978年の映画館名簿では「御坊老松座」。1979年のゼンリン住宅地図では「老松座」。1980年の映画館名簿には掲載されていない。1985年のゼンリン住宅地図では跡地に駐車場。跡地は「天性寺」北北東70mの駐車場。最寄駅は紀州鉄道紀州鉄道線西御坊駅。
1902年、御坊町の元町に「老松座」が開館して芝居を上演した。後に映画館となったが、1978年10月に閉館した。座席数は約300席。((御坊市史編さん委員会『御坊市史 第二巻 通史編�供抔翹兄圈�1981年、p.802))
*** 東映グランド劇場/御坊東映グランド劇場/御坊グランド劇場/グランド劇場
所在地 : 和歌山県御坊市薗489（1960年）、和歌山県御坊市松原通（1963年・1966年・1969年・1973年・1975年・1978年・1980年・1985年）、和歌山県御坊市松原通510（1990年・1992年・1993年）
開館年 : 1955年9月
閉館年 : 1993年頃
1955年の映画館名簿には掲載されていない。1960年の映画館名簿では「グランド劇場」。1963年の映画館名簿では「東映グランド劇場」。1966年・1969年・1973年の映画館名簿では「御坊東映グランド劇場」。1975年・1978年・1980年・1985年の映画館名簿では「御坊グランド劇場」。1979年のゼンリン住宅地図では「東映グランド劇場」。1985年のゼンリン住宅地図では「御坊グランド劇場」。1990年・1992年・1993年の映画館名簿では「グランド劇場」。1994年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「高辻内科胃腸科」専用駐車場と「三ツ星薬局御坊店」。最寄駅は紀州鉄道紀州鉄道線西御坊駅。
1955年9月、松原通に「グランド劇場」が開館した。東映系の時代劇が盛況だったが、漫画映画、文学作品の映画化作品（『伊豆の踊子』『絶唱』）なども人気だった。((御坊市史編さん委員会『御坊市史 第二巻 通史編�供抔翹兄圈�1981年、p.802))
*** ジストシネマ御坊
所在地 : 和歌山県御坊市湯川町財部181 ロマンシティ御坊3階（2000年・2005年・2010年・2015年・2020年）
開館年 : 1999年11月27日
閉館年 : 営業中
1995年の映画館名簿には掲載されていない。2000年・2005年・2010年・2015年・2020年の映画館名簿では「ジストシネマ御坊1・2・3」（3館）。最寄駅は紀州鉄道紀州鉄道線学門駅。
** 有田郡湯浅町
*** 旭劇場/湯浅旭劇場
所在地 : 和歌山県有田郡湯浅町（1950年・1953年）、和歌山県有田郡湯浅町1291（1955年）、和歌山県有田郡湯浅町（1958年）、和歌山県有田郡湯浅町湯浅（1960年）、和歌山県有田郡湯浅町湯浅129（1966年）、和歌山県有田郡湯浅町湯浅1291（1969年・1970年・1971年）
開館年 : 1929年? 1930年?
閉館年 : 1971年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1950年・1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「旭劇場」。1966年・1969年・1970年・1971年の映画館名簿では「湯浅旭劇場」。1972年の映画館名簿には掲載されていない。
国鉄紀勢本線が和歌山駅から延伸される際、市街地に拡張の余地がなかった湯浅では、島之内地域の水田を埋め立てて市街地を拡張した。1930年にはこの埋立地にいち早く「旭劇場」が建設された。戦後の映画人気にこたえて、1948年には畳敷きだった旭劇場が腰掛式座席となった。((湯浅町誌編纂委員会『湯浅町誌』湯浅町、1967年、p.994))
昭和30年代の湯浅町にあった「旭座」の写真あり。((『写真で綴る湯浅町 湯浅町制施行100周年記念』湯浅町、1996年))
昭和30年代の旭劇場の写真あり。1929年には湯浅町の島之内に「旭劇場」が開館した。旭劇場のおかげで湯浅町や広川町で映画が人気となり、両町にライバル館が続々と開館した。((『保存版 海南・有田今昔写真帖』郷土出版社、2008年、p.97))
1930年には湯浅町島の内に芝居小屋「旭劇場」ができ、戦後には映画館として営業した。旭劇場の写真あり。(([[湯浅町文化財保存活用地域計画>>https://www.town.yuasa.wakayama.jp/uploaded/attachment/5333.pdf]] 湯浅町、2021年))
*** 湯浅東映/湯浅会館
所在地 : 和歌山県有田郡湯浅町（1953年）、和歌山県有田郡湯浅町395（1955年）、和歌山県有田郡湯浅町（1958年）、和歌山県有田郡湯浅町湯浅（1960年）、和歌山県有田郡湯浅町（1963年）、和歌山県有田郡湯浅町湯浅（1966年・1969年・1970年・1971年・1972年）
開館年 : 1949年10月
閉館年 : 1972年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1949年10月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年・1958年・1960年の映画館名簿では「湯浅会館」。1963年の映画館名簿では「湯浅東映」。1966年・1969年・1970年・1971年・1972年の映画館名簿では「湯浅会館」。1973年の映画館名簿には掲載されていない。1978年の住宅地図では「湯浅会館（映劇）」。跡地は「真楽寺」北西50mにある月極駐車場「薮田駐車場�供廖�最寄駅はJR紀勢本線湯浅駅。
1949年には湯浅町浜町に映画館として「湯浅会館」が開館した。((湯浅町誌編纂委員会『湯浅町誌』湯浅町、1967年、p.994))
** 有田郡広川町
*** 広映劇場/広映画劇場
所在地 : 和歌山県有田郡広川町広町491（1955年）、和歌山県有田郡広川町199（1958年）、和歌山県有田郡広川町（1960年・1962年）
開館年 : 1950年1月
閉館年 : 1962年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年1月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年の映画館名簿では「広映画劇場」。1958年の映画館名簿では「広映劇場」。1960年・1962年の映画館名簿では「広映画劇場」。1963年の映画館名簿には掲載されていない。
戦後の映画人気にこたえて、1948年には畳敷きだった湯浅町の「旭劇場」が腰掛式座席となった。次いで湯浅町に隣接する広川町に映画館の「広映」が開館し、湯浅町と広川町に計3館の映画館が鼎立した。((湯浅町誌編纂委員会『湯浅町誌』湯浅町、1967年、p.994))
** 有田郡有田川町
*** 金屋東映
所在地 : 和歌山県有田郡吉備町大字庄（1960年・1961年）
開館年 : 1959年頃
閉館年 : 1961年頃
1959年の映画館名簿には掲載されていない。1960年・1961年の映画館名簿では「金屋東映」。1963年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 橘座
所在地 : 和歌山県有田郡藤並村下津野（1955年）、和歌山県有田郡吉備町263（1958年）、和歌山県有田郡吉備町下津野（1960年）、和歌山県有田郡吉備町大字下津野（1961年）
開館年 : 1949年11月
閉館年 : 1961年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1949年11月開館。1953年の映画館名簿には掲載されていない。1955年・1958年・1960年・1961年の映画館名簿では「橘座」。1962年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 金屋口劇場
所在地 : 和歌山県有田郡吉備町185（1957年・1958年）、和歌山県有田郡吉備町徳田（1960年・1962年）
開館年 : 1956年頃
閉館年 : 1962年頃
1956年の映画館名簿には掲載されていない。1957年・1958年・1960年・1962年の映画館名簿では「金屋口劇場」。1963年の映画館名簿には掲載されていない。
1979年の有田川町徳田にあった金屋口青果市場の写真あり。金屋口は奥有田の玄関口として栄え、「金屋口劇場」「中央会館」の2館の映画館もあった。((『写真アルバム 海南・有田・御坊・日高の昭和』樹林舎、2020年、p.82))
*** 天満映画劇場
所在地 : 和歌山県有田郡吉備町（1956年・1957年）、和歌山県有田郡金屋町104（1958年）、和歌山県有田郡金屋町中井原（1960年・1963年・1964年・1965年）
開館年 : 1955年頃
閉館年 : 1965年頃
1955年の映画館名簿には掲載されていない。1956年・1957年・1958年・1960年・1963年・1964年・1965年の映画館名簿では「天満映画劇場」。1966年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 清水東宝カネタマル劇場
所在地 : 和歌山県有田郡清水町325（1966年・1969年・1970年）
開館年 : 1952年
閉館年 : 1970年頃
1965年の映画館名簿には掲載されていない。1966年・1969年・1970年の映画館名簿では「清水東宝カネタマル劇場」。1970年の映画館名簿では経営者が太田種吉、支配人が向井彰、木造2階、定員400、東宝を上映。1971年の映画館名簿には掲載されていない。
清水町の太田種吉は八幡神社の馬場先に公会堂を設けたが売却し、1952年には工費200万円で「かねたまる劇場」を建設した。1958年には生石を越えて牛乳を運ぶ貨物運送を開始した。太田種吉は村会議員、清水町会議員でもあったが、1970年に69歳で死去した。((清水町誌編さん委員会『清水町誌 下巻 本編』清水町、1998年、pp.749-750、p.898))
2015年のこのほど、湯浅町湯浅の銭湯を利用した歴史資料館「甚風呂」で、「昭和の映画ポスター展」が開催されている。昭和40年代後半まで清水町清水（現・有田川町清水）にあった映画館「カネタマル劇場」にあったポスターを寄贈されたことがきっかけ。ポスターを寄贈した炭原美幸は劇場経営者の長女であり、ザ・タイガースが主演した映画や怪獣映画などを観て育った。((「銀幕ポスターが熱い 湯浅・甚風呂 黒沢監督や森繁作品」『読売新聞』2015年3月30日))
** 日高郡由良町
*** 由良劇場
所在地 : 和歌山県日高郡由良村大字里（1947年）、和歌山県日高郡由良町由良港（1949年）、和歌山県日高郡由良町（1950年・1953年・1955年・1958年）、和歌山県日高郡由良町里（1960年・1963年）、和歌山県日高郡由良町横浜（1966年・1968年）
開館年 : 1940年6月
閉館年 : 1968年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1940年6月開館。1943年の映画館名簿には掲載されていない。1947年・1949年・1950年・1953年・1958年・1960年・1963年・1966年・1968年の映画館名簿では「由良劇場」。1969年の映画館名簿には掲載されていない。
** 日高郡印南町
*** 朝日館/朝日座/印南朝日座
所在地 : 和歌山県日高郡印南町（1953年・1955年・1958年）、和歌山県日高郡印南町印南（1960年・1963年）、和歌山県日高郡印南町2295（1966年）
開館年 : 1920年5月
閉館年 : 1961年9月16日
『全国映画館総覧 1955』によると1920年5月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年の映画館名簿では「朝日館」。1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「朝日座」。1966年の映画館名簿では「印南朝日座」。1969年の映画館名簿には掲載されていない。
昭和初期の印南には「朝日座」が開館して映画が人気となった。当初は洲崎楠五郎が経営者であり、やがて久保為二や酒井長助が引き継いだ。切目や稲原などからも観客を集めた。1961年9月16日の第2室戸台風で倒壊して閉館した。((印南町史編集室『印南町史 通史編 下巻』印南町、1990年、pp.1506-1507))
** 日高郡みなべ町
*** 千歳座/千歳劇場/南部千歳劇場
所在地 : 和歌山県日高郡南部町（1953年）、和歌山県日高郡南部町195（1955年）、和歌山県日高郡南部町（1958年）、和歌山県日高郡南部町北道（1960年）、和歌山県日高郡南部町（1963年）、和歌山県日高郡南部町北道195（1966年・1969年）
開館年 : 1932年、1939年8月
閉館年 : 1971年
『全国映画館総覧 1955』によると1939年8月開館。1950年・1953年の映画館名簿では「千歳座」。1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「千歳劇場」。1966年・1969年の映画館名簿では「南部千歳劇場」。1973年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「メガネの松原」や「松寿司本店」の裏側にある駐車場。最寄駅はJR紀勢本線南部駅。
1933年には南部町に「千歳座」ができ、映画の上映や芝居の上演を行った。((南部町町誌編纂委員会『南部町年表』南部町、1987年、p.143))
1931年に北道の高見共同墓地が移転して広い空地ができたため、1932年には株式組織で「千歳座」が開館した。当時は「墓地跡は繁昌する」と言われていたのである。千歳座の開館によって、南道の稲荷神社北隣にあった「三共座」が閉館している。1943年には「千歳劇場」に改称して映画の常設館となった。1971年には千歳劇場が閉館し、1992年に建物が取り壊された。時期不明の千歳劇場の写真あり。1971年3月16日の『梅洋新聞』に掲載された最後の映画広告には、勝新太郎&藤田弓子主演の『どでかい奴』と高橋英樹&和泉雅子主演の『風の天狗』が掲載されている。((南部町史編さん委員会『南部町史 通史編 第三巻』南部町、1996年、pp.814-815))
1960年代にはみなべ町唯一の映画館だった「千歳座」が閉館した。布団店を経営する冨士八郎の先代は、千歳座から約1000枚近いポスターを買い取った。森繁久彌主演の社長シリーズ、勝新太郎主演の座頭市シリーズ、高倉健主演の網走番外地シリーズ、怪獣ガメラシリーズ、東映まんがまつりなどのポスターがある。((「昭和の映画ポスター1000枚 みなべ・冨士さん 活用呼びかけ」『読売新聞』2010年5月7日))
昭和末期から平成初期の南部町北道にあった映画館「千歳座」廃墟の写真あり。1931年にみなべ町まで鉄道が敷設されたことで、1932年に高見共同墓地跡地の空き地に千歳座が開館した。1943年には千歳劇場に改称して常設映画館となった。『東京オリンピック』や『黒部の太陽』は学校鑑賞の対象となった。1971年に閉館し、1992年に建物が取り壊された。((『写真アルバム 海南・有田・御坊・日高の昭和』樹林舎、2020年、p.152))
** 日高郡美浜町
映画館名簿によると日高郡美浜町に映画館は存在しなかったと思われる。
** 日高郡日高町
映画館名簿によると日高郡日高町に映画館は存在しなかったと思われる。
** 日高郡日高川町
映画館名簿によると日高郡日高川町に映画館は存在しなかったと思われる。
* 和歌山県南部
** 田辺市
*** 葵映画劇場/田辺葵映画劇場
所在地 : 和歌山県田辺市下屋敷町（1953年）、和歌山県田辺市下屋敷町1-1（1955年・1958年・1960年・1963年）、和歌山県田辺市下屋敷町1（1966年・1969年・1973年・1974年）
開館年 : 1950年9月
閉館年 : 1974年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「葵映画劇場」。1966年・1969年・1973年・1974年の映画館名簿では「田辺葵映画劇場」。1972年のゼンリン住宅地図では「葵映劇場」。1978年のゼンリン住宅地図では跡地に空白。1975年・1976年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「奨楽写真館」。最寄駅はJR紀勢本線紀伊田辺駅。
1952年の田辺市にあった「葵映画劇場」の写真あり。下屋敷町のアオイ通りにあった。昭和30年代の田辺市には、「常磐座」「住吉座」「錦輝館」「葵映画劇場」「ハリウッド劇場」の5館の映画館があった。((『紀南の昭和』樹林舎、2017年、p.77))
*** 田辺東映ハリウッド劇場/ハリウッド劇場/田辺東映/田辺ハリウッド劇場/田辺東映劇場/田辺ハリウッド
所在地 : 和歌山県田辺市権現松原（1953年）、和歌山県田辺市湊655（1955年）、和歌山県田辺市紺屋町（1958年）、和歌山県田辺市湊町655（1960年・1963年）、和歌山県田辺市湊655（1966年・1969年・1973年・1980年・1981年）
開館年 : 1950年7月
閉館年 : 1981年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年7月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年・1957年の映画館名簿では「ハリウッド劇場」。1959年の映画館名簿では「田辺東映ハリウッド劇場」。1958年の映画館名簿では「田辺東映」。1960年の映画館名簿では「ハリウッド劇場」。1963年の映画館名簿では「田辺東映」。1966年・1969年の映画館名簿では「田辺ハリウッド劇場」。1972年のゼンリン住宅地図では「ハリウッド劇場」。1973年の映画館名簿では「田辺東映劇場」。1978年のゼンリン住宅地図では「ハリウッド劇場」。1980年・1981年の映画館名簿では「田辺ハリウッド」。1982年の映画館名簿には掲載されていない。1982年・1984年のゼンリン住宅地図では跡地に空白。跡地は「東京海上日動火災保険田辺支社」。最寄駅はJR紀勢本線紀伊田辺駅。
昭和30年代の田辺市の宮地通り商店街の写真あり。現在のホテルニュータナベ付近から仮庵山を望んでいる。中央奥には闘鶏神社の鳥居が見え、右奥には映画館「ハリウッド劇場」が見えている。((『写真アルバム 紀南の昭和』樹林舎、2017年、p.74))
*** 錦輝館/田辺錦輝館
所在地 : 和歌山県西牟婁郡田辺町（1934年）、和歌山県西牟婁郡田辺町大字湊（1936年）、和歌山県西牟婁郡田辺町湊（1941年）、和歌山県田辺市湊（1943年・1947年・1950年）、和歌山県田辺市湊町（1953年）、和歌山県田辺市湊1695（1955年）、和歌山県田辺市湊町1695（1958年・1960年・1963年）、和歌山県田辺市湊1695（1966年・1969年・1973年・1980年・1985年）
開館年 : 1927年5月10日
閉館年 : 1985年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1930年の映画館名簿には掲載されていない。1934年・1936年・1941年・1943年・1947年・1950年・1953年・1955年・1958年・1960年の映画館名簿では「錦輝館」。1969年・1973年・1980年・1985年の映画館名簿では「田辺錦輝館」。1972年のゼンリン住宅地図では「錦輝館（映劇）」。1978年・1984年のゼンリン住宅地図では「錦輝館」。1986年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「田辺市民総合センター」南西の「西川医院」。最寄駅はJR紀勢本線紀伊田辺駅。
1927年2月20日に建設中の「錦輝館」を写した写真あり。同年5月10日に開館日の錦輝館に並ぶ人々の写真あり。錦輝館は開館当初から活動写真の常設館だった。((『ふるさとの想い出写真集 明治大正昭和 田辺』国書刊行会、1980年、p.106))
昭和初期の「錦輝館」の写真あり。1927年5月、浄行寺の近くに錦輝館が開館した。((杉中浩一郎（監修）『目で見る 田辺・西牟婁の100年』郷土出版社、1994年、p.91))
1927年5月10日の開館当日の「錦輝館」の写真あり。((『映画黄金期 小屋と名作の風景 下巻』国書刊行会、1989年、p.37))
*** 住吉館/住吉座/田辺住吉座
所在地 : 和歌山県西牟婁郡田辺町紺屋町（1930年・1934年・1936年・1941年）、和歌山県田辺市紺屋町（1943年・1947年・1949年）、和歌山県田辺市紺屋町68（1955年・1958年・1960年・1963年・1966年・1969年・1973年）、和歌山県田辺市紺屋町62（1980年）、和歌山県田辺市紺屋町68（1985年・1986年）
開館年 : 1930年以前、1950年9月
閉館年 : 1986年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1930年・1934年・1936年の映画館名簿では「住吉館」。1941年・1943年・1947年・1949年・1950年・1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「住吉座」。1969年・1973年・1980年・1985年の映画館名簿では「田辺住吉座」。1972年のゼンリン住宅地図では「住吉座（映劇）」。1978年・1984年のゼンリン住宅地図では「住吉座」。1986年の映画館名簿では「住吉座」。1987年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「稲荷神社」西側で「紺屋町屋」東側の三角地帯。最寄駅はJR紀勢本線紀伊田辺駅。
*** 田辺大映/田辺常盤座/常盤座/トキワ座
所在地 : 和歌山県西牟婁郡田辺町大字新地（1936年）、和歌山県西牟婁郡田辺町新地（1941年）、和歌山県田辺市上屋敷（1943年・1947年）、和歌山県田辺市上屋敷33（1950年）、和歌山県田辺市上屋敷町（1953年）、和歌山県田辺市上屋敷町33（1960年・1963年・1966年）、和歌山県田辺市上屋敷町（1969年）、和歌山県田辺市上屋敷町33（1973年・1980年・1985年・1990年・1992年・1995年）
所在地 : 和歌山県西牟婁郡田辺町大字新地（1936年）、和歌山県西牟婁郡田辺町新地（1941年）、和歌山県田辺市上屋敷（1943年・1947年）、和歌山県田辺市上屋敷33（1950年）、和歌山県田辺市上屋敷町（1953年）、和歌山県田辺市上屋敷町33（1960年・1963年・1966年）、和歌山県田辺市上屋敷町（1969年）、和歌山県田辺市上屋敷町33（1973年・1980年・1985年・1990年・1995年）
開館年 : 1934年以後1936年以前
閉館年 : 1995年8月16日
1934年の映画館名簿には掲載されていない。1936年・1941年・1943年・1947年・1950年・1953年の映画館名簿では「常盤座」。1955年の映画館名簿には掲載されていない。1960年の映画館名簿では「田辺大映」。1969年・1973年・1980年・1985年の映画館名簿では「田辺常盤座」。1972年のゼンリン住宅地図では「常盤座（映劇）」。1978年・1984年のゼンリン住宅地図では「常磐座」（盤ではない）。1990年の映画館名簿では「常磐座」。1992年・1995年の映画館名簿では「トキワ座」。1996年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は2018年開所の高齢者介護施設「アネックス生翔」。最寄駅はJR紀勢本線紀伊田辺駅。
1995年8月16日をもって、田辺市唯一の映画館「トキワ座」が閉館する。1932年に志波弘次郎が芝居興行中心の劇場「常磐座」を開館させ、戦時中に映画も上映するようになった。長谷川一夫、片岡千恵蔵、大友柳太朗、宝塚少女歌劇団などが来演したこともある。かつて田辺市街地には7館の映画館があったが、テレビの普及などで次々に閉館した。作家の村松友視は雑誌『太陽』1988年11月号でトキワ座を紹介している。閉館時点でも小道具小屋・座長部屋・廻り舞台などを有している。((「最後の映画館、幕」『朝日新聞』1995年8月15日))
閉館年 : 1995年頃
1934年の映画館名簿には掲載されていない。1936年・1941年・1943年・1947年・1950年・1953年の映画館名簿では「常盤座」。1955年の映画館名簿には掲載されていない。1960年の映画館名簿では「田辺大映」。1969年・1973年・1980年の映画館名簿では「田辺常盤座」。1972年のゼンリン住宅地図では「常盤座（映劇）」。1978年・1984年のゼンリン住宅地図では「常磐座」（盤ではない）。1990年の映画館名簿では「常盤座」。1995年の映画館名簿では「トキワ座」。1996年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は2018年開所の高齢者介護施設「アネックス生翔」。最寄駅はJR紀勢本線紀伊田辺駅。
村松友視『黄昏のムービー・パレス』には、「田辺トキワ座」に関する随筆が掲載されている。((村松友視『黄昏のムービー・パレス』平凡社、1999年))
*** ジストシネマ田辺1・2・3
所在地 : 和歌山県田辺市稲成町新江原3229 パビリオンシティ田辺C館3階（2000年・2005年・2010年・2015年・2020年）
開館年 : 1996年
閉館年 : 営業中
1995年の映画館名簿には掲載されていない。2000年・2005年・2010年・2015年・2020年の映画館名簿では「ジストシネマ田辺1・2・3」（3館）。最寄駅はJR紀勢本線紀伊田辺駅。
** 新宮市
*** 新天地劇場
所在地 : 和歌山県東牟婁郡新宮町（1930年）
開館年 : 1930年以前
閉館年 : 1930年以後1936年以前?
1930年の映画館名簿では「新天地劇場」。1936年の映画館名簿では経営者が奥田辰之助、支配人が古那木三平、電話が201、帝国キネマ・マキノを上映。1943年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 帝国館
所在地 : 和歌山県新宮市谷王町（1936年）
開館年 : 1930年以後1936年以前
閉館年 : 1936年以後1941年以前
1930年の映画館名簿には掲載されていない。1936年の映画館名簿では「帝国館」。1936年の映画館名簿では経営者が矢倉虎一、電話が278、松竹を上映。1941年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 第二朝日座
所在地 : 和歌山県新宮市新宮491（1936年）
開館年 : 1930年以後1936年以前
閉館年 : 1936年以後1941年以前
1930年の映画館名簿には掲載されていない。1936年の映画館名簿では「第二朝日座」。1936年の映画館名簿では経営者が雑古秀一、支配人が有井誠三、電話が579、日活・新東宝を上映。1941年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 朝日座
所在地 : 和歌山県新宮市谷王地（1936年）
開館年 : 1930年以後1936年以前
閉館年 : 1936年以後1941年以前
1930年の映画館名簿には掲載されていない。1936年の映画館名簿では「朝日座」。1936年の映画館名簿では経営者が雑古秀一、支配人が末松貞一、電話が579、発声器は野村式、映写機は野村式、日活・新東宝を上映。1941年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 浮島劇場
所在地 : 和歌山県新宮市浮島町（1941年）
開館年 : 1936年以後1941年以前
閉館年 : 1941年以後1943年以前
1936年の映画館名簿には掲載されていない。1941年の映画館名簿では「浮島劇場」。1943年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 日の出座/新宮日の出映画劇場/南芳劇場/南芳映画劇場/新宮松竹
所在地 : 和歌山県新宮市日の出通（1941年）、和歌山県新宮市日の出通り（1943年）、和歌山県新宮市日ノ出町505（1947年）、和歌山県新宮市日ノ出町（1949年）、和歌山県新宮市馬町525（1950年）、和歌山県新宮市日の出通（1953年）、和歌山県新宮市日之出通（1955年）、和歌山県新宮市馬町2-3（1958年）、和歌山県新宮市新宮馬町2-3-1（1960年）、和歌山県新宮市新宮505（1963年）
開館年 : 1936年以後1941年以前、1949年3月
閉館年 : 1963年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1949年3月開館。1936年の映画館名簿には掲載されていない。1941年・1943年の映画館名簿では「日の出座」。1943年の映画館名簿では経営者が堀内徳太郎、電話が新宮394、定員774、発声器がローラー、映写機がローラー。1947年の映画館名簿では「日ノ出座」。1949年の映画館名簿では「日ノ出映画劇場」。1950年の映画館名簿では「新宮日の出映画劇場」。1953年の映画館名簿では「南芳劇場」。1955年の映画館名簿では「南芳映画劇場」。1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「新宮松竹」。1964年の映画館名簿には掲載されていない。
明治末期には新宮町の劇場「新玉座」が取り壊され、木田定三郎によって劇場「日の出座」が建設された。当初は井桁万亀太郎が座元だったが、やがて堀内作松が興行権を取得した。1961年現在の「松竹映画館」の場所である。((永広柴雪『新宮あれこれ』紀南新聞出版部、1961年、pp.427-429))
*** くまの座/熊野座
所在地 : 和歌山県新宮市三輪崎町（1941年）、和歌山県新宮市三輪崎（1953年）、和歌山県新宮市三輪崎827（1955年）、和歌山県新宮市三輪崎町13（1958年）、和歌山県新宮市三輪崎827（1960年）、和歌山県新宮市三輪崎35（1963年・1964年・1965年）
開館年 : 1938年8月
閉館年 : 1965年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1938年8月開館。1936年の映画館名簿には掲載されていない。1941年の映画館名簿では「熊野座」。1943年・1947年・1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年の映画館名簿では「熊野座」。1955年の映画館名簿では「くまの座」。1958年・1960年・1963年・1964年・1965年の映画館名簿では「熊野座」。1966年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 新宮東宝映画劇場/新宮東宝/新宮東宝劇場
所在地 : 和歌山県新宮市新宮（1953年・1955年）、和歌山県新宮市仲之町7-1（1958年）、和歌山県新宮市新宮407-1（1960年）、和歌山県新宮市横町2-1-5（1963年・1966年・1969年・1970年）
開館年 : 1949年2月1日
閉館年 : 1970年4月20日
『全国映画館総覧 1955』によると1950年10月開館。1950年の映画館名簿では「新宮東宝映画劇場」。1953年・1955年の映画館名簿では「新宮東宝」。1958年の映画館名簿では「新宮東宝劇場」。1960年・1963年の映画館名簿では「新宮東宝」。1966年・1969年・1970年の映画館名簿では「新宮東宝劇場」。1970年のゼンリン住宅地図では「新宮東宝劇場」。1973年の映画館名簿には掲載されていない。1977年のゼンリン住宅地図では跡地に「東宝駐車場」。跡地は「新宮東宝駐車場」。最寄駅はJR紀勢本線新宮駅。
1949年2月1日、新宮市に映画館「新宮東宝」が開館した。1970年4月20日、新宮東宝から出火して民家10軒が焼失した。((新宮市編さん委員会『新宮市史』新宮市、1972年、p.1040、p.1064))
新宮市の横町には「東宝映画館」があり、『ゴジラ』などが上映された。昭和30年代の東宝映画館の写真あり。1970年の火災後に閉館し、跡地にはボウリング場を建てる計画もあったが、駐車場用地が確保できなかったため計画倒れに終わった。熊野地方初の東宝ボウリング場は鴻田に開店している（新宮東宝ボウル）。2004年現在の跡地は東宝駐車場となっている。((前千雄（監修）『保存版 新宮・熊野今昔写真帖』郷土出版社、2004年、p.80))
1971年の新宮市横町にあった「新宮東宝」の写真あり。戦後の新宮市には松竹、大映など4館の映画館があった。新宮東宝では「ゴジラ」シリーズ、「モスラ」シリーズ、『日本沈没』、加山雄三主演の「若大将」シリーズなどが上映された。舟木一夫の公演が行われたこともあった。((『写真アルバム 東紀州の昭和』樹林舎、2020年、p.口絵8))
*** 新宮大映/新宮東映/新宮東映劇場
所在地 : 和歌山県新宮市新宮505（1956年）、和歌山県新宮市馬町2-3（1958年）、和歌山県新宮市新宮馬町2-3-17（1960年・1963年）、和歌山県新宮市馬場2-3-17（1966年・1969年・1973年）、和歌山県新宮市新宮馬町2-3-17（1975年・1978年）、和歌山県新宮市馬場2-3-17（1980年・1985年）
開館年 : 1956年頃
閉館年 : 1985年
1956年の映画館名簿には掲載されていない。1957年・1958年の映画館名簿では「新宮大映」。1960年・1963年の映画館名簿では「新宮東映」。1966年・1969年・1973年・1975年・1978年・1980年・1985年の映画館名簿では「新宮東映劇場」。1970年・1977年のゼンリン住宅地図では「新宮東映」。1985年の映画館名簿では経営会社が大新興業株式会社、経営者・支配人ともに荒木光雄、木造1階、300席、邦画・洋画を上映。1986年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「パチンコ21世紀シアターしんぐう」立体駐車場。最寄駅はJR紀勢本線新宮駅。
1985年1月から2月にかけて、新宮市にある映画館2館が相次いで閉館した。3年後には大型スーパー内に126席と77席の映画館が開館し、新宮市に映画館が復活した。((「新宮市長選 準都の条件 魅力ある町に 文化過疎どう克服」『朝日新聞』1991年4月18日))
*** 新宮映画劇場/新宮東映劇場/新宮映画館/アオイ劇場/新宮葵劇場/新宮葵映画劇場
所在地 : 和歌山県新宮市谷王子（1941年）、和歌山県新宮市新宮（1943年）、和歌山県新宮市新宮町（1947年）、和歌山県新宮市谷王寺通（1949年・1955年）、和歌山県新宮市谷王寺町3-3（1958年・1960年）、和歌山県新宮市谷王寺3-3（1963年）、和歌山県新宮市谷王寺町3-3（1966年・1973年・1975年・1978年・1980年・1985年）
開館年 : 1936年以後1941年以前、1948年10月
閉館年 : 1985年
『全国映画館総覧 1955』によると1948年10月開館。1936年の映画館名簿には掲載されていない。1941年の映画館名簿では「新宮映画劇場」。1943年・1947年・1949年・1950年・1953年・1955年の映画館名簿では「新宮映画館」。1943年の映画館名簿では経営者が原一雄、電話が新宮430、定員294、発声器がローラー、映写機がローラー。1958年の映画館名簿では「新宮東映劇場」。1960年の映画館名簿では「新宮映画館」。1963年の映画館名簿では「アオイ劇場」。1966年の映画館名簿では「新宮葵劇場」。1969年の映画館名簿には掲載されていないが理由は不明。1970年のゼンリン住宅地図では「葵劇場」。1973年・1975年・1978年・1980年・1985年の映画館名簿では「新宮葵映画劇場」。1977年のゼンリン住宅地図では「アオイ映画館」。1985年の映画館名簿では経営会社が打越興業株式会社、経営者・支配人ともに打越一馬、木造1階、280席、邦画・洋画を上映。1986年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「カラオケハウス ファミリー」。最寄駅はJR紀勢本線新宮駅。
1985年1月から2月にかけて、新宮市にある映画館2館が相次いで閉館した。3年後には大型スーパー内に126席と77席の映画館が開館し、新宮市に映画館が復活した。((「新宮市長選 準都の条件 魅力ある町に 文化過疎どう克服」『朝日新聞』1991年4月18日))
*** ファミリーシアターA・B/新宮ファミリーシアターA・B/ジストシネマ新宮1・2
所在地 : 和歌山県新宮市谷王子418-1 ペアシティオークワ（1990年・1995年・2000年・2005年）、和歌山県新宮市谷王子418番地1号 オークワ新宮仲之町店6階（2008年）
開館年 : 1988年
閉館年 : 2008年10月31日
1988年の映画館名簿には掲載されていない。1990年の映画館名簿では「ファミリーシアターA・B」（2館）。1992年・1995年の映画館名簿では「新宮ファミリーシアターA・B」（2館）。1992年の映画館名簿では経営会社が株式会社チェーンストアオークワ、経営者が大桑堉嗣、支配人が大谷静美、鉄筋造6階、300席と128席、いずれも邦画・洋画を上映。2000年・2005年・2006年・2008年の映画館名簿では「ジストシネマ新宮1・2」（2館）。2008年の映画館名簿では経営会社が株式会社オー・エンターテイメント、経営者が堀江邦彦、支配人が林真人、鉄筋造6階、128席と77席、いずれも邦画・洋画を上映。2010年の映画館名簿には掲載されていない。オークワ新宮仲之町店は現存。最寄駅はJR紀勢本線新宮駅。
*** ジストシネマ南紀1・2・3・4
所在地 : 和歌山県新宮市佐野3-11-19（2006年・2008年・2010年・2015年・2020年）
開館年 : 2005年3月5日
閉館年 : 営業中
2005年の映画館名簿には掲載されていない。2006年・2008年・2010年・2015年・2020年の映画館名簿では「ジストシネマ南紀1・2・3・4」（4館）。2008年の映画館名簿では経営会社が株式会社オー・エンターテイメント、経営者が堀江邦彦、支配人が菊池亮太、鉄筋造2階、190席と117席と81席と81席、いずれも邦画・洋画を上映。スーパーセンターオークワ南紀店。最寄駅はJR紀勢本線紀伊佐野駅。
** 西牟婁郡白浜町
*** 日乃出座/日之出座/日の出座
所在地 : 和歌山県西牟婁郡日置町（1953年）、和歌山県西牟婁郡日置町93（1955年）、和歌山県西牟婁郡日置川町（1960年・1961年）
開館年 : 1950年9月
閉館年 : 1961年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1953年の映画館名簿では「日の出座」。1955年の映画館名簿では「日乃出座」。1960年の映画館名簿では「日之出座」。1961年の映画館名簿では「日の出座」。1962年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 白浜座/白浜映画劇場
所在地 : 和歌山県西牟婁郡白浜町（1953年・1955年）、和歌山県西牟婁郡白浜町1109（1958年）、和歌山県西牟婁郡白浜町（1960年・1963年）、和歌山県西牟婁郡白浜町白浜1109-2（1966年・1968年）
開館年 : 1950年9月
閉館年 : 1968年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年9月開館。1950年の映画館名簿では「白浜座」。1953年・1955年・1958年・1960年・1963年・1966年・1968年の映画館名簿では「白浜映画劇場」。1969年の映画館名簿には掲載されていない。
** 西牟婁郡すさみ町
*** 衆楽館/グランド劇場
所在地 : 和歌山県西牟婁郡すさみ町（1963年・1965年）
開館年 : 1957年頃
閉館年 : 1965年頃
1957年の映画館名簿には掲載されていない。1958年の映画館名簿では「衆楽館」。1960年・1963年・1965年の映画館名簿では「グランド劇場」。1966年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 周参見会館/周参見映画劇場
所在地 : 和歌山県西牟婁郡周参見町1280（1955年）、和歌山県西牟婁郡すさみ町1280（1958年）、和歌山県西牟婁郡すさみ町（1963年・1965年）
開館年 : 1952年1月
閉館年 : 1965年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1952年1月開館。1953年の映画館名簿には掲載されていない。1955年・1958年の映画館名簿では「周参見会館」。1960年・1963年・1965年の映画館名簿では「周参見映画劇場」。1966年の映画館名簿には掲載されていない。
** 西牟婁郡上富田町
映画館名簿によると上富田町に映画館は存在なかったと思われる。
** 東牟婁郡太地町
*** 平和劇場/太地平和劇場
所在地 : 和歌山県東牟婁郡太地町3107（1955年）、和歌山県東牟婁郡太地町3128（1958年）、和歌山県東牟婁郡太地町（1960年・1963年）、和歌山県東牟婁郡太地町3107（1966年・1969年）
開館年 : 1948年1月
閉館年 : 1969年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1948年1月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「平和劇場」。1966年・1969年の映画館名簿では「太地平和劇場」。1970年の映画館名簿には掲載されていない。
** 東牟婁郡那智勝浦町
*** 那智映画劇場/那智映劇
所在地 : 和歌山県東牟婁郡那智町（1955年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町井関（1960年・1963年）
開館年 : 1953年4月
閉館年 : 1964年9月1日
『全国映画館総覧 1955』によると1953年10月開館。1953年の映画館名簿には掲載されていない。1955年の映画館名簿では「那智映劇」。1960年の映画館名簿では「那智映画劇場」。1963年の映画館名簿では「那智映劇」。1966年の映画館名簿には掲載されていない。
1953年4月から1964年9月1日まで、那智勝浦町井関には「那智映劇」があった。定員は350人。寿座と姉妹関係にあった。((那智勝浦町史編さん委員会『那智勝浦町史 下巻』那智勝浦町、1980年、p.672))
*** いろは座/下里映画劇場
所在地 : 和歌山県東牟婁郡下里町下里（1955年）、和歌山県東牟婁郡下里町（1956年・1957年・1960年・1963年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町下里（1965年）
開館年 : 1938年5月
閉館年 : 1965年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1938年5月開館。1953年の映画館名簿には掲載されていない。1955年・1956年の映画館名簿では「いろは座」。1957年の映画館名簿では「下里映画劇場」。1957年の映画館名簿では経営者が後藤萌、木造2階建、200席、邦画を上映。1960年の映画館名簿では「大里映画劇場」。1963年・1965年の映画館名簿では「下里映画劇場」。1966年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 妙法会館/三菱妙法会館
所在地 : 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町井関（1959年・1960年・1963年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大字井関1118（1965年）
開館年 : 1958年頃
閉館年 : 1965年頃
1958年の映画館名簿には掲載されていない。1959年の映画館名簿では「妙法会館」。1960年・1963年の映画館名簿では「三菱妙法会館」。1965年の映画館名簿では「妙法会館」。1966年の映画館名簿には掲載されていない。
*** 寿座/勝浦寿座
所在地 : 和歌山県東牟婁郡勝浦町（1934年・1936年・1941年・1943年・1947年・1950年・1953年・1955年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町（1958年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町井関（1960年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町1181（1963年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町勝浦1181（1966年・1969年）
開館年 : 1917年7月、1927年（建て替え）、1947年3月
閉館年 : 1970年6月
『全国映画館総覧 1955』によると1947年3月開館。1930年の映画館名簿には掲載されていない。1934年・1936年・1941年・1943年・1947年・1950年・1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「寿座」。1966年・1969年の映画館名簿では「勝浦寿座」。1973年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「いろは寿司」などが入る「寿ビル」。最寄駅はJR紀勢本線紀伊勝浦駅。
那智勝浦町には劇場として「寿座」があった。鈴木魚吉が創設し、鈴木悌二が経営した。1917年7月にこけら落とし公演を行ったが、1927年に火災で焼失し、その後再建されている。1970年6月まで興行を行った。当初の定員は500人だったが、改装後は727人となった。改装前は一部2階建ての畳敷きであり、桟敷席や花道もある古風な劇場だった。著名俳優の高田浩吉や鶴田浩二も訪れたことがあるという。1927年の建設中の寿座の写真あり。((那智勝浦町史編さん委員会『那智勝浦町史 下巻』那智勝浦町、1980年、p.672))
1917年の那智勝浦にあった劇場「寿座」の写真あり。1917年に500人収容の劇場として開館した。この際の建物は大正末期に焼失したが、1927年に2階建て727人収容の建物が再建された。やがて劇場から映画館に転換し、1955年過ぎまで盛況だった。1970年6月に閉館した。1971年の写真あり。「KOTOBUKI」の文字が見える。2004年現在の写真あり。建物には数軒の飲食店が入っている。映画館時代と建物は異なると思われるが、「KOTOBUKI」の文字が見える。((前千雄（監修）『保存版 新宮・熊野今昔写真帖』郷土出版社、2004年、p.90))
*** 勝浦映劇/勝浦映画劇場
所在地 : 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町1181（1958年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町築地（1960年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町1181（1963年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町築地5-2-6（1966年・1969年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町勝浦281（1973年）、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町281（1980年）
開館年 : 1953年5月
閉館年 : 1983年頃
1955年の映画館名簿には掲載されていない。1958年・1960年・1963年・1966年・1969年の映画館名簿では「勝浦映画劇場」。1973年の映画館名簿では「勝浦映劇」。1979年のゼンリン住宅地図では「勝映」。1980年・1982年・1983年の映画館名簿では「勝浦映画劇場」。1982年の映画館名簿では経営者が鈴木悌二、支配人が東猛、木造1階、300席、邦画・成人映画を上映。1984年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「ホテルシャルモント」正面の「久原理容所」や「タイ風居酒屋BAIBOA」。最寄駅はJR紀勢本線紀伊勝浦駅。
1953年5月から1980年現在まで営業している映画館に「勝浦映画劇場」（勝映）があり、1980年現在の那智勝浦町唯一の映画館である。当初は鈴木悌二が経営し、1976年から東孟が経営している。((那智勝浦町史編さん委員会『那智勝浦町史 下巻』那智勝浦町、1980年、p.672))
** 東牟婁郡串本町
*** 古座老松座/老松座
所在地 : 和歌山県東牟婁郡古座町（1949年）、和歌山県東牟婁郡高池町38（1950年）、和歌山県東牟婁郡古座町（1953年・1955年）、和歌山県東牟婁郡古座川町（1957年）
開館年 : 1949年10月
閉館年 : 1957年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1949年10月開館。1947年の映画館名簿には掲載されていない。1949年の映画館名簿では「老松座」。1950年・1953年・1955年の映画館名簿では「古座老松座」。1957年の映画館名簿では「老松座」。1958年の映画館名簿には掲載されていない。
昭和20年代の「老松座」の写真あり。1994年現在の東牟婁郡古座川町高池にあった。大正初期の木造建築であり、収容人員は300人余りだった。戦後には映画の興行だけでなく、政治家の講演会、地域青年団体の発表会なども開催された。((『目で見る新宮・熊野の100年』郷土出版社、1994年、p.150))
*** 田並劇場
所在地 : 和歌山県東牟婁郡串本町田並1547-1
開館年 : 1950年頃
閉館年 : 1965年頃
公式サイト : [[田並劇場>>http://tanami.jp/]]
各年版の映画館名簿には掲載されていない。映画館の建物は多目的文化施設「田並劇場」として現存。最寄駅はJR紀勢本線田並駅。
2018年7月、東牟婁郡串本町のJR田並駅前にあった映画館「田並劇場」が半世紀ぶりに復活した。7月と8月には1967年の怪獣映画『大怪獣ガッパ』など昭和時代の邦画が上映された。林憲昭（48）は東京芸術大学油絵科出身の現代美術家であり、2008年に田辺市中辺路町で熊野古道をテーマとする活動を展開したことをきっかけとして、串本町田並上に移り住んでいた。田並劇場の中2階には、林が所有する書籍を集めた田並文庫という本棚も設置されている。((「半世紀ぶりに田並劇場を復活 林憲昭さん 邦画と本で集いの場」『毎日新聞』2018年9月4日))
東牟婁郡串本町のJR田並駅の傍らには、芝居や映画の興行を行う文化拠点だった「田並劇場」がある。廃墟となっていた田並劇場の再生プロジェクトが現在進行形で進められており、現代美術家の夫妻がほぼ独力で改修した。ステージや映写機があった中2階、売店のボックスといった遺構を残しながらも、2015年10月10日にギャラリーカフェとしてオープンを予定している。田並1547-1。((『古民家散歩』（ムック本）アガサス、2015年、p.93))
南紀ではハワイなどの海外に移住するものが多かった。財を成した移住者からの仕送りによって、田並はアメリカ村と呼ばれるほどモダンな町となった。地元の資産家らが出資して、1950年頃に「田並劇場」が建てられた。最盛期には月2回の映画上映と年2回の演劇公演が行われ、青年会の行事や学校の文化祭/学芸会の会場にもなった。約10年前に田並に移住した林憲昭・林澄蓮夫妻は、田並劇場再生プロジェクトを立ち上げ、クラウドファウンディングなどで資金を募って改修した。現在は月1回〜2回の頻度で映画を上映している。((「田並劇場再生プロジェクト」『エプタ』肌粧品科学開放研究所、2020年1月号、第94号、pp.41-43))
*** 大正座/築地映画劇場/串本築地映画劇場
所在地 : 和歌山県西牟婁郡串本町（1943年・1947年）、和歌山県西牟婁郡串本町1148（1950年）、和歌山県西牟婁郡串本町（1953年・1955年）、和歌山県西牟婁郡串本町1735（1958年）、和歌山県西牟婁郡串本町（1960年・1963年）、和歌山県西牟婁郡串本町1705（1966年）、和歌山県西牟婁郡串本町1735（1968年）
開館年 : 1914年9月3日
閉館年 : 1968年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1914年9月開館。1941年の映画館名簿には掲載されていない。1943年・1947年・1950年の映画館名簿では「大正座」。1943年の映画館名簿では経営者が矢倉虎一、定員572、電話が串本92。1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「築地映画劇場」。1953年の映画館名簿では経営者が矢倉虎一、支配人が記載なし、木造2階、定員571。1966年・1968年の映画館名簿では「串本築地映画劇場」。1968年の映画館名簿では経営者が矢倉晋二、支配人が後藤功一、木造2階冷暖房付、定員400、邦画・成人映画を上映。電話が串本201。1969年の映画館名簿には掲載されていない。映画館の建物は跡地はグラウンド南西120mに現存。最寄駅はJR紀勢本線串本駅。
1914年9月3日夜、串本町に那智水電によって初めて電燈が点火された。劇場「大正座」が新築落成したのもこの日であり、舞台開きが行われた。発起人は矢倉鶴松（後の仙緑）、大岡鶴一、川島喜之助、上野宇之助らであり、串本町も建設費の一部を寄付している。その後、矢倉仙緑による個人経営となった。1924年の「串本町全図」には、串本小学校グラウンド南西120mに「大正座」が描かれている。((『串本町誌』串本町、1924年、p.299、p.648))
*** 古座映劇/古座映画劇場
所在地 : 和歌山県東牟婁郡古座町（1958年・1960年・1963年）、和歌山県東牟婁郡古座町中湊462-1（1966年・1969年・1970年）
開館年 : 1957年頃
閉館年 : 1970年頃
1957年の映画館名簿には掲載されていない。1958年の映画館名簿では「古座映画劇場」。1960年・1963年の映画館名簿では「古座映劇」。1966年・1969年・1970年の映画館名簿では「古座映画劇場」。1970年の映画館名簿では経営者・支配人ともに竹内輝隆、木造1階、定員270、東宝・大映・東映・日活・洋画を上映。1971年の映画館名簿には掲載されていない。
昭和20年代後半の開館時の「古座映劇」の写真あり。古座町中湊にあった。老松座が老朽化したために古座映劇が開館した。((『目で見る新宮・熊野の100年』郷土出版社、1994年、p.150))
*** 熊野タイムス会館/柏木タイムス/熊野タイムス/串本タイムス/串本タイムズ
所在地 : 和歌山県西牟婁郡串本町（1953年・1955年・1958年・1960年・1963年・1966年・1969年・1973年・1974年・1975年・1976年）
開館年 : 1947年8月
閉館年 : 1976年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1947年8月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年の映画館名簿では「熊野タイムス」。1958年の映画館名簿では「熊野タイムス館」。1960年・1962年の映画館名簿では「熊野タイムス会館」。1962年の映画館名簿では経営者が神田粛、支配人が記載なし、木造2階、370席、邦画・洋画を上映。1963年の映画館名簿では「柏木タイムス」。1966年の映画館名簿では「熊野タイムス」。1969年・1973年の映画館名簿では「串本タイムス」。1974年・1975年・1976年の映画館名簿では「串本タイムズ」（※スではなくズ）。1976年の映画館名簿では経営者・支配人ともに柏木優、木造2階、370席、邦画・日活・成人映画を上映。1977年の映画館名簿には掲載されていない。
** 東牟婁郡古座川町
映画館名簿によると東牟婁郡古座川町に映画館は存在しなかったと思われる。
** 東牟婁郡北山村
映画館名簿によると東牟婁郡北山村に映画館は存在しなかったと思われる。