日本の映画館の総合データベースです。



大須

1897年2月28日、若宮八幡宮境内の末広座でエジソン発明のキネトスコープが試験上映された。大阪に次いで日本で2番目の試験上映であり、大阪での上映からわずか18日後のことだった。キネトスコープは翌日の3月1日から15日間にわたって一般公開された。大阪に次いで日本で2番目の一般公開だった。1908年1月には大須に文明館が開館した。1903年10月に開館した東京・浅草の電気館、1907年7月に開館した大阪・千日前の文明館に次いで、日本で3番目の活動写真常設館である。浅草・千日前・大須の3地区は、戦前の日本における三大商業地と呼ばれた地区である。文明館の開館から3か月後の1908年4月、大須2番目の活動写真常設館として電気館が開館した。1909年3月には大須金城座が、1910年6月には桔梗座が、芝居小屋から映画館に転換した。1910年8月には日出館が、1912年7月には太陽館が開館した。戦前の昭和初期には大須の映画館数がピークとなり、23館も存在した。なお、名古屋で大須に次ぐ繁華街だった広小路通には、昭和初期の段階で映画館が2館しかなかった。太平洋戦争の空襲で大須の映画館はすべて焼失したが、戦後すぐに再建されて14館が営業を再開した。大須観音周辺では港座・太陽館・キネマ会館・大須新松竹・大須東映(旧文明館)。万松寺周辺では赤門劇場・日活シネマ・大須大映・東洋劇場が開館しており、その他には平和劇場・宝塚劇場があった。戦後のピークは昭和30年代前半であり、14館の映画館があった。1959年の美智子様御成婚を機にテレビが一般家庭に入りはじめ、1964年の東京オリンピック前後には一気に普及。映画は斜陽産業となり、相次いで閉館していった。名古屋の映画館街は名古屋駅前と栄に移っていった。*1

戦争末期の1945年、名古屋市街地は幾度も空襲を受けた。1945年1月3日の空襲では「中京劇場」、「御園座」、「二葉館」、「銀映」が焼失または破壊された。1月30日の空襲では「八幡劇場」が焼失または破壊された。3月12日の空襲では「松竹座」、「朝日館」、「帝国劇場」、「千歳劇場」、「常盤館」、「広小路ニュース」、「名港劇場」、「蓬映画」が焼失または破壊された。3月19日の空襲では「帝国館」、「世界館」、「文明館」、「敷島劇場」、「日本館」、「常楽館」、「東陽映画」、「赤門花月」、「港館」、「富士館」、「千種館」、「清水劇場」、「大黒座」、「大曽根劇場」、「豊田館」が焼失または破壊された。5月14日の空襲では「今池館」、「日の出館」が焼失または破壊された。5月17日の空襲では「大勝館」、「内田橋劇場」、「曙館」が焼失または破壊された。*2

渡辺綱雄(著)『私版 名古屋の映画』作家社、1961年は大須の映画館を主題としている。渡辺は愛知県熱田中学校(現・愛知県立瑞陵高校)で文芸評論家の本多秋五と同学年だったが、病気で1年休学していたため本多より1歳年上だった。熱田中学校時代には本多とともに同人雑誌『朱雀』を発行している。渡辺は早稲田大学を卒業し、名古屋新聞社に入社してこの方面の専門記者となった。名古屋ペンクラブの機関紙『ペン』に連載したものなどをまとめたのが本作である。第1章にあたる「名古屋の映画」、第2章にあたる「わが大須」で構成されている。*3

『大須物語』(大野一英、1979年)には、黎明期の大須の映画館について記されている。*4

上前津駅(地下鉄名城線)の開業は1967年であり、大須観音駅(地下鉄鶴舞線)の開業は1977年である。1977年の大須にあった映画館は、大須観音に近い太陽館・名画座・東洋劇場の3館のみであり、最大5館あった万松寺通りからは映画館が消えていた。*5
真本座
所在地 : 愛知県名古屋市中区
開館年 : 1880年
閉館年 : 1885年
映画館ではなく芝居小屋。各年版の映画館名簿には掲載されていない。

1881年頃の大須観音の全景写真は、七寺の西にあった真本座(しんもとざ)屋上から撮ったものである。真本座は1880年に建てられ、市川左団次一座がこけら落としの公演を行った。1885年、南桑名町に移転して千歳座に改称した。*6
歌舞伎座
所在地 : 愛知県名古屋市中区
開館年 : 1903年10月
閉館年 : 1945年
映画館ではなく芝居小屋。各年版の映画館名簿には掲載されていない。1955年・1960年の住宅地図では跡地に空白。1967年・1969年・1971年の住宅地図では跡地に「大須ボーリングセンター」。跡地はマンション「サンシャイン大須中駒ビル」。最寄駅は名古屋市営地下鉄鶴舞線大須観音駅。

1891年、大須の七寺の西にある真本座跡地に、鳥獣類や鉱物の標本を置いた教育博物館が開設された。1901年にはこの教育博物館が大曽根の徳川園に移築された。1903年10月、教育博物館の跡地に「歌舞伎座」が建てられ、大阪の市川右団次一座がこけら落としの公演を行った。1905年には数軒の芸者置屋が廓連から分離して睦連を設立し、旦那衆が芸者を連れて芝居を見に来ることも多かった。1927年頃には高瀬興行社(高瀬兼次郎)が経営者となった。昭和に入ると新守座や末広座が映画館に転向し、御園座は指定席となったこともあって、桟敷席で芝居見物ができる従来の芝居小屋は大須の歌舞伎座と宝生座のみとなった。1945年3月19日の空襲では歌舞伎座、七寺、大須観音なども焼失した。戦後の都市区画整理事業の中では、従来通りの広さの建物を再建できるように根回しがなされた。*7

1926年の『名古屋市居住者全図 大正15年度新版』には、大須観音周辺に「文明館」「第一電気館」「世界館」「港座」「太陽館」「宝生座」「歌舞伎座」「大和座」「七宝館」、新天地通周辺に「帝国座」「帝国館」、本町通周辺に「末広座」が描かれている。*8

1929年1月調の『名古屋市居住者全図 昭和4年調昭和8年調』には、大須観音周辺に「文明館」「電気館」「世界館」「港座」「太陽館」「宝生座」「歌舞伎座」「宝座」「大和座」「七宝館」、新天地通周辺に「常盤館」「帝国座」「帝国館」、本町通周辺に「松竹座」が描かれている。*9

1932年時点で、「新守座」は名古屋を代表する大劇場である。「御園座」は名古屋市第一の劇場である。「歌舞伎座」は名古屋三大劇場のひとつである。歌舞伎の興行を主とし、現代劇やレビューの興行も行われる。収容人員は約1000人。その他の劇場としては、大須の「宝生座」、万松寺の「帝国座」と「中座」がある。*10

時期不明の大須にあった「歌舞伎座」の写真あり。1972年現在の跡地は大須ボウリング場になっている。*11
宝生座
所在地 : 愛知県名古屋市中区
開館年 : 1883年、1892年頃(建て替え)、1937年(建て替え)
閉館年 :
映画館ではなく芝居小屋。各年版の映画館名簿には掲載されていない。1955年・1960年・1967年・1969年・1971年の住宅地図では「宝生座」。跡地は「ホテルアベスト大須観音駅前」。最寄駅は名古屋市営地下鉄鶴舞線大須観音駅。

1873年には本重町に「新守座」が建てられた。1880年には大須に「真本座」が建てられた。1883年には大須に「宝生座」が、また末広町に「末広座」が建てられた。1885年には南桑名町に「千歳座」が建てられた。1892年には南伏見町に「音羽座」が舞台開きを行った。*12

1892年3月22日昼間、大須の「宝生座」から出火した。大須観音の本堂、五重塔、仁王門、庫裏、境内の劇場、隣接する町屋など、134棟が焼失する大火となった。楽屋で大部屋連中がばくち中に喧嘩し、ランプから障子に火が付いたことが原因である。なお、1890年10月4日には大須観音境内の芝居小屋「真福座」から出火する火災があった。1898年3月12日、やはり大須観音境内の劇場「五明座」から出火する火災があり、金沢町15戸などが焼失した。1905年2月23日には再び五明座から出火し、五明座、宝生座など13棟が焼失する火災があった。1890年、1898年、1905年の火災では大須観音は類焼を免れている。*13

1929年のトーキー出現以後の大須の興行界。大須観音境内には大須最古の芝居小屋「宝生座」。無声映画時代からの映画館「文明館」。3本立の二流館「電気館」。色物寄席の「宝座」や「楽天地」。岩井通りの「歌舞伎座」。東京の芸人が高座に出た仁王門通の「文長座」。関西の芸人が高座に出た「七宝館」。松竹封切館の「世界館」。レビューや軽演劇の「大和座」。主に洋画の「太陽館」。日活封切館の「港座」。さらに「東宝大須」。*14

1926年の『名古屋市居住者全図 大正15年度新版』には、大須観音周辺に「文明館」「第一電気館」「世界館」「港座」「太陽館」「宝生座」「歌舞伎座」「大和座」「七宝館」、新天地通周辺に「帝国座」「帝国館」、本町通周辺に「末広座」が描かれている。*15

1929年1月調の『名古屋市居住者全図 昭和4年調昭和8年調』には、大須観音周辺に「文明館」「電気館」「世界館」「港座」「太陽館」「宝生座」「歌舞伎座」「宝座」「大和座」「七宝館」、新天地通周辺に「常盤館」「帝国座」「帝国館」、本町通周辺に「松竹座」が描かれている。*16

時期不明の大須にあった「宝生座」の写真あり。1972年現在の跡地は大須サウナになっている。*17

1967年の名古屋市大須にあった「宝生座」の館内の写真、楽屋の写真あり。名古屋市最後の芝居小屋である。*18
日本劇場
所在地 : 愛知県名古屋市中区裏門前町(1941年)
開館年 : 1936年以後1941年以前
閉館年 : 1941年以後1943年以前
1936年の映画館名簿には掲載されていない。1941年の映画館名簿では「日本劇場」。1943年の映画館名簿には掲載されていない。
文化会館
所在地 : 愛知県名古屋市中区裏門前町2(1943年)
開館年 : 1941年以後1943年以前
閉館年 : 1943年以後1947年以前
1941年の映画館名簿には掲載されていない。1943年の映画館名簿では「文化会館」。1943年の映画館名簿では経営者が澤千代治、定員458。1947年の映画館名簿には掲載されていない。
赤門東宝映画劇場/赤門花月劇場
所在地 : 愛知県名古屋市中区赤門通り(1941年)、愛知県名古屋市中区裏門前町1(1943年)
開館年 : 1938年4月15日
閉館年 : 1945年
1936年の映画館名簿には掲載されていない。1941年・1943年の映画館名簿では「赤門花月劇場」。1943年の映画館名簿では経営者が植田熊治、定員489。1947年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「第2アメ横ビル」(ネオハイツ大須)建物東側付近。最寄駅は名古屋市営地下鉄名城線・鶴舞線上前津駅。

1929年のトーキー出現以後の大須の興行界。商品陳列館跡地に開通した赤門通には3階建洋館の「SY大須映画劇場」。並んで建つ「赤門花月劇場」と「大勝館」。新天地通の西側には「帝国館」。新天地通の東側には並んで「トキワ館」、「名古屋劇場」、「帝国劇場」。*19

大須の本町通沿いにあった空き地から赤門通を隔てた南角に、洋館3階建の「SY大須映画劇場」が開館した。その後、1938年春には赤門通沿いの空き地に赤門娯楽デパートが開設された。いずれも「名古屋劇場」の経営者である高瀬兼次郎が吉本興業社長の松尾国三と組んで共同経営で開館させたものである。同年4月15日には赤門娯楽デパートの東隣に「赤門東宝映画劇場」が開館し、12月には「赤門花月劇場」に改称した。同年11月には同じ通りに「大勝館」も開館している。周辺には純喫茶、食堂、酒場などの飲食店も集まり、戦争が激化するまでの時代は繁華街の様相を呈した。*20

1938年12月15日、名古屋市の「赤門東宝」は吉本興業の経営となって「赤門花月劇場」に改称した。赤門花月は1945年3月19日の空襲で焼失した。*21

1940年に『裏門前町誌』が刊行された頃の赤門通りには映画館や飲食店が並んで賑わいがあった。本町通りに近い北側には赤門娯楽デパートや「赤門東宝映画劇場」があり、南側には「S・Y大須映画劇場」や「大勝館」があった。戦後、赤門東宝映画劇場の跡地には赤門ビンゴゲームができ、その東側は高瀬興業の事務所となった。*22
大勝館
所在地 : 愛知県名古屋市中区裏門前町1-1(1941年)、愛知県名古屋市中区裏門前町1(1943年)
開館年 : 1938年11月6日
閉館年 : 1945年
1936年の映画館名簿には掲載されていない。1941年・1943年の映画館名簿では「大勝館」。1943年の映画館名簿では経営者が古川一巳、定員394。1947年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「第二アメ横ビル」(ネオハイツ大須)東南東30mの数軒の建物付近。最寄駅は名古屋市営地下鉄名城線・鶴舞線上前津駅。

1929年のトーキー出現以後の大須の興行界。商品陳列館跡地に開通した赤門通には3階建洋館の「SY大須映画劇場」。並んで建つ「赤門花月劇場」と「大勝館」。新天地通の西側には「帝国館」。新天地通の東側には並んで「トキワ館」、「名古屋劇場」、「帝国劇場」。*23

大須の本町通沿いにあった空き地から赤門通を隔てた南角に、洋館3階建の「SY大須映画劇場」が開館した。その後、1938年春には赤門通沿いの空き地に赤門娯楽デパートが開設された。いずれも「名古屋劇場」の経営者である高瀬兼次郎が吉本興業社長の松尾国三と組んで共同経営で開館させたものである。同年4月15日には赤門娯楽デパートの東隣に「赤門東宝映画劇場」が開館し、12月には「赤門花月劇場」に改称した。同年11月には同じ通りに「大勝館」も開館している。周辺には純喫茶、食堂、酒場などの飲食店も集まり、戦争が激化するまでの時代は繁華街の様相を呈した。*24

1938年11月6日、名古屋市の赤門通りに古川商店直営館「大勝館」が新築開館した。戦争末期の1945年、名古屋市街地は幾度も空襲を受けた。5月17日の空襲では「大勝館」、「内田橋劇場」、「曙館」が焼失または破壊された。*25
帝国館/帝国劇場(戦前)
所在地 : 愛知県名古屋市中区裏門前町1丁目(1941年)、愛知県名古屋市中区裏門前町1(1943年)
開館年 : 1936年12月31日
閉館年 : 1945年
1936年の映画館名簿には掲載されていない。1941年・1943年の映画館名簿では「帝国劇場」。1943年の映画館名簿では経営者が小林茂、定員628。1947年の映画館名簿には掲載されていない。戦後には跡地に万松寺日活が建った。跡地は「万松寺ビル」建物北西部。最寄駅は名古屋市営地下鉄名城線・鶴舞線上前津駅。

『尾張名所図会』には七堂伽藍を有する「万松寺」が描かれている。藩政期の万松寺は20石以上の武家でないと檀家になれないほどの格式があったが、廃藩置県で武士がいなくなった明治時代には寺運が悪化した。1913年から1919年には万松寺の本堂ほかの建物が曳家された。本堂跡地は30年契約で第三者に貸し、積み重なった借金を返済することができた。1915年頃には浪越公園にあった「帝国座」(後の帝国劇場)が本堂跡地に移転し、古川為三郎が小屋主となって営業を開始した。同時期には向かいに寄席の「遊楽館」が開館し、1916年4月には活動常設館となった。*26

1918年8月に米騒動が起こると、11月15日には万松寺本堂跡地近くに中公設市場が設けられ、1924年には三輪神社の南に本建築の中公設市場が建てられた。高瀬兼次郎は旧中公設市場の跡地を借り、2館の活動写真館が開館した。1927年5月31日に開館したのが北側の「常盤劇場」であり、後に「常盤館花月ニュース劇場」となった。南側は高瀬興行社の「名古屋劇場」であり、1934年6月1日に改装して新装開館した。古川為三郎は帝国座が失火で焼失した後、映画常設館「帝国劇場」を再建して新発足させている。*27

1912年7月1日、名古屋市中区門前町の浪越公園跡地に「帝国座」が開場し、中村鴈治郎一座の歌舞伎で幕を開けた。1936年12月31日には帝国座が「帝国劇場」に改称し、新興キネマ上映館として開館した。戦争末期の1945年、名古屋市街地は幾度も空襲を受けた。3月12日の空襲では「松竹座」、「朝日館」、「帝国劇場」、「千歳劇場」、「常盤館」、「広小路ニュース」、「名港劇場」、「蓬映画」が焼失または破壊された。1946年12月下旬、帝国劇場の跡地に「万松寺日活」が開館した。*28

1929年のトーキー出現以後の大須の興行界。商品陳列館跡地に開通した赤門通には3階建洋館の「SY大須映画劇場」。並んで建つ「赤門花月劇場」と「大勝館」。新天地通の西側には「帝国館」。新天地通の東側には並んで「トキワ館」、「名古屋劇場」、「帝国劇場」。*29

1926年の『名古屋市居住者全図 大正15年度新版』には、大須観音周辺に「文明館」「第一電気館」「世界館」「港座」「太陽館」「宝生座」「歌舞伎座」「大和座」「七宝館」、新天地通周辺に「帝国座」「帝国館」、本町通周辺に「末広座」が描かれている。*30

1929年1月調の『名古屋市居住者全図 昭和4年調昭和8年調』には、大須観音周辺に「文明館」「電気館」「世界館」「港座」「太陽館」「宝生座」「歌舞伎座」「宝座」「大和座」「七宝館」、新天地通周辺に「常盤館」「帝国座」「帝国館」、本町通周辺に「松竹座」が描かれている。*31
電気館(大須)
所在地 : 愛知県名古屋市中区大須公園(1930年・1934年)、愛知県名古屋市中区大須境内(1936年)、愛知県名古屋市中区門前町4-35(1941年)、愛知県名古屋市中区門前町4(1943年)
開館年 : 1908年4月1日
閉館年 : 1945年
1930年・1934年・1936年・1941年・1943年の映画館名簿では「電気館」。1936年の映画館名簿では興行主が二宮清之助、支配人が内藤貞一、新興キネマ・洋画を上映。1943年の映画館名簿では経営者が二宮清次郎、定員270。1947年の映画館名簿には掲載されていない。1960年の住宅地図では跡地に「丁稚羊かん」。1967年の住宅地図では跡地に「丁稚羊羹本舗」。1971年の住宅地図では跡地に「丁稚羊かん本店」。1979年の住宅地図では跡地に空白。跡地はマンション「ダイアパレス大須第2」。最寄駅は名古屋市営地下鉄鶴舞線大須観音駅。

1908年4月1日、名古屋市2番目の活動常設館として警察署跡地に「電気館」が開館した。明治末期の名古屋市における活動常設館としては、大須に電気館、「文明館」、「世界館」の3館があり、広小路の「中央電気館」を加えた計4館がある。*32

1929年のトーキー出現以後の大須の興行界。大須観音境内には大須最古の芝居小屋「宝生座」。無声映画時代からの映画館「文明館」。3本立の二流館「電気館」。色物寄席の「宝座」や「楽天地」。岩井通りの「歌舞伎座」。東京の芸人が高座に出た仁王門通の「文長座」。関西の芸人が高座に出た「七宝館」。松竹封切館の「世界館」。レビューや軽演劇の「大和座」。主に洋画の「太陽館」。日活封切館の「港座」。さらに「東宝大須」。*33

1926年の『名古屋市居住者全図 大正15年度新版』には、大須観音周辺に「文明館」「第一電気館」「世界館」「港座」「太陽館」「宝生座」「歌舞伎座」「大和座」「七宝館」、新天地通周辺に「帝国座」「帝国館」、本町通周辺に「末広座」が描かれている。*34

1929年1月調の『名古屋市居住者全図 昭和4年調昭和8年調』には、大須観音周辺に「文明館」「電気館」「世界館」「港座」「太陽館」「宝生座」「歌舞伎座」「宝座」「大和座」「七宝館」、新天地通周辺に「常盤館」「帝国座」「帝国館」、本町通周辺に「松竹座」が描かれている。*35

1932年時点で、大須の「太陽館」は西洋映画専門館である。「電気館」は大衆に喜ばれる作品を上映している。「文明館」は拳闘や大女による興行も行われる。*36
東宝大須劇場
所在地 : 愛知県名古屋市中区門前町4-36(1941年)、愛知県名古屋市中区門前町4(1943年)
開館年 : 1937年12月27日
閉館年 : 1945年
1936年の映画館名簿には掲載されていない。1941年・1943年の映画館名簿では「東宝大須劇場」。1943年の映画館名簿では経営者が小林祐蔵、定員499。1947年の映画館名簿には掲載されていない。戦後の跡地には名画座が建った。跡地は衣料品店「クリーミー 大須観音店」があるマンション「宝マンション大須」。最寄駅は名古屋市営地下鉄鶴舞線大須観音駅。

1937年12月27日、大須観音裏の「東宝大須劇場」で開館式が行われ、小林キネマ商会の直営館として12月31日に開館した。*37
桔梗座/世界館(大須)
所在地 : 愛知県名古屋市(1925年)、愛知県名古屋市中区門前町4丁目(1930年)、愛知県名古屋市中区大須門前町(1934年)、愛知県名古屋市中区門前町4-30(1936年・1941年)、愛知県名古屋市中区門前町4(1943年)
開館年 : 1910年7月1日、1913年10月30日(建て替え)
閉館年 : 1945年
1925年・1930年・1934年・1936年・1941年・1943年の映画館名簿では「世界館」。1936年の映画館名簿では興行主が小林茂、支配人が加藤信広、マキノ映画・松竹を上映。1943年の映画館名簿では経営者が坪井和一、定員696。1960年の住宅地図では跡地に「大須ういろ」。1967年の住宅地図では跡地に「大須ういろ本店」。1971年・1979年の住宅地図では跡地に「大須ういろ ないろ」。跡地は「大須ういろ南北ビル」建物南側。最寄駅は名古屋市営地下鉄鶴舞線大須観音駅。

1913年10月30日、「文明館」に次いで大須で2番目の映画館として「世界館」が開館した。当時としては珍しい洋館風の外観だった。昭和に入ると松竹系上映館となった。*38

1907年10月15日、名古屋市の「桔梗座」で活動写真が上映された。1910年7月1日には桔梗座が「世界館」に改称し、横田活動写真の常設館となった。明治末期の名古屋市における活動常設館としては、大須に電気館、「文明館」、「世界館」の3館があり、広小路の「中央電気館」を加えた計4館がある。1913年10月30日、大須門前通りの大須バザー跡に世界館が新築落成した。*39

1929年のトーキー出現以後の大須の興行界。大須観音境内には大須最古の芝居小屋「宝生座」。無声映画時代からの映画館「文明館」。3本立の二流館「電気館」。色物寄席の「宝座」や「楽天地」。岩井通りの「歌舞伎座」。東京の芸人が高座に出た仁王門通の「文長座」。関西の芸人が高座に出た「七宝館」。松竹封切館の「世界館」。レビューや軽演劇の「大和座」。主に洋画の「太陽館」。日活封切館の「港座」。さらに「東宝大須」。*40

無声映画時代末期、大須の「帝国館」、「電気館」、「文明館」などでは楽士の伴奏音楽に合わせて活動写真が上映された。トーキー出現後、新天地通の「名古屋劇場」では吉本興業の実演も多く、「港座」では喜劇の実演もあった。1938年2月には「SY大須映画劇場」で『モダンタイムス』が上映された。1938年から1939年には松竹作品『愛染かつら』が大ヒットし、「世界館」に並ぶ若い娘で仁王門通が埋まってしまった。*41

1926年の『名古屋市居住者全図 大正15年度新版』には、大須観音周辺に「文明館」「第一電気館」「世界館」「港座」「太陽館」「宝生座」「歌舞伎座」「大和座」「七宝館」、新天地通周辺に「帝国座」「帝国館」、本町通周辺に「末広座」が描かれている。*42

1929年1月調の『名古屋市居住者全図 昭和4年調昭和8年調』には、大須観音周辺に「文明館」「電気館」「世界館」「港座」「太陽館」「宝生座」「歌舞伎座」「宝座」「大和座」「七宝館」、新天地通周辺に「常盤館」「帝国座」「帝国館」、本町通周辺に「松竹座」が描かれている。*43

1932年時点で、大須の「世界館」は大須映画界の第一線に立つ高級館である。門前通りに面している。*44
遊楽館/ニコニコ館/帝国館
所在地 : 愛知県名古屋市中区万松寺境内(1930年・1934年・1936年)、愛知県名古屋市中区万松寺新天地(1941年)、愛知県名古屋市中区裏門前町1(1943年)
開館年 : 1916年4月3日
閉館年 : 1945年
1925年の映画館名簿には掲載されていない。1930年・1934年・1936年・1941年・1943年の映画館名簿では「帝国館」。1936年の映画館名簿では興行主が小林キネマ、支配人が青木喜一、大都映画・極東映画を上映。1943年の映画館名簿では経営者が小林祐蔵、定員499。1947年の映画館名簿には掲載されていない。1960年の住宅地図では跡地に「ビーワンボール」。1967年・1971年・1979年の住宅地図では跡地に「パチンコビーワンホール」。跡地はゲームセンター「タイトーステーション大須店」などが入る商業ビル「C forest V」。最寄駅は名古屋市営地下鉄名城線・鶴舞線上前津駅。

1916年4月3日、大須の万松寺で初の映画館として「遊楽館」が開館した。オープニング作品は『ジュリアス・シーザー』。同年12月31日には「ニコニコ館」に改称した。1926年1月には「帝国館」に改称した。太平洋戦争の空襲で焼失した。*45

『尾張名所図会』には七堂伽藍を有する「万松寺」が描かれている。藩政期の万松寺は20石以上の武家でないと檀家になれないほどの格式があったが、廃藩置県で武士がいなくなった明治時代には寺運が悪化した。1913年から1919年には万松寺の本堂ほかの建物が曳家された。本堂跡地は30年契約で第三者に貸し、積み重なった借金を返済することができた。1915年頃には浪越公園にあった「帝国座」(後の帝国劇場)が本堂跡地に移転し、古川為三郎が小屋主となって営業を開始した。同時期には向かいに寄席の「遊楽館」が開館し、1916年4月には活動常設館となった。*46

1918年8月に米騒動が起こると、11月15日には万松寺本堂跡地近くに中公設市場が設けられ、1924年には三輪神社の南に本建築の中公設市場が建てられた。高瀬兼次郎は旧中公設市場の跡地を借り、2館の活動写真館が開館した。1927年5月31日に開館したのが北側の「常盤劇場」であり、後に「常盤館花月ニュース劇場」となった。南側は高瀬興行社の「名古屋劇場」であり、1934年6月1日に改装して新装開館した。遊楽館は1918年頃に「ニコニコ館」に改称し、大正末期には「帝国館」に改称すると、1927年には古川為三郎の経営となった。古川為三郎は帝国座が失火で焼失した後、映画常設館「帝国劇場」を再建して新発足させている。*47

1929年のトーキー出現以後の大須の興行界。商品陳列館跡地に開通した赤門通には3階建洋館の「SY大須映画劇場」。並んで建つ「赤門花月劇場」と「大勝館」。新天地通の西側には「帝国館」。新天地通の東側には並んで「トキワ館」、「名古屋劇場」、「帝国劇場」。*48
キネマ会館
所在地 : 愛知県名古屋市中区門前町(1950年)、愛知県名古屋市中区門前町2-12(1953年・1955年・1958年)
開館年 : 1946年12月
閉館年 : 1958年7月7日頃
『全国映画館総覧 1955』によると1946年12月開館。1947年の映画館名簿には掲載されていない。1950年・1953年・1955年・1958年の映画館名簿では「キネマ会館」。1958年の住宅地図では「キネマ会館」。1958年の映画館名簿では経営者が小林祐蔵、支配人が木部伊四郎、木造2階冷暖房付、定員600。1959年の映画館名簿には掲載されていない。1960年の住宅地図では跡地に「喫茶軽食宝塚」。1963年の住宅地図では跡地に「喫茶軽食宝塚 車社交場 ショーボート」。1967年の住宅地図では跡地に「喫茶軽食宝塚」。1971年の住宅地図では跡地に「レストラン宝塚 ショーボート」。1979年の住宅地図では跡地に駐車場。跡地は「大光院」西側の有料駐車場「名鉄協商パーキング大須大光院」。最寄駅は名古屋市営地下鉄鶴舞線大須観音駅。

戦後すぐの時期には、大須・赤門通の西の突き当たり、明王殿の横に「キネマ会館」があり、ウエスタン式発生装置で良心的な興行を行っていた。戦後の大須でもっとも早く開館したのがキネマ会館である。W.S式発生器装置を有し、大須の復興に貢献した。*49

1956年3月に撮影した赤門キネマ会館の写真あり。ジェームズ・スチュワート主演『カービン銃第1号』やイギリス映画『魔人スヴェンガリ』や西部劇『デンヴァーの狼』や『犯人は誰だ』の看板が見える。赤門通の明王殿の西側にあった。1946年12月に洋画専門館として開館し、オープニング作品はグレタ・ガルボ主演の『彩られし女性』。アクション作品やメロドラマを上映。1954年8月にはシネスコを完備した。2010年現在の跡地は明王殿の駐車場。*50

1958年7月7日の『名古屋タイムズ』の映画上映案内。「キネマ」の欄に「改築休館」とある。7月8日の『名古屋タイムズ』の映画上映案内にキネマ会館は掲載されていない。*51
赤門劇場/赤門コニー劇場
所在地 : 愛知県名古屋市中区矢場町3-71(1953年・1955年・1958年・1960年)
開館年 : 1952年8月8日
閉館年 : 1959年11月30日
『全国映画館総覧 1955』によると1952年7月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年・1958年・1960年の映画館名簿では「赤門劇場」。1958年・1960年の住宅地図では「赤門劇場」。1958年の映画館名簿では経営者が茶村敬二、支配人が田中暁、鉄筋造1階暖房付、定員300。1961年の映画館名簿には掲載されていない。1963年の住宅地図では跡地に「クインスター」。1967年の住宅地図では跡地に「サロン クインスター」。1971年・1977年の住宅地図では跡地に「キャバレー新世界」。1979年・1985年の住宅地図では跡地に「万松寺第2駐車場」。跡地は「三輪神社」の西50mの有料駐車場「鈴木不動産コインパーク大須」。最寄駅は名古屋市営地下鉄名城線・鶴舞線上前津駅。

1952年8月8日の『名古屋タイムズ』の広告。「赤門劇場 赤門通り 中公設北 実演映画 明8日堂々開場」「キング・ソロモン 真夏の唄と踊り」とある。*52

1952年8月、名古屋市中区矢場町3に「赤門劇場」が開館した。1955年、赤門劇場が赤門コニーに改称した。*53

1953年5月、名古屋市中区の大須万松寺にある東宝系封切館「赤門劇場」が外画二番館に転向する。*54

大須の赤門コニーは低料金の洋画三番館だったが、のちに新東宝の封切館に転向した。大須の万松寺通り、三輪神社前にある。*55

1956年に撮影した「赤門コニー劇場」の写真あり。『暴力の王者』『大学の剣豪 京洛の暴れん坊』の看板が見える。赤門通にある中公設市場の北西にあった。1952年8月に洋画二番館の「赤門劇場」として開館。開館記念上映作品は実演の「真夏の唄と踊り」と洋画の『キング・ソロモン』。1953年には東宝の封切館に転換。1954年末には洋画上映館となり、赤門コニーに改称した。1955年夏には新東宝封切館となったが、その後閉館した。*56

1959年9月下旬の伊勢湾台風では、東海3県の映画館も多くの被害が出た。愛知県では85%もの映画館が被害を受け、幡豆郡、碧南市、名古屋市港区や南区では、水没、流出、全壊という映画館が続出した。名古屋市内では、中区の「オデオン金山」が倒壊した。中区の「赤門劇場」、瑞穂区の「ミズホ東映」「堀田帝劇」「堀田東映」「堀田自由」、南区の「南東映」「長良劇場」「内田橋劇場」「南映劇」「大江東映」「名南劇場」「南洋劇場」「泉水劇場」、中川区の「八幡劇場」、港区の「築地劇場」「港会館」、熱田区の「日比野劇場」「一色劇場」、昭和区の「曙文化劇場」、中村区の「太閤劇場」が浸水または半壊した。*57

1959年11月30日の『名古屋タイムズ』の映画上映案内。「赤門劇場」の欄には「明日より改装の為休館」とある。*58
文明館/大須東映劇場/大須東映
所在地 : 愛知県名古屋市(1925年)、愛知県名古屋市中区門前町4丁目(1930年)、愛知県名古屋市中区大須公園(1934年)、愛知県名古屋市中区門前町5-38(1936年)、愛知県名古屋市中区門前町5-38(1941年)、愛知県名古屋市中区門前町5(1943年)、愛知県名古屋市中区門前町4-52(1955年・1958年・1960年・1962年)
開館年 : 1908年1月25日、1952年11月
閉館年 : 1961年12月11日
『全国映画館総覧 1955』によると1952年11月開館。1908年に日本で3番目の常設映画館として開館。1925年・1930年・1934年・1936年・1941年・1943年の映画館名簿では「文明館」。1936年の映画館名簿では興行主が竹本武夫、支配人が滝元水保、日活・洋画を上映。1943年の映画館名簿では経営者が竹本武夫、定員580。1947年・1950年・1953年の映画館名簿には掲載されていない。1954年・1955年の映画館名簿では「文明館」。1958年・1960年の住宅地図では「大須東映」。1958年・1960年・1961年の映画館名簿では「大須東映劇場」。1960年の映画館名簿では経営者が竹本勝子、支配人が久保田礼二、木造1階冷暖房付、定員325、東映を上映。1962年の映画館名簿では「大須東映」。1963年の映画館名簿には掲載されていない。1963年の住宅地図には掲載されていない。1967年・1971年の住宅地図では跡地に「スーパー大須」。1979年の住宅地図では跡地に「スーパー大須ストア」。跡地は居酒屋「串カツ田中大須観音店」などが入る商業ビル「大須仁王門フロント」。最寄駅は名古屋市営地下鉄鶴舞線大須観音駅。

1897年3月1日、名古屋市中区末広町の若宮八幡社の南隣にあった「末広座」において、名古屋において初めて活動写真が上映された。アメリカのエジソンが発明したヴァイタスコープであり、写真幻燈蓄電機とも呼ばれた。以後は実演の興行の合間に活動写真の興行が行われた。日本における初の活動常設館は、1903年10月に開館した東京・浅草の「電気館」である。日本で2番目の活動常設館は、1907年7月に開館した大阪・千日前の「文明館」である。日本で3番目の活動常設館は、1908年1月に開館した名古屋・大須の「文明館」である。日本で4番目の活動常設館は、1908年7月に開館した京都・新京極の「南電気館」である。明治末期の名古屋市における活動常設館としては、大須に文明館、「電気館」、「世界館」の3館があり、広小路の「中央電気館」を加えた計4館がある。*59

1908年1月には大須に文明館が開館した。1903年10月に開館した東京・浅草の電気館、1907年7月に開館した大阪・千日前の文明館に次いで、日本で3番目の活動写真常設館である。浅草・千日前・大須の3地区は、戦前の日本における三大商業地と呼ばれた地区である。文明館の開館から3か月後の1908年4月、大須2番目の活動写真常設館として電気館が開館した。*60

1926年の『名古屋市居住者全図 大正15年度新版』には、大須観音周辺に「文明館」「第一電気館」「世界館」「港座」「太陽館」「宝生座」「歌舞伎座」「大和座」「七宝館」、新天地通周辺に「帝国座」「帝国館」、本町通周辺に「末広座」が描かれている。*61

1929年1月調の『名古屋市居住者全図 昭和4年調昭和8年調』には、大須観音周辺に「文明館」「電気館」「世界館」「港座」「太陽館」「宝生座」「歌舞伎座」「宝座」「大和座」「七宝館」、新天地通周辺に「常盤館」「帝国座」「帝国館」、本町通周辺に「松竹座」が描かれている。*62

1932年時点で、大須の「太陽館」は西洋映画専門館である。「電気館」は大衆に喜ばれる作品を上映している。「文明館」は拳闘や大女による興行も行われる。*63

名古屋初の活動写真常設館は文明館である。1908年1月、竹本武夫が五明座という寄席を映画館にしたのである。1912年8月23日には建物を新築して再開館した。戦後には同一地点に再建され、一時期は大須東映という名称だったが、1961年に火災で焼失した。竹本武夫の跡継ぎの竹本元信は東映名古屋支社長を務めた。大須観音の境内の南側にあり、1980年現在は雑貨店がある場所である。*64

1908年1月25日、「名古屋初の活動写真上映館」として、大須観音の境内には文明館が開館した。それまでのこの場所には五明座という寄席小屋があった。戦後にも営業を再開し、日活系映画館だったが、1961年12月11日に火災で焼失した。*65

1929年のトーキー出現以後の大須の興行界。大須観音境内には大須最古の芝居小屋「宝生座」。無声映画時代からの映画館「文明館」。3本立の二流館「電気館」。色物寄席の「宝座」や「楽天地」。岩井通りの「歌舞伎座」。東京の芸人が高座に出た仁王門通の「文長座」。関西の芸人が高座に出た「七宝館」。松竹封切館の「世界館」。レビューや軽演劇の「大和座」。主に洋画の「太陽館」。日活封切館の「港座」。さらに「東宝大須」。*66

1961年12月11日、名古屋市中区門前町4-52の「大須東映」が全焼した。*67

時期不明の大須にあった「文明館」の写真あり。名古屋の花形映画館だった。1972年現在の跡地は大須ストアーになっている。*68
大須劇場/港座/港文化・港ミュージック/大須文化・港ミュージックホール
所在地 : 愛知県名古屋市(1925年)、愛知県名古屋市中区大須公園(1930年・1934年)、愛知県名古屋市中区門前町4-8(1936年・1941年)、愛知県名古屋市中区門前町4(1943年)、愛知県名古屋市中区門前町4-8(1960年・1963年・1965年)
開館年 : 1914年(芝居小屋)、1920年9月20日(映画館化)、1929年6月16日(建て替え)、1957年(再映画館化)
閉館年 : 1965年頃
1925年・1930年・1934年・1936年・1941年・1943年の映画館名簿では「港座」。1936年の映画館名簿では興行主が青木好太郎、支配人が佐藤鈴太郎、日活を上映。1943年の映画館名簿では経営者が青木好太郎、定員894。1947年・1950年・1953年・1955年・1958年の映画館名簿には掲載されていない。1958年の住宅地図では「大須劇場」。1960年の映画館名簿では「大須劇場」。1960年の住宅地図では「港座」。1963年の映画館名簿では「港座」。1963年の住宅地図では敷地北側に「港ミュージックホール」で敷地南側に「大須文化」。1964年の映画館名簿では「港文化・港ミュージック」(2館)。1964年の映画館名簿では支配人が青木靖之祐(2館)、経営者が湯浅義雄(港文化)と森泰雄(港ミュージック)、木造2階建暖房付(港文化)、520席(港文化)、邦画を上映(港文化)。1965年の映画館名簿では「大須文化・港ミュージックホール」(2館)。1966年の映画館名簿には掲載されていない。1965年には跡地の一部に大須演芸場開館。1967年の住宅地図では跡地北側に「大須演芸場」で跡地南側に「愛知県中小企業福祉会館」。1971年の住宅地図では跡地北側に「大須演芸場」で跡地南側に「大須別館結婚式場東山会館 名古屋中小企業福祉会館 東山会館」。1979年の住宅地図では跡地北側に「大須演芸場」で跡地南側に「名古屋中小企業福祉会館 米兵」。跡地は「大須演芸場」と「KOMEHYO名古屋本店きもの館」。最寄駅は名古屋市営地下鉄鶴舞線大須観音駅。

1914年、名古屋市の大須公園に「港座」が新築落成し、3月14日に坂東鶴之助一座の歌舞伎で開場式を行った。1929年6月16日、改築落成して開館した。*69

1926年の『名古屋市居住者全図 大正15年度新版』には、大須観音周辺に「文明館」「第一電気館」「世界館」「港座」「太陽館」「宝生座」「歌舞伎座」「大和座」「七宝館」、新天地通周辺に「帝国座」「帝国館」、本町通周辺に「末広座」が描かれている。*70

1929年1月調の『名古屋市居住者全図 昭和4年調昭和8年調』には、大須観音周辺に「文明館」「電気館」「世界館」「港座」「太陽館」「宝生座」「歌舞伎座」「宝座」「大和座」「七宝館」、新天地通周辺に「常盤館」「帝国座」「帝国館」、本町通周辺に「松竹座」が描かれている。*71

1932年時点で、大須の「港座」は改築を経て大須における高級映画館となった。邦画専門館であり、日活や千恵蔵プロの名古屋における封切館である。*72

大正時代に劇場として開館し、戦前には映画や演劇の興行を行った。戦後の1947年にはストリップ劇場となるが、1957年には邦画上映館の大須劇場となった。その後港ミュージックに改称し、1965年には大須演芸場となった。1954年3月にはストリップ「尼寺変態愛戯史」の興行を行ったが、東海尼僧法団東海支部が上演中止を求めて抗議に訪れた。2010年現在の跡地は中小企業福祉会館とコメ兵きもの館。*73

1914年には芝居小屋として港座が開館した。1920年9月20日には名称はそのまま映画館に転換し、オープニング作品として『ウーマン』を上映した。1929年には内装を一新し、オープニング作品として溝口健二監督作『東京行進曲』とマキノ時代劇『乳姉妹』を上映した。昭和期には日活専門館となり、同じく日活系の千歳劇場と掛け持ち上映を行った。*74

1945年10月から1947年頃の名古屋市大須にあった演劇場「港座」の写真が掲載されている。「座港」の文字が見える。「笑いの殿堂 カワベキミオ一座」(※実際には右書き)の看板が見える。*75

現在の大須観音通りは、戦前には富士浅間神社から浅間通りと呼ばれていた。浅間通りの北側には、大須演芸場の前身である港座と、洋画と実演を行う太陽館の、2館の映画館があった。港座はもともと南桑名町にあった芝居小屋であり、南桑名町時代には日の出座と呼ばれていた。やがて大須の富士浅間神社の社有地に移転し、湊川神社に因んで港座に改称した。日活の直営館だった時代もあるし、戦後にはストリップ劇場にもなった。*76

大正時代の大須に開館した映画館兼演劇場の港座は、戦後には映画館など経て、ストリップ劇場「港ミュージック」となった。経営者である樋口某の死去後、樋口の妻である樋口君子が1965年に演芸場に衣替えし、大須演芸場を開館させた。*77

1957年、伏見良子率いる実演の東京スキャンダルスは名古屋市大須の「港座」を引き揚げ、納屋橋の「中央劇場」に拠点を移した。その後、港座は2年から3年に渡って空き家となっていたが、「大須文化劇場」に改称して二流映画やストリップの興行を行った。1961年頃には港座裏手の楽屋部分に小屋を建て、ストリップ劇場の港ミュージックとした。港ミュージックが経営難で営業を中止した後、1965年10月1日に開場したのが常打寄席の大須演芸場である。その後休館中だった港座は取り壊され、1966年11月には跡地に愛知県中小企業福祉会館が建った。*78

時期不明の大須にあった「港座」の写真あり。1972年現在の跡地は東山会館になっている。*79
大須映画劇場/大須宝塚劇場/OS劇場/名古屋日劇/名古屋日本劇場
所在地 : 愛知県名古屋市中区門前町2丁目(1941年)、愛知県名古屋市中区門前町3(1943年)、愛知県名古屋市中区大須門前町(1947年)、愛知県名古屋市中区門前町2-25(1950年)、愛知県名古屋市中区門前町3-25(1953年・1955年・1958年)、愛知県名古屋市中区門前町3-15(1960年・1963年)、愛知県名古屋市中区門前町3-25(1966年・1969年・1970年)
開館年 : 1937年12月30日
閉館年 : 1969年11月
『全国映画館総覧 1955』によると1953年2月開館。1936年の映画館名簿には掲載されていない。1941年の映画館名簿では「大須映画劇場」。1943年・1947年・1950年・1953年の映画館名簿では「大須宝塚劇場」。1943年の映画館名簿では経営者が大須宝塚劇場、定員1084。1955年・1958年・1960年の映画館名簿では「OS劇場」。1958年・1960年の住宅地図では「OS劇場」。1960年の映画館名簿では経営者が中部興行、支配人が青木光治、鉄筋造3階冷暖房付、定員1200、東宝を上映。1963年の映画館名簿では「名古屋日劇」。1963年の住宅地図では「名古屋日劇」。1966年・1969年・1970年の映画館名簿では「名古屋日本劇場」。1967年の住宅地図では「名古屋日劇」。1970年の映画館名簿では経営者が中部興行、支配人が藤田重行、鉄筋造4階冷暖房付、定員817、洋画を上映。1971年の住宅地図では「名古屋日劇 東宝映画」。1973年の映画館名簿には掲載されていない。1977年・1979年の住宅地図では跡地に「大須ういろ本店 配送センター」。跡地は「大須ういろビル」。最寄駅は名古屋市営地下鉄名城線・鶴舞線上前津駅。

大須の本町通沿いにあった空き地から赤門通を隔てた南角に、洋館3階建の「SY大須映画劇場」が開館した。その後、1938年春には赤門通沿いの空き地に赤門娯楽デパートが開設された。いずれも「名古屋劇場」の経営者である高瀬兼次郎が吉本興業社長の松尾国三と組んで共同経営で開館させたものである。同年4月15日には赤門娯楽デパートの東隣に「赤門東宝映画劇場」が開館し、12月には「赤門花月劇場」に改称した。同年11月には同じ通りに「大勝館」も開館している。周辺には純喫茶、食堂、酒場などの飲食店も集まり、戦争が激化するまでの時代は繁華街の様相を呈した。*80

1937年12月24日、名古屋市中区門前町の商品陳列場跡地に「大須映画劇場」が開館式を行い、12月30日に開館した。1940年12月20日には大須映画劇場が松竹洋画から離れ、「大須宝塚映画劇場」に改称して日活封切館となった。*81

無声映画時代末期、大須の「帝国館」、「電気館」、「文明館」などでは楽士の伴奏音楽に合わせて活動写真が上映された。トーキー出現後、新天地通の「名古屋劇場」では吉本興業の実演も多く、「港座」では喜劇の実演もあった。1938年2月には「SY大須映画劇場」で『モダンタイムス』が上映された。1938年から1939年には松竹作品『愛染かつら』が大ヒットし、「世界館」に並ぶ若い娘で仁王門通が埋まってしまった。*82

1929年のトーキー出現以後の大須の興行界。商品陳列館跡地に開通した赤門通には3階建洋館の「SY大須映画劇場」。並んで建つ「赤門花月劇場」と「大勝館」。新天地通の西側には「帝国館」。新天地通の東側には並んで「トキワ館」、「名古屋劇場」、「帝国劇場」。*83

占領期の名古屋市における「大須宝塚劇場」の写真あり。2020年現在のスギ薬局(大須ういろビル)の場所である。*84

1961年5月1日、名古屋市中区門前町3-5の東宝封切館「OS映画劇場」は「名古屋日劇」に改称して洋画館と実演館の併演劇場となる。これにともなって4月3日、名古屋市中区裏門前町1-52の「万松寺松竹」が「東宝名古屋劇場」に改称して東宝封切館となった。*85

SY大須映画劇場は1938年正月に開館した。当時は名古屋宝塚劇場と並んで人気があった大劇場であり、ウエスタン式発生装置や明るい巨大スクリーンがあった。S・Y大映
1956年に撮影した名古屋OS劇場の写真あり。『失われた大陸』や『悪者は地獄へ行け』の看板が見える。OS劇場は大須本通と赤門通の交差点角にあった。1933年にS・Y大須映画劇場として開館し、太平洋戦争の戦災を免れた。戦後には大須大宝劇場に改称し、1953年2月にOS劇場に改称した。鉄筋コンクリート造4階建て、1200人収容の大規模館であり、大須映画館街のエース格だった。1956年夏には冷房設備を2基に増備して名古屋随一の冷房完備館となった。1969年11月に閉館し、跡地にはまず大須ういろ本社が建った。2002年11月には大須ういろ本社が取り壊され、2003年9月にはコメ兵と大須ういろを併せ持つ5階建てビルが完成した。*86

1945年10月から1947年頃の名古屋市大須にあった映画館「大須宝塚劇場」の写真が掲載されている。2020年現在の跡地にはスギ薬局が入る大須ういろビルがある。*87

1972年1月4日の『中日新聞』映画上映案内には掲載されていない。*88
花月ニュース劇場/常盤館/平和映画劇場/日活平和劇場/名古屋平和劇場/大須大映劇場
所在地 : 愛知県名古屋市中区万松寺境内(1930年・1934年)、愛知県名古屋市中区裏門前町1-53(1936年)、愛知県名古屋市中区裏門前町1-51(1941年)、愛知県名古屋市中区裏門前町1(1943年)、愛知県名古屋市中区裏門前町1-52(1950年・1953年・1955年・1958年・1960年・1963年・1966年・1969年・1970年)、愛知県名古屋市中区大須3-30-93(1971年・1972年)
開館年 : 1927年5月31日、1948年5月3日
閉館年 : 1972年1月16日頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年11月開館。1930年・1934年・1936年の映画館名簿では「常盤館」。1936年の映画館名簿では興行主が青山良一、支配人が澤根都三、新興キネマを上映。1941年の映画館名簿では「花月ニュース劇場」。1943年の映画館名簿では「常盤館」。1943年の映画館名簿では経営者が一田治、定員651。1947年の映画館名簿には掲載されていない。1950年の映画館名簿では「平和映画劇場」。1953年の映画館名簿では「日活平和劇場」。1955年の映画館名簿では「名古屋平和劇場」。1958年・1960年・1963年・1967年の住宅地図では「大須大映」。1958年・1960年・1963年・1966年・1969年・1970年・1971年・1972年の映画館名簿では「大須大映劇場」。1960年の映画館名簿では経営者が大映興行、支配人が一ノ谷国太郎、鉄筋造2階冷暖房付、定員600、大映を上映。1970年の映画館名簿では経営者が大映興行、支配人が石原博、鉄筋造3階冷暖房付、定員547、大映を上映。1971年の住宅地図では「大須大映劇場」。1973年の映画館名簿には掲載されていない。1977年の住宅地図では跡地に空白。1979年の住宅地図では跡地に「アメヤ横丁」。1985年の住宅地図では跡地に「新天地有料駐車場」。跡地は新天地通にある「万松寺パーキングビル」南側。最寄駅は名古屋市営地下鉄名城線・鶴舞線上前津駅。

1918年8月に米騒動が起こると、11月15日には万松寺本堂跡地近くに中公設市場が設けられ、1924年には三輪神社の南に本建築の中公設市場が建てられた。高瀬兼次郎は旧中公設市場の跡地を借り、2館の活動写真館が開館した。1927年5月31日に開館したのが北側の「常盤劇場」であり、後に「常盤館花月ニュース劇場」となった。南側は高瀬興行社の「名古屋劇場」であり、1934年6月1日に改装して新装開館した。遊楽館は1918年頃に「ニコニコ館」に改称し、大正末期には「帝国館」に改称すると、1927年には古川為三郎の経営となった。古川為三郎は帝国座が失火で焼失した後、映画常設館「帝国劇場」を再建して新発足させている。*89

1929年1月調の『名古屋市居住者全図 昭和4年調昭和8年調』には、大須観音周辺に「文明館」「電気館」「世界館」「港座」「太陽館」「宝生座」「歌舞伎座」「宝座」「大和座」「七宝館」、新天地通周辺に「常盤館」「帝国座」「帝国館」、本町通周辺に「松竹座」が描かれている。*90

1932年時点で、大須の「常盤館」は「千歳劇場」の姉妹館であり、「帝国館」と対峙している。*91

1934年の『大日本職業別明細図 第386号 名古屋市東区 中区 西区』には、後の新天地通に「常盤館」と「名古屋劇場」、若宮八幡社の南に「松竹座」が描かれている。*92

1929年のトーキー出現以後の大須の興行界。商品陳列館跡地に開通した赤門通には3階建洋館の「SY大須映画劇場」。並んで建つ「赤門花月劇場」と「大勝館」。新天地通の西側には「帝国館」。新天地通の東側には並んで「トキワ館」、「名古屋劇場」、「帝国劇場」。*93

1948年5月1日の『名古屋タイムズ』の広告。「平和映画劇場 元常盤館 大映代表封切場」「開場は5月3日と決定! 親馬鹿と大将」とある。*94

1948年5月3日の『名古屋タイムズ』の広告。「平和映画劇場 元常盤館 五月の陽光浴びて晴れの新装開場 3日堂々開場」「大映映画の代表封切劇場の名に応えて一般封切に先立ち開場披露興行のため特に当劇場のみ三日封切決行! 親馬鹿大将」とある。*95

1954年12月1日の『名古屋タイムズ』の広告。「新装近日開場 大映直営 大須大映」「大映封切場の万松寺元平和劇場が暖冷房を完備し、装いも新たに大映直営として新発足いたします何卒御期待ください!」とある。*96

1954年12月4日、名古屋市の「日活平和劇場」が「大須大映」に改称した。*97

1956年2月に撮影した大須大映の写真あり。「Ohsu DAIEI」の文字も見える。新天地通。戦前は「常盤館 花月ニュース劇場」だった。1948年5月、日活平和劇場として開館し、1954年12月には大映直営館の大須大映となった。オープニング作品は溝口健二監督作『近松物語』と菅原謙二主演作『勝敗』。中部地方6県では初の大映直営館だった。*98

1972年1月16日の『名古屋タイムズ』の映画上映案内。「大須大映」の欄には「250円解放 悪名一番勝負 陸軍落語兵」とある。1月17日の『名古屋タイムズ』の映画上映案内に大須大映は掲載されていない。*99

1972年1月4日の『中日新聞』映画上映案内には掲載されていない。*100
名古屋劇場/万松寺松竹/東宝名古屋劇場/松竹名古屋劇場
所在地 : 愛知県名古屋市中区裏門前町1-53(1936年)、愛知県名古屋市中区万松寺新天地(1941年)、愛知県名古屋市中区裏門前町1(1943年)、愛知県名古屋市中区裏門前町1-52(1950年・1953年・1955年・1958年・1960年・1963年・1966年・1969年・1970年)
開館年 : 1934年6月1日、1947年7月17日
閉館年 : 1972年6月18日
『全国映画館総覧 1955』によると1948年7月開館。1934年の映画館名簿には掲載されていない。1936年・1941年・1943年の映画館名簿では「名古屋劇場」。1936年の映画館名簿では興行主が青山良一、支配人が東郷冷水、洋画を上映。1943年の映画館名簿では経営者が浅野渉、定員492。1947年の映画館名簿には掲載されていない。1950年・1953年・1955年・1958年の映画館名簿では「名古屋劇場」。1958年の住宅地図では「(名)劇場」。1960年の映画館名簿では「万松寺松竹」。1960年の映画館名簿では経営者が高瀬泰昌、支配人が溝口和光、木造2階冷暖房付、定員600、松竹を上映。1960年の住宅地図では「万松寺松竹」。1963年の映画館名簿では「東宝名古屋劇場」。1963年の住宅地図では「東宝名古屋劇場」。1966年・1969年の映画館名簿では「松竹名古屋劇場」。1967年・1971年の住宅地図では「松竹名古屋劇場」。1970年の映画館名簿では「東宝名古屋劇場」。1970年の映画館名簿では経営者が中部共栄興行、支配人が徳田悌治、木造2階冷暖房付、定員517、東宝を上映。1973年の映画館名簿には掲載されていない。1977年の住宅地図では跡地に空白。1979年の住宅地図では跡地に「ラジオセンター」。1985年の住宅地図では跡地に「ラジオセンターアメ横共同ビル」。跡地は1977年竣工の「第1アメ横ビル」。最寄駅は名古屋市営地下鉄名城線・鶴舞線上前津駅。

1918年8月に米騒動が起こると、11月15日には万松寺本堂跡地近くに中公設市場が設けられ、1924年には三輪神社の南に本建築の中公設市場が建てられた。高瀬兼次郎は旧中公設市場の跡地を借り、2館の活動写真館が開館した。1927年5月31日に開館したのが北側の「常盤劇場」であり、後に「常盤館花月ニュース劇場」となった。南側は高瀬興行社の「名古屋劇場」であり、1934年6月1日に改装して新装開館した。遊楽館は1918年頃に「ニコニコ館」に改称し、大正末期には「帝国館」に改称すると、1927年には古川為三郎の経営となった。古川為三郎は帝国座が失火で焼失した後、映画常設館「帝国劇場」を再建して新発足させている。*101

高瀬兼次郎(高瀬親分)は博徒本願寺一家3代目の総裁であり、なおかつ興行主でもあった。新天地通に「名古屋劇場」と「常盤座」、さらに「歌舞伎座」を経営し、名古屋劇場裏手の本宅に住んでいた。*102

1929年のトーキー出現以後の大須の興行界。商品陳列館跡地に開通した赤門通には3階建洋館の「SY大須映画劇場」。並んで建つ「赤門花月劇場」と「大勝館」。新天地通の西側には「帝国館」。新天地通の東側には並んで「トキワ館」、「名古屋劇場」、「帝国劇場」。*103

1934年の『大日本職業別明細図 第386号 名古屋市東区 中区 西区』には、後の新天地通に「常盤館」と「名古屋劇場」、若宮八幡社の南に「松竹座」が描かれている。*104

1937年、大阪の吉本興業は名古屋・大須で「名古屋劇場」の経営を始めたが、1945年に閉鎖した。1993年10月8日には名古屋市に常設劇場「吉本広小路小劇場」を開場させる。名古屋における吉本興業の経営館としては48年ぶりの復活となる。*105

1934年6月1日、名古屋市の「常盤館」と「帝国館」の間に「名古屋劇場」が建てられて開場した。*106

無声映画時代末期、大須の「帝国館」、「電気館」、「文明館」などでは楽士の伴奏音楽に合わせて活動写真が上映された。トーキー出現後、新天地通の「名古屋劇場」では吉本興業の実演も多く、「港座」では喜劇の実演もあった。1938年2月には「SY大須映画劇場」で『モダンタイムス』が上映された。1938年から1939年には松竹作品『愛染かつら』が大ヒットし、「世界館」に並ぶ若い娘で仁王門通が埋まってしまった。*107

吉本興業にとって名古屋初の直営館が大須の「名古屋劇場」である。1937年に『喜劇・カフエー萬歳』四幕の上映で開館した。 吉本は名古屋劇場の東隣にあった「常盤劇場」を買収し、1937年12月に吉本直営館「花月ニュース劇場」として開館させた。1945年の終戦直前、吉本は名古屋の映画館経営から撤退した。戦後の新天地には、南から「日活映画劇場」、名古屋劇場、「平和劇場」、「日活シネマ」があった。*108

1947年7月17日の『名古屋タイムズ』の広告。「名古屋劇場 愈々明十七日開場 松竹映画封切 恥かしい頃」とある。*109

1945年の空襲で名古屋市大須の「名古屋劇場」は焼失したが、1947年7月に営業を再開した。慶應義塾大学経済学部に通っていた21歳の高瀬泰昌が支配人に就任し、週末には夜行列車で東京から名古屋に通う二重生活を送った。父親は「大須の興行王」と呼ばれた高瀬兼次郎であり、戦前には映画館や歌舞伎小屋など5館を経営していた人物である(1957年死去)。高瀬兼次郎が体調を崩したことから息子に役が回ってきた。高瀬兼次郎は名古屋劇場以外にも映画館を建てるように勧めたが、映画産業の限界を感じていた高瀬泰昌は名古屋劇場のみに専念した。1972年には名古屋劇場が火災で焼失し、跡地はまず貸し駐車場とした後、1977年に「ラジオセンター・アメ横共同ビル」を建てた。*110

1958年6月10日、名古屋市の「名古屋劇場」が全面改装を終え、「万松寺松竹劇場」に改称して新発足した。披露番組は『続禁男の砂』であり、泉京子と瞳麗子のアトラクション付き。*111

1961年5月1日、名古屋市中区門前町3-5の東宝封切館「OS映画劇場」は「名古屋日劇」に改称して洋画館と実演館の併演劇場となる。これにともなって4月3日、名古屋市中区裏門前町1-52の「万松寺松竹」が「東宝名古屋劇場」に改称して東宝封切館となった。*112

1956年4月に撮影した名古屋劇場の写真あり。『青空剣法 弁天夜叉』、『ここに幸あり』、『愛と智恵の輪』の看板が見える。「MEIGEKI」の文字も見える。4館が並ぶ新天地通。4館の中央にあり、戦前から吉本ショーの演劇や映画を上映した。1947年7月に名劇として開館し、ほぼ松竹映画の上映館だった。1958年9月には万松寺松竹名劇に改称し、1970年に東宝名劇に改称。1972年6月に焼失して閉館した。映画館では採算が取れないと判断した経営者の高瀬泰昌は、1977年に跡地に「ラジオセンター・アメ横共同ビル」を開館させた。*113

1972年6月18日の『名古屋タイムズ』の映画上映案内。「東宝名劇」の欄には「無宿人御子神の丈吉 影狩り」とある。1972年6月19日の『名古屋タイムズ』の映画上映案内。「東宝名劇」の欄には「出火の為休館」とある。*114

1972年1月4日の『中日新聞』映画上映案内には「東宝名劇」として掲載されており、『日本一のショック男』と『起きて転んでまた起きて』を上映している。*115 1973年12月31日の『中日新聞』映画上映案内には掲載されていない。*116
万松寺日活/万松寺日活劇場/万松寺日活映画劇場
所在地 : 愛知県名古屋市中区裏門前町(1947年)、愛知県名古屋市中区門前町(1950年)、愛知県名古屋市中区裏門前町1-52(1953年・1955年・1958年・1960年・1963年・1966年・1969年)、愛知県名古屋市中区大須3-30-80(1973年・1974年)
開館年 : 1946年12月
閉館年 : 1973年11月25日頃
『全国映画館総覧 1955』によると1947年12月開館。1943年の映画館名簿には掲載されていない。1947年の映画館名簿では「万松寺日活映劇」。1950年・1953年の映画館名簿では「万松寺日活映画劇場」。1955年の映画館名簿では「万松寺日活」。1958年の映画館名簿では「万松寺日活映画劇場」。1958年・1960年・1963年・1967年・1971年の住宅地図では「万松寺日活」。1960年・1963年の映画館名簿では「万松寺日活劇場」。1960年の映画館名簿では経営者が日活、支配人が本間敏雄、木造1階暖房付、定員685、日活を上映。1966年の映画館名簿では「万松寺日活映画劇場」。1969年・1970年の映画館名簿では「万松寺日活劇場」。1973年・1974年の映画館名簿では「万松寺日活映画劇場」。1973年の映画館名簿では経営会社が日活、経営者が堀雅彦、支配人が湯浅豊、木造3階冷暖房付、380席、東映を上映。1975年の映画館名簿には掲載されていない。1977年・1979年の住宅地図では跡地に「スギヤマ薬品万松寺店」。1985年の住宅地図では跡地に「スギヤマ薬品万松寺店」などがある「万松寺有料駐車場」。跡地は「万松寺ビル」建物北西部。万松寺には北から順に日活シネマ、大須大映、名古屋劇場、万松寺日活の4館が並んでいた。最寄駅は名古屋市営地下鉄名城線・鶴舞線上前津駅。

1946年12月下旬、名古屋市中区裏門前町の「帝国劇場」跡地に「万松寺日活」が開館した。コンクリート造2階建の本格的な建物。*117

1956年4月に撮影した日活シネマの写真あり。『断固戦う人々』や『三つ数えろ』の写真が見える。洋画の二本立て上映館だった。1951年10月に開館し、オープニング作品は新東宝の『ブンガワンソロ』だった。*118

1961年12月24日、名古屋市の日活直営館「万松寺日活」が営業を再開した。11月26日から休館し、建物の改修と冷暖房設備工事を進めていた。支配人は本間敏雄。*119

大須の万松寺日活と栄の名古屋日活は、どちらも日活系の資本で開館した洋画封切館である。万松寺日活は帝国劇場の跡地に建てられた。名古屋日活は丸栄の東隣にあった。*120

1972年1月4日の『中日新聞』映画上映案内には「万松寺日活」として掲載されており、『吹雪の大脱走』と『不良番長突撃一番』を上映している。*121 1973年12月31日の『中日新聞』映画上映案内には掲載されていない。*122

日活の直営劇場の動きを見ると、1973年10月に「布施日活」が開館し、11月に「泉大津日活」が開館し、11月に「万松寺日活」が閉館し、11月に「横須賀日活ロマン」が閉館し、1974年6月に「梅田日活オスカー・梅田日活ロマン・梅田日活シネマ」が開館した。*123

1973年11月25日の『名古屋タイムズ』の映画上映案内。「万松寺日活」の欄には「30日迄 海軍横須賀刑務所 ヤングおーおー日本のジョウシキでーす」とある。11月26日の『名古屋タイムズ』の映画上映案内。「万松寺日活」の欄には「休館」とある。*124
万松寺日活シネマ/日活シネマ
所在地 : 愛知県名古屋市中区裏門前町1-52(1953年・1955年・1958年・1960年・1963年・1966年・1969年)、愛知県名古屋市中区大須3-30-96(1973年・1976年)
開館年 : 1951年10月
閉館年 : 1976年6月25日頃
『全国映画館総覧 1955』によると1951年10月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「日活シネマ」。1958年・1960年・1963年・1967年の住宅地図では「日活シネマ」。1960年の映画館名簿では経営者が日活、支配人が柳川保之助、鉄筋造2階、定員350、洋画を上映。1966年・1969年・1973年の映画館名簿では「万松寺日活シネマ」。1976年の映画館名簿では「日活シネマ」。1971年・1977年の住宅地図では「日活シネマ劇場」。1975年の映画館名簿では経営会社が日活、経営者が堀雅彦、支配人が柳川保之助、鉄筋造3階、311席、日活・成人映画を上映。1977年の映画館名簿には掲載されていない。1985年の住宅地図では跡地に「新天地有料駐車場」。万松寺には北から順に日活シネマ、大須大映、名古屋劇場、万松寺日活の4館が並んでいた。跡地は新天地通にある「万松寺パーキングビル」北側。最寄駅は名古屋市営地下鉄名城線・鶴舞線上前津駅。

1951年10月、名古屋市中区裏門前町1に「日活シネマ」が開館した。*125

1961年4月19日、名古屋市中区門前町1-52の洋画二番館「日活シネマ」が松竹封切館に転向した。*126

1956年4月に撮影した万松寺日活劇場の写真あり。東宝作品『東京の人』の看板が見える。新天地通。戦前の同一地点には帝国劇場があり、洋画を上映していた。戦後の1946年12月末に日活直営館の万松寺日活が開館した。1953年からは新東宝・東宝の邦画上映館となり、1956年から日活ロードショー館となった。現在は万松寺ビル。*127

1972年1月4日の『中日新聞』映画上映案内には「日活シネマ」(成人向)として掲載されており、『牝猫の匂い』と『濡れたハイウェイ』を上映している。*128 1973年12月31日の『中日新聞』映画上映案内には「日活シネマ」として掲載されており、『男はつらいよ 私の寅さん』と『大事件だよ全員集合!!』を上映している。*129

1976年6月25日の『名古屋タイムズ』の映画上映案内。「大須日活シネマ」の欄には「本日限 淫乱な関係 マル秘女高生暴行魔 変態強盗」とある。6月26日の『名古屋タイムズ』の映画上映案内に日活シネマは掲載されていない。*130

1988年12月までに、名古屋市大須に地上8階建で約1000台分の駐車場ビルを建設することが決定した。大津通と赤門通に面した場所であり、中公設市場やアメ横ビルに隣接しており、1988年現在は新天地駐車場となっている。もともとは2館の映画館があったが、閉館後の1977年に駐車場に転用された。地権者の万松寺が駐車場ビルを建設する。1989年4月に着工予定であり、1990年3月に完成予定である。*131

1990年4月28日、名古屋市大須に万松寺パーキングビルが完成する。大津通と赤門通に面しており、南隣はアメ横ビルである。地下1階・地上8階建であり、地下1階には家電製品の店舗、1階にはパソコンショップやファミコンショップなど10店、2階から屋上には立体駐車場が入る。万松寺と万松寺土地が所有する土地に建設が進められていた。*132
新歌舞伎座/東洋劇場/中映東洋劇場
所在地 : 愛知県名古屋市中区裏門前町1-18(1958年・1960年・1963年・1966年・1969年)、愛知県名古屋市中区大須3-24-26(1973年・1976年・1979年)
開館年 : 1952年7月(新歌舞伎座)、1955年11月2日(映画館化)
閉館年 : 1979年9月30日頃
1956年の映画館名簿には掲載されていない。1957年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「東洋劇場」。1958年・1960年・1963年・1967年・1971年・1977年・1979年の住宅地図では「東洋劇場」。1960年の映画館名簿では経営者が水野久一、支配人が杉浦正人、鉄筋造3階暖房付、定員700、洋画を上映。1966年・1969年・1973年・1976年・1979年の映画館名簿では「中映東洋劇場」。1978年の映画館名簿では経営会社が中映、経営者・支配人ともに川瀬善昭、鉄筋造2階、618席、洋画を上映。1980年の映画館名簿には掲載されていない。1985年の住宅地図では跡地に「ライオンズマンション大須」。跡地は「大須公園」北西隣にある1982年竣工のマンション「ライオンズマンション大須」。最寄駅は名古屋市営地下鉄名城線・鶴舞線上前津駅。

1952年7月、名古屋市中区裏門前町1-18に「新歌舞伎座」が開館し、東西合同花形大歌舞伎で開場した。1955年、新歌舞伎座は「東洋劇場」に改称して映画館に転向した。*133

1955年11月2日、名古屋駅前の豊田ビルに中日本興業の直営館「グランド」(1300人)、「ロキシー」(1100人)、「ニュース劇場」(200人)の3館が開館した。また、大須の新歌舞伎座を改装した「東洋劇場」(1000人)も同日に開館した。グランドのこけら落としは『ピラミッド』、ロキシーと東洋劇場はユニバーサル作品『地獄の戦線』。*134

東洋劇場は芝居小屋として開館したが、いつの間にか洋画の二番館に転換した。安い料金や特徴的な番組編成で人気があった。*135

1955年11月に撮影した東洋劇場の写真あり。ひし形の大須公園の北西角にあった。前身の劇場は1952年10月開場の新歌舞伎座であり、関西大歌舞伎の片岡仁左衛門一座を招いてこけら落としを行ったが、劇場だったのはわずか3年間である。1955年11月1日に洋画専門映画館の東洋劇場に転換した。オープニング作品はオーディ・マーフィ主演『地獄の戦線』。なお、同日には名古屋駅前に中日本興業の直営館としてグランド・ロキシー・ニュース劇場の3館が開館している。2010年時点の跡地には高層マンションが建っている。*136

洋画の二番館であり、2本立てまたは3本立てだった。現在はマンション。新天地通りの映画館群が消滅した後も長い間営業していた。*137

時期は不明だが東洋劇場の写真あり。『007 私を愛したスパイ』、『フューリー』のポスターが見える。*138

1955年の東洋劇場の写真あり。1955年11月1日、大須公園北側に洋画専門館として開館した。封切り作品はエディ・マーフィ主演の『地獄の戦線』。定員850人。東洋劇場の前身は1952年10月に開館した劇場の新歌舞伎座であり、こけら落としは関西大歌舞伎「片岡仁左衛門一座」公演だった。しかし映画ブームの到来によって、わずか3年で映画館に転身したのである。なお、1955年11月1日には名古屋駅前に、中日本興業直営のグランド、ロキシー、ニュース劇場の3館も同時開館している。*139

1972年1月4日の『中日新聞』映画上映案内には「大須東洋」として掲載されており、『男はつらいよ 寅次郎恋歌』と『春だドリフだ 全員集合!!』を上映している。*140 1973年12月31日の『中日新聞』映画上映案内には「大須東洋」として掲載されており、『ソイレント・グリーン』と『シーラ号の謎』と『トレイダー・ホーン』を上映している。*141

1979年9月30日の『中日新聞』「映画上映案内」。「大須東洋」は「本日限」で『ブルーSEX・売春』『スペッシャルXしたたり』『ライブフィルム・絶頂』を上映(※「本日限」がプログラムの終了なのか映画館そのものの閉館なのかは判然としない)。1979年10月1日以降の『中日新聞』映画上映案内に「大須東洋」は掲載されていない。*142

1979年9月29日の『名古屋タイムズ』の映画上映案内。「大須東洋」の欄には「本日深夜 ブルーSEX・売春 スペシャルXしたたり ライブフィルム・絶頂」とある。10月1日の『名古屋タイムズ』の映画上映案内に大須大映は掲載されていない。*143
太陽館/グランド劇場(大須)/ムービ太陽/ムービー太陽/大須東宝/大須太陽館
所在地 : 愛知県名古屋市楽天地(1925年)、愛知県名古屋市中区大須公園(1930年・1934年・1936年)、愛知県名古屋市中区門前町4-7(1941年)、愛知県名古屋市中区門前町4(1943年)、愛知県名古屋市中区門前町4-7(1950年・1953年・1955年・1956年・1958年・1960年・1962年・1963年・1966年・1969年)、愛知県名古屋市中区大須2-16-26(1973年・1976年・1980年・1985年)
開館年 : 1912年7月5日、1946年1月
閉館年 : 1985年3月29日
『全国映画館総覧 1955』によると1946年1月開館。1925年・1930年・1934年・1936年・1941年・1943年の映画館名簿では「太陽館」。1936年の映画館名簿では興行主が小林祐蔵、支配人が伊藤忠一、洋画を上映。1943年の映画館名簿では経営者が中野重郎、定員490。1947年の映画館名簿には掲載されていない。1950年の映画館名簿では「グランド劇場」。1953年の映画館名簿では「ムービ太陽」。1955年の映画館名簿では「ムービー太陽」。1958年・1960年の住宅地図では「大須東宝映画館」。1956年・1958年・1960年・1962年の映画館名簿では「大須東宝」。1960年の映画館名簿では経営者が中野重郎、支配人が飯田康雄、木造2階冷暖房付、定員540、東宝・松竹・日活を上映。1963年・1967年の住宅地図では「太陽館」。1963年・1966年・1969年・1973年・1976年・1980年・1985年の映画館名簿では「大須太陽館」。1971年・1977年・1979年・1983年の住宅地図では「大須太陽館」。1973年の映画館名簿では経営者が中野重郎、支配人が飯田康雄、木造2階冷暖房付、480席、邦画特選を上映。1985年の映画館名簿では経営者が中野重郎、支配人が飯田康雄、木造1階、400席、洋画を上映。1985年の住宅地図では跡地に空白。1986年の映画館名簿には掲載されていない。2020年の住宅地図では跡地に「シャポーブラン大須本店」。跡地はドラッグストア「V・drug大須店」。最寄駅は名古屋市営地下鉄鶴舞線大須観音駅。

1912年、名古屋市大須の浪越公園跡地に「太陽館」が新築され、7月5日に開館した。総敷地185坪。900人収容。*144

1929年のトーキー出現以後の大須の興行界。大須観音境内には大須最古の芝居小屋「宝生座」。無声映画時代からの映画館「文明館」。3本立の二流館「電気館」。色物寄席の「宝座」や「楽天地」。岩井通りの「歌舞伎座」。東京の芸人が高座に出た仁王門通の「文長座」。関西の芸人が高座に出た「七宝館」。松竹封切館の「世界館」。レビューや軽演劇の「大和座」。主に洋画の「太陽館」。日活封切館の「港座」。さらに「東宝大須」。*145

1926年の『名古屋市居住者全図 大正15年度新版』には、大須観音周辺に「文明館」「第一電気館」「世界館」「港座」「太陽館」「宝生座」「歌舞伎座」「大和座」「七宝館」、新天地通周辺に「帝国座」「帝国館」、本町通周辺に「末広座」が描かれている。*146

1929年1月調の『名古屋市居住者全図 昭和4年調昭和8年調』には、大須観音周辺に「文明館」「電気館」「世界館」「港座」「太陽館」「宝生座」「歌舞伎座」「宝座」「大和座」「七宝館」、新天地通周辺に「常盤館」「帝国座」「帝国館」、本町通周辺に「松竹座」が描かれている。*147

1932年時点で、大須の「太陽館」は西洋映画専門館である。「電気館」は大衆に喜ばれる作品を上映している。「文明館」は拳闘や大女による興行も行われる。*148

1938年頃の大須門前町にあった洋画専門館「太陽館」の写真あり。*149

1947年の「グランド劇場」前にあった「柳下水」の写真あり。「柳下水」は名古屋三名水のひとつで、かつては井戸のそばに柳が植わっていたためこの名前で呼ばれた。茶の湯や化粧水に利用された。*150

1956年3月に撮影した大須東宝(太陽館)の写真あり。大須観音通(旧・大須通)。『鞍馬天狗 御用盗異変』や『続イカサマ紳士録 おとぼけ放射能』や『続へそくり社長』の看板が見える。1912年に太陽館として開館。日本ヘラルドの古川為三郎が初めて映画館経営に乗り出した劇場である。戦後の1947年元旦には大須グランド劇場に改称し、その後ムービー太陽に改称。1955年9月には大須東宝に改称し、その後元の太陽館に改称した。1981年にはヘラルドフーズ大須工場となった。2010年現在の跡地はシャポーブラン大須本店。*151

1921年、のちに日本ヘラルド映画の創業者となる古川為三郎によって太陽館が開館した。古川為三郎は太陽館のほかにも、大須に帝国館・帝国座・大勝館などを開館させ、大須は名古屋屈指の映画街となった。1970年頃の写真あり。映画館入口には『二匹の用心棒』『クレイジー・キャッツの大冒険』などのポスターが貼られている。当時の入場料は150円だった。*152

現在の大須観音通りは、戦前には富士浅間神社から浅間通りと呼ばれていた。浅間通りの北側には、大須演芸場の前身である港座と、洋画と実演を行う太陽館の、2館の映画館があった。太陽館は1910年に鶴舞公園で開催された第10回関西府県連合共進会を契機に開館した歴史ある映画館である。やがて古川為三郎の運営となり、跡地はヘラルドの喫茶店となった。2010年現在はシャポーブラン大須本店となっている。*153

1912年7月5日、文明館・電気館に次いで大須で3番目の映画館として太陽館が開館した。1921年頃まで連続活劇が主体であり、1923年からマキノ映画が主体となったが、1924年にはマキノ作品が港座に移っている。*154

時期は不明だが太陽館の写真あり。「大須・太陽」「特選洋画上映劇場」の文字が見える。料金は大人800円、大学生600円。『淫獣痴帯』、『変態 情事アニマル』のポスターが見える。*155

1985年3月末をもって、名古屋市中区大須2丁目の映画館「大須太陽館」が閉館した。現存する名古屋市の映画館としてはもっとも古かった。興行主はヘラルド興業の古川為三郎会長。古川為三郎が映画業界に進出するきっかけとなった映画館である。1912年7月5日に開館し、弁士のいるサイレント映画の時代から親しまれた。チャップリン映画、マキノのちゃんばら映画などを上映。1921年には古川為三郎が買収し、現在のヘラルド興業の礎となった。太平洋戦争の名古屋空襲では建物が焼失したが、1946年12月に再建され、この建物が1985年まで使われた。戦後には、グランド劇場、ムービー太陽という名称だった時期もあり、ポルノ劇場だった時期もある。晩年は邦画の名画館となり、最終上映作品は『伊賀のカバ丸』と『旅芝居行進曲』の二本立て。最近は1日あたり40-50人の観客しかいなかった。跡地はヘラルド興業系のヘラルドフーズが使用する。*156

大須の太陽館が閉館した。名古屋市に現存する映画館としては最古。ヘラルドグループの洋菓子製造・販売店に生まれ変わる。1912年に開館し、サイレント映画時代の1922年に古川為三郎が買収した。古川は「太陽館は私の出発点。全国で3番目に古い」と語る。大須には太陽館より前に開館した映画館もあったが、戦災などですべて閉館していた。太陽館も戦災で焼失したが、1947年には軍用飛行機の格納庫を組み立てた現在の建物で営業を再開した。ムービー太陽、グランド劇場などだった時期もあるが、結局は太陽館に戻った。昭和30年代の映画全盛期には、他館の経営者が太陽館にやってきて経営方針や混雑整理方法を研究した。7年前から成人向け映画館となり、1984年12月に再び一般向け映画館に戻ったが、1985年3月29日についに閉館した。*157

1985年4月、名古屋市最古(当時)だった太陽館が閉館し、大須の映画館は名画座のみとなった。*158

1972年1月4日の『中日新聞』映画上映案内には「大須太陽館」として掲載されており、『やくざ刑事 俺たちに墓はない』と『昭和ひとけた社長対ふたけた社員』と『悪親分対代貸』を上映している。*159 1973年12月31日の『中日新聞』映画上映案内には「大須太陽館」として掲載されており、『実録 麻薬地帯』と『日本侠花伝』と『喜劇 ああ独身』を上映している。*160
大須松竹/名画座/大須名画座
所在地 : 愛知県名古屋市中区門前町(1949年・1950年)、愛知県名古屋市中区門前町4-36(1953年・1955年・1958年・1960年・1963年・1966年・1969年)、愛知県名古屋市中区大須2-30-40(1973年・1976年)、愛知県名古屋市中区大須2-20-30(1980年・1985年・1988年)
開館年 : 1947年6月
閉館年 : 1988年12月頃
『全国映画館総覧 1955』によると1950年6月開館。戦前のこの場所には東宝大須劇場があった。1947年の映画館名簿には掲載されていない。1949年・1950年の映画館名簿では「名画座」。1953年の映画館名簿では「大須名画座」。1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「名画座」。1958年・1960年・1963年・1967年の住宅地図では「名画座」。1960年の映画館名簿では経営者が新世界興行、支配人が村上孟、木造1階冷房付、定員386、洋画を上映。1966年・1969年・1973年・1976年・1980年・1985年・1988年の映画館名簿では「大須名画座」。1971年・1977年・1979年・1983年の住宅地図では「映画 名画座」。1973年の映画館名簿では経営会社が新文化興行、経営者・支配人ともに村上孟、木造1階冷暖房付、380席、成人映画を上映。1980年の映画館名簿では経営会社が新文化興行、経営者が村上孟、支配人が村上瑞文、木造1階、306席、にっかつ・成人映画を上映。1985年の住宅地図では「名画座」。1988年の映画館名簿では経営会社が新文化興行、経営者が村上孟、支配人が石井清司、木造1階、265席、にっかつ・成人映画を上映。1989年の映画館名簿には掲載されていない。大須最後の映画館。跡地は衣料品店「クリーミー 大須観音店」があるマンション「宝マンション大須」。最寄駅は名古屋市営地下鉄鶴舞線大須観音駅。

1951年12月1日の『名古屋タイムズ』の広告。「大須名画座 全館新装! 一日開場」「五十円開放 活劇専門劇場」「森林警備隊 死の谷」とある。*161

1956年3月に撮影した名画座の写真あり。大須観音通(旧・大須通)。ハロルド・シュスター監督作『死刑か裏切か』、ヒルデガルト・クネフ主演『犯罪の牙』の看板が見える。前身は戦前の東宝大須劇場であり、1947年6月に大須松竹として開館した。オープニング作品は上原謙主演の松竹作品『消えた死体』。1949年2月にはヨーロッパ映画専門の名画座となったが、1950年4月には東宝封切館となった。1955年から休館していたが、1956年3月にリニューアル開館した。その後成人映画の上映館となり、1989年に閉館した。これによって大須から映画館がなくなった。2010年時点の跡地はマンション。*162

1988年、大須から最後の映画館が姿を消した。大須観音に近い大須通商店街にあった「名画座」が閉館した(※この記事で閉館日は明確にされていない)。大須は東海地方の「映画・観劇の街」と呼ばれ、芝居小屋などが軒を連ねていた。関係者によると、名画座は終戦直後に開館し、当初は東宝や松竹の封切館だった。昭和30年代の映画ブームが過ぎると、春日井市在住の初代経営者の親類が経営を引き継ぎ、観客数が減少すると従業員を雇わないことや成人映画に切り替えるなどの努力で存続させた。しかし、1988年初頭にこの2代目経営者が死去し、やむなく閉館となった。1988年12月20日現在では建物の解体が始まっており、土地は売りに出されている。名古屋の映画館第1号は1897年の末広座であり、大須の映画館第1号は1908年1月に大須観音境内に開館した文明館である。昭和初期にかけて相次いで映画館が開館し、映画の街と呼ばれるようになった。昭和10年代が最盛期であり、映画館は17館、芝居小屋を含めると約30の小屋があった。昭和30年代後半から映画業界は衰退し、映画館はビルや駐車場となった。約2年前にはヘラルドグループ系列の映画館が閉館し、名画座のみとなっていた。*163

「太陽館」と同じように、末期の「名画座」は成人映画館だった。跡地の奥部分にはマンションが建ち、通りに面した部分には古着屋がある。*164

時期は不明だが「名画座」の写真あり。『ジェラシー・ゲーム』、『赤いスキャンダル・情事』、『淫写 生録ビデオ』のポスターが見える。*165

1988年12月には大須の「名画座」が閉館し、名古屋の映画館発祥地である大須から映画館がなくなった。*166

1972年1月4日の『中日新聞』映画上映案内には「名画座」として掲載されており、『日本夜這風俗史』と『セックス占い』と『性と女の物語』を上映している。*167 1973年12月31日の『中日新聞』映画上映案内には掲載されていない。*168

1970年代の大須名画座ではピンク映画や日活ロマンポルノが上映されていた。映画評論家の木全公彦は、1960年代の若松孝二の作品群や、1965年の新藤孝衛監督作『雪の涯て』、1970年の梅沢薫監督作『濡れ牡丹 五悪人暴行篇』、1969年の武田有生監督作『好色一代 無法松』、1965年の武智鉄二監督作『黒い雪』などの旧作ピンク映画を大須名画座で鑑賞している。*169

1970年代の大須名画座ではピンク映画や日活ロマンポルノが上映され、古いピンク映画も併映されていた。映画評論家の木全公彦は大須名画座で、1960年代の若松孝二監督作品や、新藤孝衛監督、梅沢薫監督、武田有生監督、武智鉄二監督などの旧作を観ている。*170
大須シネマ
所在地 : 愛知県名古屋市中区大須3-27-12(2020年・2022年)
開館年 : 2019年3月31日
閉館年 : 営業中
Wikipedia : 大須シネマ
2019年の映画館名簿には掲載されていない。2020年・2022年の映画館名簿では「大須シネマ」。2020年の映画館名簿では経営会社が特定非営利活動法人大須シネマ、経営者・支配人ともに中川健次郎、42席。2022年の映画館名簿では経営会社が株式会社大丸、経営者・支配人ともに犬飼堅太、42席。最寄駅は名古屋市営地下鉄名城線・鶴舞線上前津駅。

2019年3月、名古屋市中区大須3丁目に映画館「大須シネマ」が開館する予定である。万松寺通りに近い路地に面した、約100m2の喫茶店跡地。約150インチ(縦2.3m×横3m)のスクリーン、42席の座席を備え、テイクアウト方式の飲食店を併設する。約2000万円の資金はNPO法人が受け皿となって寄付を募った。『大須レトロ』によると、1908年の大須には東京・大阪に次いで全国3番目に映画常設館が開館し、戦前の最盛期には23館もの映画館があった。太平洋戦争の戦災で多くが焼失したが、戦後には14館が再建された。テレビの普及に伴って閉館し、1989年には最後の1館が閉館した。元衣料雑貨店主の中川健次郎は、2年前から常設映画館の開館に取り組んできた。開館初日のオープニング作品は西部劇『シェーン』を予定している。*171

2019年3月21日、名古屋市中区大須商店街にミニシアターが開館する。大須で最後の映画館が閉館したのは1989年であり、約30年ぶりに映画館が復活する。大須商店街で衣料品雑貨店を経営していた中川健次郎(78)は、仲間とNPO法人を設立して「大須シネマ」を開館させる。開業資金の約2000万円は寄付などで集めた。万松寺近くにある喫茶店の建物(約100m2)を貸借して映画館に改装する。スクリーンは150インチ(縦2メートル、横3.2メートル)。42席を設置する。館内入口には「世界の山ちゃん」が持ち帰り専門店を出店する予定。大須は名古屋における映画館発祥の地であり、1908年に大須観音近くに文明館が開館した。大須観音周辺や新天地通りなどに映画館が開館し、ピーク時には23館もの映画館があった。*172

2019年3月末、名古屋市の大須商店街に映画館「大須シネマ」が開館する。1989年から大須に映画館はなかった。喫茶店の建物を改装し、2m×3.5mのスクリーンに42席を備える。午前中は西部劇や名作邦画、日中は若者向けのアニメ映画、夜は短編映画などを上映する。元衣料雑貨店経営の中川健次郎など地元有志は、3年前から公設市場の空きスペースで映画上映会を開催しながら常設映画館の運営を計画してきた。2018年にNPO法人を設立し、約2000万円の開館資金は寄付や賛助会員費で賄った。*173

大須は名古屋の映画発祥地である。2019年3月31日、30年ぶりに大須に映画館が復活する。元衣料雑貨店主の中川健次郎(78)らが仲間と協力、5年前から大須で自主上映会を行い、2018年9月にはNPO法人を設立、クラウドファウンディングなどで2000万円を調達した。床面積約100m2。スクリーンは2m×3m。42席のミニシアターである。午前中は時代劇や西部劇などの名作を上映し、午後は子供向けアニメなどを上映し、夕方以降は短編映画を上映する。30日のオープニングイベントには約120人が参加した。*174

2019年3月30日、名古屋市中区大須3丁目に映画館「大須シネマ」が開館した。明治から昭和の大須は「映画の街」として栄え、戦前の最盛期には23館の映画館があったが、1989年には最後の1館が閉館した。映画愛好家の中川健次郎がNPO法人を設立して理事長となり、寄付金などを募って映画館を復活させた。3月30日はプレオープンであり、フランス映画『禁じられた遊び』を上映。3月31日もオープニングイベントを開催し、活動弁士を招いてチャップリンの短編無声映画などを上映する。4月1日には正式開館し、『嵐を呼ぶ男』などを上映する。2週間から1か月ごとに上映作品を入れ替える。入場料は当日券のみであり、作品ごとに1000円から1500円。*175

2019年4月1日、名古屋市中区の大須商店街に映画館「大須シネマ」が開館し、「映画の街」と呼ばれた大須に30年ぶりに映画館が復活した。既存のミニシアターとは一線を画した独自路線を志向する。3月30日のプレオープンには地域住民らが無料招待され、1950年代のフランス映画『禁じられた遊び』が杮落としとなった。戦前の大須には20軒以上の映画館があったが、テレビの普及とともに相次いで閉館し、1989年には最後の1館が閉館した。映画愛好家で元商店主の中川健次郎(78)らは、賛同者を募って寄付を集め、NPO法人を設立して映画館の開館を模索した。万松寺通り近くの喫茶店跡を映画館に改装した。スタッフ3人は映画興行の素人であり、番組編成にあたっては契約や規則などで悪戦苦闘した。当面は劇場用ブルーレイディスク(BD)を用いるが、他の映画館ではデジタルデータによる上映(DCP)が主流であり、DCPが必須の大手作品の上映は断念しており、『シェーン』の上映はとん挫した。中小の配給会社を中心にして飛び込みで交渉を行い、日活や東京テアトルなど約10社と契約した。「大規模映画館とミニシアターの間くらいのポジションを取れると面白い」と語る。劇場は貸しホールとしても活用し、eスポーツのイベントなども開催する。*176

2020年8月24日、名古屋市中区大須の映画館「大須シネマ」が営業を再開する。地元住民らによるNPO法人として開館したが、不安定な運営にコロナ禍が重なって3月から休館していた。副支配人として上映機材の選定や広報を担当してきた犬飼堅太が新支配人に就任し、運営体制を一新して再開する。営業再開初日の8月24日には、堺雅人主演の『南極料理人』など3作品を上映する。*177

大須シネマや中川健次郎の記事として片山修「すばらしき、わが人生! “けんちゃん”、78歳で映画館をつくる(前編)」『潮』2020年1月号、pp.92-98、片山修「すばらしき、わが人生! “けんちゃん”、78歳で映画館をつくる(後編)」『潮』2020年2月号、pp.126-133がある。*178*179

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